中性脂肪蓄積心筋血管症に対する中鎖脂肪酸を含有する医薬品の開発

文献情報

文献番号
201324104A
報告書区分
総括
研究課題名
中性脂肪蓄積心筋血管症に対する中鎖脂肪酸を含有する医薬品の開発
課題番号
H24-難治等(難)-一般-066
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
平野 賢一(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 植田 初江(国立循環器病研究センター病理部)
  • 青江 秀史(大阪大学知的財産センター)
  • 南都 伸介(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 内藤 博昭(国立循環器病研究センター)
  • 裏出 良博(大阪バイオサイエンス研究所)
  • 惠 淑萍(北海道大学大学院保健科学研究院)
  • 小林 邦久(福岡大学筑柴病院 内分泌・糖尿病内科)
  • 間賀田 泰寛(浜松医科大学メディカルフォトニクス研究センター)
  • 橋本 守(大阪大学大学院基礎工学研究科)
  • 長澤 康行(兵庫医科大学 内科学 腎・透析科)
  • 羽尾 裕之(兵庫医科大学 病院病理部)
  • 小谷 順一(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 瀬川 波子(福岡大学医学部生化学)
  • 財満 信宏(近畿大学農学部応用生命化学科)
  • 杉村 宏一郎(東北大学大学院 循環器内科学)
  • 高木 敦子(国立循環器病研究センター分子薬理部)
  • 中村 浩士(山口大学医学部地域医療推進学)
  • 山田 壮亮(産業医科大学第二病理学)
  • 谷本 昭英(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科)
  • 安井 洋子(大阪市立大学大学院生活科学研究科)
  • 田嶋 祥子(興和株式会社製品戦略部)
  • 千葉 俊明(琉球大学大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
60,060,000円
研究者交替、所属機関変更
研究分担者交代 加藤 良仁(平成25年4月1日~平成25年6月30日)→ 橋本 彰(平成25年7月1日~平成26年2月6日)→ 田嶋 祥子(平成26年2月7日以降) 千葉 俊明(平成25年4月1日~平成25年9月30日)→ 交代なし 研究分担者追加 青江 秀史 大阪大学知的財産センター(平成25年10月24日以降) 南都 伸介 大阪大学大学院医学系研究科(平成25年9月12日以降) 内藤 博昭 国立循環器病研究センター(平成25年9月20日以降) 小林 邦久 福岡大学筑柴病院 内分泌・糖尿病内科(平成25年9月13日以降) 長澤 康行 兵庫医科大学 内科学 腎・透析科(平成25年9月13日以降) 羽尾 裕之 兵庫医科大学 病院病理部(平成25年9月26日以降) 小谷 順一 大阪大学大学院医学系研究科(平成25年9月26日以降) 杉村 宏一郎 東北大学大学院 循環器内科学(平成25年10月22日以降) 中村 浩士 山口大学医学部地域医療推進学(平成25年9月19日以降) 山田 壮亮 産業医科大学第二病理学(平成25年9月19日以降) 安井 洋子 大阪市立大学大学院生活科学研究科(平成25年10月1日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
中性脂肪蓄積心筋症(Triglyceride deposit cardiomyovasculopathy, TGCV)は研究代表者らが提唱した新規疾患概念であり、心筋および冠動脈に中性脂肪が蓄積することにより、心血管病を生ずる難治性疾患である。本症には、adipose triglyceride lipase (ATGL)の遺伝的欠損である原発性TGCVと、原因が未だ明らかでない特発性TGCVが存在する。しかし、現状では、TGCVに対する有効性の確立した治療法はなく、新規治療法の確立が望まれている。
本研究は、TGCVに対して研究代表者らがその有効性を見出した中鎖脂肪酸の有用性を検討し、それを主成分とする医薬品を開発することを目的とする。
また、中鎖脂肪酸製剤は、乳児期に中鎖脂肪酸ミルクの提供を受けている一部の先天性代謝異常症患者に対しても、有効であることが期待され、本製剤が卒乳後の中鎖脂肪酸供給源となりうるものと期待される。
研究方法
1) 原発性TGCVモデル動物(ATGL欠損マウス)を用いた薬効薬理試験を行って中鎖脂肪酸の有用性を検討した。
2) 医師主導型臨床試験の実施に必要な治験薬製造工程について検討を行った。
3) 中鎖脂肪酸(カプリン酸)の定量的測法を開発した。
4) TGCV診断のための各種臨床検査法の開発:末梢血液由来白血球において、ATGL活性を測定する方法を開発した。また、保険診療下で日常診療として行われている各種臨床検査法について検討し、TGCV臨床診断に有用な臨床検査法について検討した。
5) 原発性TGCV症例の国際登録システムの構築し、その運用を開始した。
結果と考察
今年度は以下のように研究の成果を得た。
1) 中鎖脂肪酸(中鎖脂肪酸含有中性脂肪)の経口投与で、ATGL欠損マウスの寿命が延長し、中鎖脂肪酸の経口投与が原発性TGCV症例に有効である可能性が示唆された。
2) 治験薬の製造工程について、検討を行い、その製造方法を決定した。今後、医師主導型臨床治験に向けて、治験薬のGMP製造を目指すとともに、各種毒性試験、治験薬の規格の決定などを行っていく予定である。
3) 高速液体クロマトグラフィーを用いたカプリン酸の定量的測定法を開発した。中鎖脂肪酸製剤の薬物動態の把握、臨床的な投与量の決定などに役立つものと期待される。
4) 末梢血由来白血球を用いてATGL活性を測定することができた。本測定法は原発性TGCVの診断に役立つ新規検査法となりうると考えられた。また、各種臨床検査法を検討した結果、脂肪酸アナログ (123I-BMIPP)を用いた心臓核医学検査が、原発性および特発性TGCVの診断に有用であることを見出した。本検査法は、すでに日常臨床で実施されている検査法であり、TGCV症例の診断に重要な検査法となりうると考えられた。
5) 原発性TGCV症例の国際登録システムを構築し、H25年2月28日よりその運用を開始した。希少疾患である原発性TGCVの世界的な症例の把握およびその病態の把握が可能となり、将来的な医師主導治験の実施およびそのグローバル展開に役立つものと期待される。
結論
新規検査法の開発、および、既存の各種臨床検査法の検査結果を検討することで、原発性・特発性TGCVの診断に有用な検査法を見出した。また、中鎖脂肪酸製剤の医師主導治験に向けた、GMP製造および各種薬物動態・毒性試験の実施に向けた予備的な検討を行った。国際的な原発性TGCV症例の症例登録システムを構築し、その運用を開始した。

公開日・更新日

公開日
2015-06-30
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2015-06-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201324104Z