文献情報
文献番号
201324081A
報告書区分
総括
研究課題名
IgG4関連疾患に関する調査研究
課題番号
H24-難治等(難)-一般-043
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
千葉 勉(京都大学 医学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 岡崎 和一(関西医科大学 内科学)
- 下瀬川 徹(東北大学 医学系研究科)
- 神澤 輝実(がん・感染症センター駒込病院 内科)
- 川 茂幸(信州大学 総合健康安全センター)
- 中村 誠司(九州大学 医学研究院)
- 木梨 達雄(関西医科大学 生命科学研究所)
- 三嶋 理晃(京都大学 医学研究科)
- 井戸 章雄(鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科)
- 松田 文彦(京都大学 医学研究科)
- 能登原 憲司((財)倉敷中央病院 病理検査科)
- 住田 孝之(筑波大学 人間総合科学研究科)
- 三森 経世(京都大学 医学研究科)
- 坪田 一男(慶應義塾大学 医学部)
- 吉野 正(岡山大学 医歯薬学総合研究科)
- 赤水 尚史(和歌山県立医科大学 医学研究科 )
- 川野 充弘(金沢大学 医学部附属病院)
- 田中 良哉(産業医科大学 医学部)
- 高橋 裕樹(札幌医科大学 医学部)
- 友杉 直久(金沢医科大学 総合医学研究所)
- 久保 惠嗣(信州大学 医学部)
- 後藤 浩(東京医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
59,647,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
「IgG4関連疾患」は、世界中で注目をあびている新しい疾患概念で、血清IgG4高値と組織のIgG4形質細胞浸潤を特徴とする。本疾患の研究は常に日本が世界をリードしてきた。H23年10月に開催された第1回IgG4関連疾患国際シンポジウムで、先の厚労省難治性疾患研究の2つの研究班が確立した病名と疾患概念が国際的に承認された。本疾患研究のさらなる必要性から、H24年度から本班が開始された。本疾患の病変は全身臓器に及ぶが、その病因病態は未だ不明である。このため本研究班では、1.専門家による臓器別分科会を設置し、各臓器におけるIgG4関連疾患の診断基準策定を行う。さらに 2.前向き症例登録によってIgG4関連疾患関連遺伝子の同定を行う。さらに3.上記解析によって、ステロイド治療効果、再発の予測方法を確立するとともに、治療の標準化や新しい治療法の検討も行う。
研究方法
1.臓器別専門家による分科会を組織し、臓器別診断基準策定、包括的な重傷度分類の策定にむけて検討を行う。
2.厚労省遺伝子解析班と連携し、本疾患患者の遺伝子解析、血液蛋白解析を行う。
3.ステロイド治療の効果規定因子、予測因子について、難治性膵疾患研究班と連携して検討し、新しい治療法開発を探る。
4.国際的診断基準の確立に向けて、アメリカほか各国の研究者と本班員による国際シンポジウムを開催する。
2.厚労省遺伝子解析班と連携し、本疾患患者の遺伝子解析、血液蛋白解析を行う。
3.ステロイド治療の効果規定因子、予測因子について、難治性膵疾患研究班と連携して検討し、新しい治療法開発を探る。
4.国際的診断基準の確立に向けて、アメリカほか各国の研究者と本班員による国際シンポジウムを開催する。
結果と考察
1.臓器別診断基準については、膵炎、胆管炎、ミクリッツ病、腎疾患の策定が完了した。今後はすべての臓器の診断基準確立をめざす。さらに、各臓器の重症度分類、治療指針の確立をめざして、治療の向上をはかるとともに、患者の医療費助成等の資料として提供する。
2.遺伝子研究においては、HLA領域、Chromosome 1,4領域に高いピークを認め、疾患感受性遺伝子である可能性が考えられた。またsialoadenitis/dacroadenitis、自己免疫性膵炎に特有のピークも存在することから、疾患全体に関わる遺伝子と、臓器ごとに特異的な疾患関連遺伝子の存在が示唆された。今後遺伝子そのものの同定作業を行い、共通または臓器別の発症危険因子を明らかにし、疾患の予防予測に応用したい。
3.プロテオーム解析においても、ある糖鎖が血中で特異的に増加していることが判明した。加えて現在、治療効果(ステロイド感受性)に関連する遺伝子の同定さらに約50症例のプロテオーム解析を行っており、それによって、ステロイド治療抵抗性因子、治療効果予測因子を同定できると期待される。
4.治療指針の確立のため、ステロイド治療の標準化をめざした前向き臨床研究を行った。その結果はH26年内には結論が出る予定である。本結果によって、ステロイドの標準治療法の確立が期待される。またこの過程で、ステロイド抵抗例が少なからず存在すること、再発例もみられることから、今後リタキサンなども含めた新しい治療法を考慮する必要があると考えられた。
5.H26年2月、本班会議にあわせて、アメリカの専門家と本班員が中心となってハワイにて、第2回IgG4関連疾患国際シンポジウムを開催し、1) Consensus Guidelines for Management of IgG4-RDの作成、さらに2) IgG4-SC(IgG4関連硬化性胆管炎)の疾患概念の確立、原発性硬化性胆管炎(PSC)とIgG4-SCの鑑別診断、のための国際診断基準制定についての活発な討議がなされた。今後日本で概念が確立された本疾患の国際的診断基準の制定作業を行い、H26年内に完了する予定である。
2.遺伝子研究においては、HLA領域、Chromosome 1,4領域に高いピークを認め、疾患感受性遺伝子である可能性が考えられた。またsialoadenitis/dacroadenitis、自己免疫性膵炎に特有のピークも存在することから、疾患全体に関わる遺伝子と、臓器ごとに特異的な疾患関連遺伝子の存在が示唆された。今後遺伝子そのものの同定作業を行い、共通または臓器別の発症危険因子を明らかにし、疾患の予防予測に応用したい。
3.プロテオーム解析においても、ある糖鎖が血中で特異的に増加していることが判明した。加えて現在、治療効果(ステロイド感受性)に関連する遺伝子の同定さらに約50症例のプロテオーム解析を行っており、それによって、ステロイド治療抵抗性因子、治療効果予測因子を同定できると期待される。
4.治療指針の確立のため、ステロイド治療の標準化をめざした前向き臨床研究を行った。その結果はH26年内には結論が出る予定である。本結果によって、ステロイドの標準治療法の確立が期待される。またこの過程で、ステロイド抵抗例が少なからず存在すること、再発例もみられることから、今後リタキサンなども含めた新しい治療法を考慮する必要があると考えられた。
5.H26年2月、本班会議にあわせて、アメリカの専門家と本班員が中心となってハワイにて、第2回IgG4関連疾患国際シンポジウムを開催し、1) Consensus Guidelines for Management of IgG4-RDの作成、さらに2) IgG4-SC(IgG4関連硬化性胆管炎)の疾患概念の確立、原発性硬化性胆管炎(PSC)とIgG4-SCの鑑別診断、のための国際診断基準制定についての活発な討議がなされた。今後日本で概念が確立された本疾患の国際的診断基準の制定作業を行い、H26年内に完了する予定である。
結論
1.臓器別診断基準については膵炎、胆管炎、ミクリッツ病、腎疾患の策定が完了した。今後各臓器の重症度分類、治療指針を確立し、患者の医療費助成などの資料として提供する。
2.遺伝子研究において本疾患の発症に関連する遺伝子領域を同定した。今後遺伝子の同定作業を行う。
3.プロテオーム解析で、ある糖鎖との関連性が判明した。今後、ステロイド治療抵抗性因子、治療効果予測因子を同定する。
4.治療指針確立のため、ステロイド治療の標準化をめざした前向き臨床研究を行った。ステロイド標準治療法の確立が期待される。またステロイド抵抗例、再発例の存在から、今後リタキサンなどによる治療法検討の必要性が示唆された。
5.アメリカの専門家と本班員を中心に第2回IgG4関連疾患国際シンポジウムを開催し、1) Consensus Guidelines for Management of IgG4-RD作成、2) IgG4-SCの疾患概念の確立、3) PSCとIgG4-SCの鑑別診断、のための国際診断基準制定について討議した。今後国際的診断基準の制定作業を継続しH26年度内に完成を目指す。
2.遺伝子研究において本疾患の発症に関連する遺伝子領域を同定した。今後遺伝子の同定作業を行う。
3.プロテオーム解析で、ある糖鎖との関連性が判明した。今後、ステロイド治療抵抗性因子、治療効果予測因子を同定する。
4.治療指針確立のため、ステロイド治療の標準化をめざした前向き臨床研究を行った。ステロイド標準治療法の確立が期待される。またステロイド抵抗例、再発例の存在から、今後リタキサンなどによる治療法検討の必要性が示唆された。
5.アメリカの専門家と本班員を中心に第2回IgG4関連疾患国際シンポジウムを開催し、1) Consensus Guidelines for Management of IgG4-RD作成、2) IgG4-SCの疾患概念の確立、3) PSCとIgG4-SCの鑑別診断、のための国際診断基準制定について討議した。今後国際的診断基準の制定作業を継続しH26年度内に完成を目指す。
公開日・更新日
公開日
2015-06-30
更新日
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