臨床評価指標を踏まえた睡眠障害の治療ガイドライン作成及び難治性の睡眠障害の治療法開発に関する研究  

文献情報

文献番号
201317074A
報告書区分
総括
研究課題名
臨床評価指標を踏まえた睡眠障害の治療ガイドライン作成及び難治性の睡眠障害の治療法開発に関する研究  
課題番号
H25-精神-一般-010
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
井上 雄一(公益財団法人神経研究所 研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 三島 和夫(国立精神・神経センター)
  • 石郷岡 純(東京女子医科大学病院)
  • 清水 徹男(秋田大学)
  • 山下 英尚(広島大学病院)
  • 山寺 亘(東京慈恵会医科大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
睡眠薬の減量・中止に貢献しうるツール開発とその使用手順を確立することが,本研究の最終ゴールとなる.初年度においては,研究実施のための以下のツールを作成することを目指した.
1)Webによる不眠のための認知行動療法の開発 不眠のための認知行動療法(CBT-I)の普及を目指して,標準的なCBTのWeb版を作成した.
2)不眠治療を効率的かつ安全に進めるためには患者の不眠症状による夜間睡眠感・日中機能障害を把握し,総合的な状態像を把握する必要がある.本年度,この目的に沿った不眠症QOL(QOLI)を作成した.
3)睡眠薬(特にベンゾジアゼピン系)の減量を図る上では,薬剤の臨床的な特性に関する情報を患者に提供することが必要となる.本年度は,これについてのパンフレットを試作し,その効果を調べた.
4)これらに加えて,CBT-Iがどれだけ睡眠薬減量に貢献しうるかを明らかにする目的で,個人面接によるCBT(認知療法を含めた6セッション)と,通常治療(TAU)による,randomized control trial(RCT)を実施した.
研究方法
ワーキンググループを中心に基本項目を作成の後に,web作成会社に委託し,5回セッションで行われる標準的CBT(睡眠教育,睡眠衛生,筋弛緩法,睡眠スケジュール法で構成)をweb上で実施するシステムを作成した.2)については,retrospectiveな調査資料をもとに,日中支障度(SDISS),不眠スケール(PSQI,FIRST),朝型夜型タイプ(MEQ),不安スケール(STAI),不安・抑うつスケール(K6),抑うつスケール(SDS)を用い,SDISSを基準にこれと相関の高い項目を抽出した.3)については,減薬に資する臨床情報(効果,副作用,注視方法,非薬物的な症状への対処法など)をまとめたパンフレットを作成し,コメディカルスタッフの協力を得て患者(臨床連続例)に配布し,その前後で睡眠薬処方率の変化を調べた.4)エンドポイントを不眠症状と睡眠薬用量においたRCTを実施した.
結果と考察
1)に関しては,作成されたプロトタイプにつき,実際の患者に使用させ,感想・不具合を調べた.本治療はweb版であるため,PC操作に不慣れな高齢者に馴染みにくいという弱点はあるものの,これ以外では汎用可能と考えられた.2)に関しては,11項目のQOL指標を作成した.地域サンプルを用いた検討により,不眠重症度が高いほどQOLI得点が低下していくことが確認された.3)では,配布から10カ月の時点でのベンゾジアゼピン系薬剤服用者の割合が18%低下しており,しかもこの配布による問題はまったく生じていなかった.4)については,エントリー患者34例を得て,現在進行中である.
結論
Web CBTに関しては,ほぼ実用段階にあると判断され,次年度の睡眠衛生のみを行う対照群との比較試験(Webシステム上で無作為割り付け)の実施へ進み得るものと考えられた.QOLスケールは,今後次年度の横断面調査に合わせてvalidation研究ならびにカットオフの作成を試みたい.また,減薬を視野に入れたパンフレットは,次年度後半から始まる介入試験の初期ツールとして重要な役割を有することから,患者からの希望項目を追加してより有用性を高める予定である.

公開日・更新日

公開日
2015-05-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-05-29
更新日
-

収支報告書

文献番号
201317074Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
26,000,000円
(2)補助金確定額
26,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 11,230,749円
人件費・謝金 403,756円
旅費 1,511,850円
その他 6,853,960円
間接経費 6,000,000円
合計 26,000,315円

備考

備考
自己資金315円分

公開日・更新日

公開日
2015-06-03
更新日
-