標準的な健診・保健指導プログラム(改訂版)及び健康づくりのための身体活動基準2013に基づく保健事業の研修手法と評価に関する研究

文献情報

文献番号
201315071A
報告書区分
総括
研究課題名
標準的な健診・保健指導プログラム(改訂版)及び健康づくりのための身体活動基準2013に基づく保健事業の研修手法と評価に関する研究
課題番号
H25-循環器等(生習)-一般-028
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
津下 一代(愛知県健康づくり振興事業団 あいち健康の森健康科学総合センター)
研究分担者(所属機関)
  • 宮地 元彦(独立行政法人国立健康・栄養研究所)
  • 中村 正和(大阪がん循環器病予防センター)
  • 真栄里 仁(独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター)
  • 横山 徹爾(国立保健医療科学 院生涯健康研究部)
  • 杉田 由加里(千葉大学大学院看護学研究科)
  • 和田 高士(東京慈恵会医科大学総合健診・予防医学センター)
  • 村本 あき子(愛知県健康づくり振興事業団 あいち健康の森健康科学総合センター )
  • 林 芙美(千葉県立保健医療大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
特定保健指導では対象者の健康リスクの種類やレベル、意欲、生活環境等に応じ、適切に支援できる指導者が求められ、質の高い研修が広く実施されることが必要である。本研究班では、研修の課題を分析し、PDCAサイクルの視点に立った汎用性のある研修評価指標を設定、効果的かつ効率的な研修の在り方について検討する。
研究方法
1)実態調査:県・国保連合会に対し、研修の立案、運営、評価等の現状と課題、要望等についてアンケート調査を行う。2)保健指導スキル評価:保健指導のための根拠や具体的な指導法について、認知度、習得度に関する調査票を作成。評価指標としての妥当性を検討する。3)専門職種のコンピテンシーの測定:保健指導機関、職能集団において保健指導経験や所属機関の状況、保健指導体制とコンピテンシーに関する調査を行う。4)eラーニングの効果検証:インターネットを通したを用いた指導者トレーニングプログラムを用いて研修を行い、その使い勝手と効果、さらに効果に関連する要因を分析する。5)ワークショップ開催:研修の標準化、課題に対する解決法や取り組み、講師の質の向上を図るため、研修企画者・運営担当者を対象としたワークショップを開催する。6)コアスライド作成:地域等の研修会で講師が活用可能なコアスライドを作成、ホームページより提供する。
結果と考察
1)県等への実態調査:有効回答率89.4%。市町村格差、指導者格差が広がりつつあり、ニーズに合った研修実施の難しさが指摘された。研修予算確保や外部のアドバイザーの確保の難しさ、PDCAに基づく研修ができていない実態が明らかになった。研修の評価は事後のアンケートのみがほとんどであり、追跡調査等は実施されていなかった。 2)保健指導スキル評価:各地の研修参加者2,194人より回答を得た。習得度・認知度に職種間差、所属間差、保健指導経験年数間差がみられた。基礎編では「健診結果から身体変化と生活習慣の関連」、「生活習慣の改善点を対象者と考える」、「保健指導の目的とスケジュールについて説明」の習得度・認知度は高く、「問題飲酒のスクリーニングテスト(AUDIT)を使った適正飲酒支援」、「禁煙支援マニュアルに基づく短時間支援」、「同マニュアルに基づく標準的支援」の習得度は低かった。計画・評価編では「健康日本21」、「標準的な健診・保健指導プログラムの内容」、「保健事業にPDCAを活用」が高く、「社会資源を活用した実施体制の構築」、「禁煙支援マニュアル」、「対象者評価から企画やプログラムを評価」は低かった。認知度調査では「ロコモ」、「健康日本21」、「メタボの減量目標」の認知度が高く、「スマートライフプロジェクト」、「研修ガイドライン」、「AUDIT」が低かった。3)専門職種のコンピテンシーの測定:施設内の勉強会の有無、保健指導実施体制と役割がスキルに影響を及ぼしていた。 4)eラーニングの効果検証:禁煙指導におけるeラーニングの有効性が示された。 5)ワークショップ開催:研修企画について、3つのテーマ(年間を通じた研修計画、個々の研修会、職場内の研修会)と4つのカテゴリー(企画・運営・評価・改善工夫)を基に、グループワークを実施した。PDCAを回した効果性の高い研修のために、対象者のニーズを的確に把握する方法、効果を客観的に測る物差し(指標)、効果的な実施方法についての情報提供、企画についてのアドバイスを求める声が多くあった。 6)コアスライド作成:各分野についてコアスライドを作成、使う側の立場で意見が聴取、改善。HPにて公開した。
結論
特定保健指導研修に関する課題抽出、習得度・認知度調査票の作成と実施、コアスライドの作成、ワークショップの実施等を行った。市町村や保健指導者のニーズを把握したうえで研修を企画すること、その際外部アドバイザーの積極的な活用や地域の講師育成が必要と考えられた。職場内での勉強会(OJT)につながる研修が必要である。コアスライド作成にあたっては、各分野の専門家が独立して教材を作成するのではなく、共通の目標をもって標準化をすることも重要であると考えられた。eラーニングやコアスライドなど研修の標準化につながる媒体の作成も重要である。次年度の弱点強化型研修の実施や企画者のための研修等につなげていきたい。

公開日・更新日

公開日
2015-09-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-09-07
更新日
-

収支報告書

文献番号
201315071Z