文献情報
文献番号
201313030A
報告書区分
総括
研究課題名
がんの診療科データベースとJapanese National Cancer Database (JNCDB)の構築と運用
課題番号
H22-3次がん-一般-043
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
沼崎 穂高(大阪大学大学院 医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
- 手島 昭樹(大阪大学大学院 医学系研究科)
- 三木 恒治(京都府立医科大学大学院)
- 日月 裕司(国立がん研究センター中央病院)
- 笠松 高弘(国立がん研究センター中央病院)
- 木下 貴之(国立がん研究センター中央病院)
- 呉屋 朝幸(杏林大学医学部)
- 山内 智香子(滋賀県立成人病センター)
- 宇野 隆(千葉大学大学院)
- 中村 和正(九州大学大学病院)
- 角 美奈子(国立がん研究センター中央病院)
- 戸板 孝文(琉球大学大学院医学研究科)
- 古平 毅(愛知県がんセンター中央病院)
- 権丈 雅浩(広島大学大学院)
- 小川 和彦(大阪大学大学院)
- 鹿間 直人(埼玉医科大学)
- 大西 洋(山梨大学医学部)
- 小泉 雅彦(大阪大学大学院)
- 安藤 裕(放射線医学総合研究所重粒子線医科学センター病院)
- 中川 恵一(東京大学医学部附属病院)
- 塚本 信宏(さいたま赤十字病院)
- 小塚 拓洋(癌研有明病院)
- 寺原 敦朗(東邦大学医療センター大森病院)
- 佐々木 茂(信州大学 医学部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
8,462,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究ではJNCDBの実運用すなわち全国的な診療、特に治療の質の評価のためのデータ収集・分析を行い、施設に還元する。さらに診療科DB(臓器別がん登録)の標準化、院内、地域がん登録とのデータ連携を進め、入力重複の現場負担を軽減し、データの質向上を図る。
研究方法
1) 院内/地域がん登録とのデータ連携
2) 臓器別がん登録との連携
3) 治療RISへのJNCDB formatの装填
4) 日本版ATC(Advanced Technology Consortium)の構築
5) JNCDB改訂・開発
6) 放射線治療症例全国登録
7) がん登録法制化検討
8) 全国放射線治療施設の定期的構造調査Web登録
2) 臓器別がん登録との連携
3) 治療RISへのJNCDB formatの装填
4) 日本版ATC(Advanced Technology Consortium)の構築
5) JNCDB改訂・開発
6) 放射線治療症例全国登録
7) がん登録法制化検討
8) 全国放射線治療施設の定期的構造調査Web登録
結果と考察
結果
1) 院内/地域がん登録とのデータ連携
JNCDB登録ソフトウェアと院内がん登録支援ソフトウェアHos-CanR Plusとのデータ連携について、実際の登録データにてデータの連携が可能であることを確認した。
2) 臓器別がん登録との連携
臓器別がん登録との連携では JNCDBの調査項目の改訂で協力を得た。さらに各臓器別がん登録との情報共有を進めた。食道癌全国登録の支援継続:2013年8月に2007、2008年症例分の全国登録を開始し、本研究班として、システム開発、統計解析業務を担当している。2013年12月末日で登録を締め切り、現在データクリーニング、データ解析中、本年度中に報告書を完成予定である。
3) 治療RISへのJNCDB formatの装填
治療RISにJNCDBの基本DBや各論DBを装填するよう治療RIS開発企業への働きかけを継続して行った。すでにかなり組み込まれ、データは自動提出される仕組みとなってきた。
4) 日本版ATCの構築
昨年度開発した放射線治療計画データ集積・検証・閲覧システム(図1)を改良し、実データを用いてテスト運用を行った。実データを用いて解析を行い、本システムが正常に運用できることが示された。
5) JNCDB基本DB改訂・開発
基本DBの調査項目の再検討、改訂を行った。現在改訂した項目に合わせたJNCDB登録ソフトウェアの改訂を行っている。本年度中に学会(JASTRO)ホームページで学会員のパブリックコメントを募集し、DB項目を確定する予定である。
6) 放射線治療症例全国登録の運用
2013年7月から9月にかけて、JNCDB(放射線治療症例全国登録)のfeasibility studyを行った。35施設から14,484症例のデータを集積し、解析を行った。診療内容(過程)は、照射方針、小線源治療、高精度治療や照射線量などにおいて施設規模で標準治療の浸透を含めて差異を定量的に観察できた。また、専門医や指導医の実績評価のための分析も可能であった。
7) がん登録法制化検討
先行研究からのがん登録法制化検討チームを継続した。その一助としての普及啓発活動としてJASTROに放射線腫瘍学データセンターを開設し、下記8)の分析結果やJNCDB formatを順次公開している。
8) 全国放射線治療施設の定期的構造調査
放射線治療情報の全国登録を担っている。全国の構造調査を毎年行い、解析データを順次公開した。
考察
本研究では臓器横断的な放射線治療DBを普及させ、全国の放射線治療施設のがん情報系を整備すると同時に臓器別がん登録、院内がん登録との情報共有を目指している。本年度は、放射線治療専門医申請の実績として評価可能な放射線治療実績DBでのfeasibility studyを行い、本研究のメインであるJNCDB運用が開始された。同時に基本DBの改訂を行い、本格運用に向けた準備を行っている。がん登録の意義、必要性の啓蒙活動の一つとして、JNCDB大改訂の調査項目を学会JASTRO HPで一般公開し、各施設の放射線治療部門の診療科DBフォーマットの統一化を支援している。さらに放射線治療部門の治療RIS以外の診療科DB、あるいは電子カルテ開発ベンダーのがん診療DB開発構築の支援を行っている。学会JASTROの定期的構造調査を昨年より毎年行っている。解析データは順次一般公開して、放射線治療の構造の改善を施設、地域、国レベルで行うようJASTRO DB委員会と連携して行っている。
1) 院内/地域がん登録とのデータ連携
JNCDB登録ソフトウェアと院内がん登録支援ソフトウェアHos-CanR Plusとのデータ連携について、実際の登録データにてデータの連携が可能であることを確認した。
2) 臓器別がん登録との連携
臓器別がん登録との連携では JNCDBの調査項目の改訂で協力を得た。さらに各臓器別がん登録との情報共有を進めた。食道癌全国登録の支援継続:2013年8月に2007、2008年症例分の全国登録を開始し、本研究班として、システム開発、統計解析業務を担当している。2013年12月末日で登録を締め切り、現在データクリーニング、データ解析中、本年度中に報告書を完成予定である。
3) 治療RISへのJNCDB formatの装填
治療RISにJNCDBの基本DBや各論DBを装填するよう治療RIS開発企業への働きかけを継続して行った。すでにかなり組み込まれ、データは自動提出される仕組みとなってきた。
4) 日本版ATCの構築
昨年度開発した放射線治療計画データ集積・検証・閲覧システム(図1)を改良し、実データを用いてテスト運用を行った。実データを用いて解析を行い、本システムが正常に運用できることが示された。
5) JNCDB基本DB改訂・開発
基本DBの調査項目の再検討、改訂を行った。現在改訂した項目に合わせたJNCDB登録ソフトウェアの改訂を行っている。本年度中に学会(JASTRO)ホームページで学会員のパブリックコメントを募集し、DB項目を確定する予定である。
6) 放射線治療症例全国登録の運用
2013年7月から9月にかけて、JNCDB(放射線治療症例全国登録)のfeasibility studyを行った。35施設から14,484症例のデータを集積し、解析を行った。診療内容(過程)は、照射方針、小線源治療、高精度治療や照射線量などにおいて施設規模で標準治療の浸透を含めて差異を定量的に観察できた。また、専門医や指導医の実績評価のための分析も可能であった。
7) がん登録法制化検討
先行研究からのがん登録法制化検討チームを継続した。その一助としての普及啓発活動としてJASTROに放射線腫瘍学データセンターを開設し、下記8)の分析結果やJNCDB formatを順次公開している。
8) 全国放射線治療施設の定期的構造調査
放射線治療情報の全国登録を担っている。全国の構造調査を毎年行い、解析データを順次公開した。
考察
本研究では臓器横断的な放射線治療DBを普及させ、全国の放射線治療施設のがん情報系を整備すると同時に臓器別がん登録、院内がん登録との情報共有を目指している。本年度は、放射線治療専門医申請の実績として評価可能な放射線治療実績DBでのfeasibility studyを行い、本研究のメインであるJNCDB運用が開始された。同時に基本DBの改訂を行い、本格運用に向けた準備を行っている。がん登録の意義、必要性の啓蒙活動の一つとして、JNCDB大改訂の調査項目を学会JASTRO HPで一般公開し、各施設の放射線治療部門の診療科DBフォーマットの統一化を支援している。さらに放射線治療部門の治療RIS以外の診療科DB、あるいは電子カルテ開発ベンダーのがん診療DB開発構築の支援を行っている。学会JASTROの定期的構造調査を昨年より毎年行っている。解析データは順次一般公開して、放射線治療の構造の改善を施設、地域、国レベルで行うようJASTRO DB委員会と連携して行っている。
結論
JNCDB開発と運用によりわが国のがん診療の実態が正確に把握され、医療現場の診療の質向上に具体的に寄与しうる。
公開日・更新日
公開日
2015-09-02
更新日
-