医療依存度の高い小児及び若年成人の重度心身障がい者への在宅医療における訪問看護師、理学療法士、訪問介護員の標準的支援技術の確立とその育成プログラムの作成のための研究

文献情報

文献番号
201317005A
報告書区分
総括
研究課題名
医療依存度の高い小児及び若年成人の重度心身障がい者への在宅医療における訪問看護師、理学療法士、訪問介護員の標準的支援技術の確立とその育成プログラムの作成のための研究
課題番号
H23-身体-知的-一般-010
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
前田 浩利(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 発生発達病態学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 吉野 浩之(群馬大学大学院 教育学研究科 障害児医学)
  • 田村 正徳(埼玉医科大学総合医療センター 小児科 新生児学)
  • 荒木 聡(東京都立駒込病院 小児科 小児神経学)
  • 奈良間 美保(名古屋大学大学院 医学系研究科)
  • 梶原 厚子(NPO法人あおぞらネット)
  • 西海 真理(国立成育医療研究センター 看護部 小児看護学)
  • 福田 裕子(あおぞら診療所新松戸(まちのナースステーション八千代))
  • 小沢 浩(島田療育センターはちおうじ 神経小児科 小児神経学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
4,811,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国では、新生児医療、集中医療の発達に伴い、医療機器に依存して生活する重症心身障がい児が、急速に増加し、「NICU満床問題」や小児基幹病院の稼働率低下の問題が起こっている。それらの問題を解決するのが、在宅医療の整備による地域と病院との循環型のシステムである。しかし、医療依存度の高い小児の在宅医療の社会資源は極めて乏しい。今後、小児在宅医療を進めるための要件は、それを担う人材の育成であるが、看護師、コ・メディカル、ヘルパーの系統的な育成プログラムは未だ前例が無い。これらを整備することによって、医療依存度の高い重症児者を在宅で支えることのできる体制を構築することが本研究の目的である。
研究方法
研究班を医師、看護師、リハビリセラピスト、ヘルパーの各部会に分け、それぞれの職種の研修プログラムを作成することにした。初年度は、各職種に必要な技術知識、そしてそれを学べる研修内容に関して議論、検討をおこない、職種ごとの研修カリキュラムを作成した。次年度は、1年目に作成したカリキュラムを用いてモデルケースとして実際に研修を行った。医師2回、看護師5回、リハビリセラピスト2回、ヘルパー2回を実施した。それを検証し議論すると、医療と福祉の協働の必要性が明らかになるとともに、現状、いかに医療と福祉が分断され、協働が困難であるかが明らかになった。そして、それぞれの職種が協働するために、各職種の小児在宅医療支援における働き、位置づけが議論され、それが明らかになった。それは、医師が患者の命を守り、苦痛を緩和するための薬物療法や手術などの治療を行う、その土台の上に、看護師、リハビリセラピストが、患者の健康を増進し、体力をつける。更に、その土台の上に、福祉職が生活の支援を行い、患者と家族が、学び、仕事、喜び、発見のある生活を送れるようにする。という基本的な多職種協働の理念と原則が発見された。そして、最終的に教育プログラムは、医療と福祉が融合されたものになるべきであるという結論に至った。平成25年度には、平成24年度に実施した研修に関して評価し、更に改善を重ねプログラムを完成させ、テキスト並びに報告書を発刊した。同時に3年間の研究の総括として、これまでの検討の蓄積が、医師、看護師、リハビリセラピスト、ヘルパー、行政、教育関係者、ソーシャルワーカーの多職種の連携、協働を人材育成の中でどう実現するのかというテーマを実際の研修を通して実施することに挑戦し、小児在宅医療の分野としては、我が国で初めての試みである多職種合同セミナーを2日間にわたって開催した。その内容及び受講者への影響、効果の検証は25年度の単年度の報告書にまとめた。
結果と考察
上述した研修プログラムとシラバス、テキストが完成した意義は大きい。これによって、医師、看護師、リハビリセラピスト、福祉職のヘルパーを包括した人材育成が可能となる。この人材育成プログラムによって、小児在宅支援を支える地域包括ケアの人材育成が可能になる。そのキーワードは「在宅ケアの観点から再構築された患者の病態理解」と「医療と福祉の協働による医療ケアのある生活の支援」である。これらの人材育成プログラムを用いて、今後、積極的に人材育成を行っていく。公的事業費の支援を受け、全国の大学病院、小児病院に研修プログラムとテキストとを送付し、各地で研修プログラムが開催できるように支援を行う。実際に、埼玉では、厚生労働省事業である小児等在宅医療連携拠点事業で、看護師対象の研修を行った。仙台でも、同様に公的事業費によって、東北大学の支援によって、看護師対象の研修をおこなった。2013年4月27日は、東京都小児総合医療センターで公益財団法人の支援によって、多職種合同セミナーを実施した。今後も、継続して、可能な限り研修を実施してゆく。
結論
小児在宅医療支援の人材育成のためには、多職種合同と職種別の研修を組み合わせ、医療、社会制度及ぶ在宅ケアの観点から患者の病態を捉え直し、医療職と福祉職が共通して理解できる土台作りと、多職種協働のグループワークによって、患者と家族の24時間を理解する研修が有効である。

公開日・更新日

公開日
2015-06-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2015-05-11
更新日
-

文献情報

文献番号
201317005B
報告書区分
総合
研究課題名
医療依存度の高い小児及び若年成人の重度心身障がい者への在宅医療における訪問看護師、理学療法士、訪問介護員の標準的支援技術の確立とその育成プログラムの作成のための研究
課題番号
H23-身体-知的-一般-010
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
前田 浩利(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 発生発達病態学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 吉野 浩之(群馬大学大学院、教育学研究科)
  • 田村 正徳(埼玉医科大学総合医療センター、小児科、新生児学)
  • 荒木 聡(東京都立駒込病院小児科、小児神経)
  • 奈良間 美保(名古屋大学大学院、医学系研究科)
  • 梶原 厚子(NPO法人あおぞらネット)
  • 西海 真理(国立成育医療研究センター、看護部、小児看護)
  • 福田 裕子(あおぞら診療所新松戸(まちのナースステーション八千代))
  • 小沢 浩(島田療育センターはちおうじ、神経小児科、小児神経)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国では、新生児医療、集中医療の発達に伴い、医療機器に依存して生活する重症心身障がい児が、急速に増加し、「NICU満床問題」や小児基幹病院の稼働率低下の問題が起こっている。それらの問題を解決するのが、在宅医療の整備による地域と病院との循環型のシステムである。しかし、医療依存度の高い小児の在宅医療の社会資源は極めて乏しい。今後、小児在宅医療を進めるための要件は、それを担う人材の育成であるが、看護師、コ・メディカル、ヘルパーの系統的な育成プログラムは未だ前例が無い。これらを整備することによって、医療依存度の高い重症児者を在宅で支えることのできる体制を構築することが本研究の目的である。
研究方法
研究班を医師、看護師、リハビリセラピスト、ヘルパーの各部会に分け、それぞれの職種の研修プログラムを作成することにした。初年度は、各職種に必要な技術知識、そしてそれを学べる研修内容に関して議論、検討をおこない、職種ごとの研修カリキュラムを作成した。次年度は、1年目に作成したカリキュラムを用いてモデルケースとして実際に研修を行った。医師2回、看護師5回、リハビリセラピスト2回、ヘルパー2回を実施した。それを検証し議論すると、医療と福祉の協働の必要性が明らかになるとともに、現状、いかに医療と福祉が分断され、協働が困難であるかが明らかになった。そして、それぞれの職種が協働するために、各職種の小児在宅医療支援における働き、位置づけが議論され、それが明らかになった。それは、医師が患者の命を守り、苦痛を緩和するための薬物療法や手術などの治療を行う、その土台の上に、看護師、リハビリセラピストが、患者の健康を増進し、体力をつける。更に、その土台の上に、福祉職が生活の支援を行い、患者と家族が、学び、仕事、喜び、発見のある生活を送れるようにする。という基本的な多職種協働の理念と原則が発見された。そして、最終的に教育プログラムは、医療と福祉が融合されたものになるべきであるという結論に至った。平成25年度には、平成24年度に実施した研修に関して評価し、更に改善を重ねプログラムを完成させ、テキスト並びに報告書を発刊した。同時に3年間の研究の総括として、これまでの検討の蓄積が、医師、看護師、リハビリセラピスト、ヘルパー、行政、教育関係者、ソーシャルワーカーの多職種の連携、協働を人材育成の中でどう実現するのかというテーマを実際の研修を通して実施することに挑戦し、小児在宅医療の分野としては、我が国で初めての試みである多職種合同セミナーを2日間にわたって開催した。その内容及び受講者への影響、効果の検証は25年度の単年度の報告書にまとめた。
結果と考察
上述した研修プログラムとシラバス、テキストが完成した意義は大きい。これによって、医師、看護師、リハビリセラピスト、福祉職のヘルパーを包括した人材育成が可能となる。この人材育成プログラムによって、小児在宅支援を支える地域包括ケアの人材育成が可能になる。そのキーワードは「在宅ケアの観点から再構築された患者の病態理解」と「医療と福祉の協働による医療ケアのある生活の支援」である。これらの人材育成プログラムを用いて、今後、積極的に人材育成を行っていく。公的事業費の支援を受け、全国の大学病院、小児病院に研修プログラムとテキストとを送付し、各地で研修プログラムが開催できるように支援を行う。実際に、埼玉では、厚生労働省事業である小児等在宅医療連携拠点事業で、看護師対象の研修を行った。仙台でも、同様に公的事業費によって、東北大学の支援によって、看護師対象の研修をおこなった。2013年4月27日は、東京都小児総合医療センターで公益財団法人の支援によって、多職種合同セミナーを実施した。今後も、継続して、可能な限り研修を実施してゆく。
結論
小児在宅医療支援の人材育成のためには、多職種合同と職種別の研修を組み合わせ、医療、社会制度及ぶ在宅ケアの観点から患者の病態を捉え直し、医療職と福祉職が共通して理解できる土台作りと、多職種協働のグループワークによって、患者と家族の24時間を理解する研修が有効である。

公開日・更新日

公開日
2015-06-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2015-05-11
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201317005C

収支報告書

文献番号
201317005Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
6,254,000円
(2)補助金確定額
6,254,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 487,385円
人件費・謝金 1,181,694円
旅費 1,198,920円
その他 1,943,001円
間接経費 1,443,000円
合計 6,254,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2015-06-03
更新日
-