急性感染も含めた肝炎ウイルス感染状況・長期経過と治療導入対策に関する研究

文献情報

文献番号
201320023A
報告書区分
総括
研究課題
急性感染も含めた肝炎ウイルス感染状況・長期経過と治療導入対策に関する研究
課題番号
H25-肺炎-一般-010
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
田中 純子(広島大学 大学院医歯薬保健学研究院 疫学・疫病制御学)
研究分担者(所属機関)
  • 内田 茂治(日本赤十字社血液事業本部 中央血液研究所 感染症解析部 )
  • 山崎 一美(国立病院機構 長崎医療センター 臨床研究センター )
  • 池田 健次(虎の門病院 肝臓センター肝臓内科 )
  • 相崎 英樹(国立感染症研究所 ウイルス第二部 )
  • 江口有一郎(佐賀大学 肝疾患医療支援学 )
  • 三浦 宜彦(埼玉県立大学 )
  • 阿部 弘一(岩手医科大学医学部 内科学講座 )
  • 島上 哲朗(金沢大学附属病院 消化器内科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
32,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
肝炎、肝がんによる健康被害の抑制、防止および体制整備を目標とした疫学基盤研究。肝炎・肝がん対策推進(関連事案の評価、再構築)に対応可能な疫学的基礎資料を収集、提示すること
研究方法
基礎医学、臨床医学、社会医学の専門家の参加を得て組織的に実施する
結果と考察
Ⅰ. 新規感染も含めた肝炎ウイルス感染状況に関する疫学基盤研究

1)肝癌+肝硬変死亡推移に関する数理疫学モデルから90 年代以降の時代効果による2010年の肝癌死亡推定値からの減少が認められた
2) 感染症法による届出基準に基づき急性C型肝炎の届け出症例を遺伝子学的に解析した結果、特定のHCVによる感染蔓延の可能性を示唆。HIV患者に関する肝炎ウイルス感染への注意喚起の必要性
3)日赤スクリーニング検査下での輸血後肝炎のリスクを算出した結果、NAT導入後の輸血HBV・HCV感染は大幅に減少した
4) 国外HBV感染浸淫地域におけるウイルス遺伝学的解析からみた系統樹解析により4家族中1家族のみ母子垂直感染が示唆。家族内HBV集積は感染源を異とする可能性が示唆され、高淫浸地域では高頻度に水平感染によるキャリア化が起こっているものと推測
5)出生年1921~1990年の2008-2012年HBs抗原検査受診者1637人の検討から、検査年度が進むにつれて陽性率が低下する傾向が認められた。水平感染の影響等、詳細な解析が必要
6) 広島県内9事業所1637人職域における肝炎ウイルス感染状況把握。検査受検率12%と低率。陽性判定27人中15人は初めて感染が判明。未受診の理由「知らない」39%、「機会がない」41%。治療制度等情報提供と受診勧奨が重要
7) 「新たなC型肝炎ウイルス検査の手順」妥当性を29310例により検証、抗体高力価群HCVRNA陰性が2例の要受診の判定は妥当、検査手順は適切。一次スクリーニングとしてのHISCLは測定レンジが広く他の推奨法との相関も良好であり有用
Ⅱ.感染後の長期経過と治療導入対策に関する研究
1) B型肝炎の長期予後を住民コホート34517名中HBsAg陽性1045例を検討。1:2マッチングによるハザード解析からHBs 抗原消失後の予後は一般住民と同等。HBV 再活性化は治療介入のない自然経過でも起こりうる可能性を示唆
2) HBV持続感染者の病態推移モデル数理疫学研究により【35 歳未満でHBe 抗体陽性】の累積肝癌罹患率は【35 歳以降にHBe 抗体陽性】より低い。【35 歳以降にHBe 抗体陽性】は35 歳以前に病態が進行していると推定
3) 肝炎ウイルス制御状態での肝癌発癌と再発予後について検討。B型肝炎に対するエンテカビル投与を行うと発癌率は約40%に低下、投与中の発癌例は根治的治療が可能。HCV治療でSVRであっても肝癌発癌率低下は10-33%と幅が大きい。高齢・男性・線維化進行などのリスクをとらえ、複数の肝癌リスクを評価すべき
4)肝細胞癌では、EOB-MRI を中心とした治療前画像診断で腫瘍肉眼型を予測し適切な治療法を選択することが根治術後の予後改善に重要
5) HCV SVR 群522 例とPNALT 群650例の背景因子を揃えたマッチング514 例の検討。発癌率、肝癌関連死と肝疾患関連死での生存率には両群間に差は認めず。他疾患による死亡が著増し全死亡生存率はSVR 群が有意に高値。ALT正常群に抗ウイルス療法を行う重要性。
6) 75gOGTT によるC 型慢性肝炎の耐糖能異常の評価は肝線維化進展抑制を目的とした早期治療介入の指標になりうる
7) 岩手、岐阜、茨城、石川、佐賀、広島のキャリア対策と治療導入対策では、フォローアップシステムの導入の効果や改善点が提示。受検の動機は医師・保健師から、受療の動機は医師からが効果的
Ⅲ. 対策の効果評価および効果測定指標に関する研究
1) H23年度全国肝炎受検率調査生データ23720件による二次解析を行い、都道府県別の受検率分布、受検率向上に関連要因の解析、全国標準化受検率を明算出。都道府県別の基礎資料を提示
2) 肝炎肝がんの疫学的視点から情報を取り入れた広報ツールは効果的。広島県では検査数が前年比150-212%。肝がん死亡の主な原因が肝炎ウイルスの持続感染であること、感染していても気がつかないこと、気がつかないうちに肝がんに進行する可能性があること、適切に治療をすれば肝がんになるのを抑えることが出来ること、が有効
3) 自治体の協力で肝炎ウイルス検査後の意識動向調査を行った結果、検査陽性と通知を受けた2177 人が受検認識度は86%、陽性認識は75%、医療機関受診率66%(HBV62%HCV69%:継続受診率HBV28%HCV48%)。陽性判明者の3分の1が未受診
結論
上記、得られた知見は研究目的に適う

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研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201320023Z