創薬・疾患研究のための細胞・組織コレクション供給体制確立に関する研究

文献情報

文献番号
201307045A
報告書区分
総括
研究課題名
創薬・疾患研究のための細胞・組織コレクション供給体制確立に関する研究
課題番号
H25-創薬-指定-007
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
小原 有弘(独立行政法人医薬基盤研究所 難病・疾患資源研究部 培養資源研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 清水 則夫(東京医科歯科大学 難治疾患研究所)
  • 竹田 潤二(大阪大学 大学院医学研究科 環境・生体機能学講座)
  • 堀江 恭二(奈良県立医科大学 生理学第二講座)
  • 村上 孝(高崎健康福祉大学 大学院薬学研究科 腫瘍生物学研究室)
  • 原澤 亮(特定非営利活動法人いわて野生生物疾病研究センター)
  • 吉田 東歩(独立行政法人医薬基盤研究所 泉南資源研究施設)
  • 佐藤 元信(独立行政法人医薬基盤研究所 泉南資源研究施設)
  • 小阪 拓男(独立行政法人医薬基盤研究所 泉南資源研究施設)
  • 高橋 一朗(独立行政法人医薬基盤研究所 難病・疾患資源研究部・難病資源研究室 )
  • 坂手 龍一(独立行政法人医薬基盤研究所 難病・疾患資源研究部・難病資源研究室 )
  • 内尾こずえ(独立行政法人医薬基盤研究所 難病・疾患資源研究部・疾患モデル小動物研究室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
70,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
JCRB研究資源バンクは厚生労働省の研究資源バンクとして、創薬・疾患研究に供する高品質研究資源を取り扱った28年の実績を有している。これらの経験を活かして本研究においては創薬・疾患研究に必要な細胞・組織資源の充実化を図りながら、高品質研究資源の供給体制確立を行い、さらに研究資源の情報に関するデータベース化を実施し、研究の基盤となる研究資源の体系的な整備を行う。これにより創薬におけるスピードUP、個別化医療実現のための研究基盤構築に取り組み、研究社会への貢献を果たすことを目的としている。
研究方法
本研究では、<創薬・疾患研究に必要な細胞・組織資源の充実化>、<汚染の無い高品質細胞・組織資源供給基盤の構築>、<品質評価・特性解析法開発による細胞・組織情報付加>に関する3つの課題に取り組む研究計画を立て、本年度は資源の充実のため遺伝子改変によるマウスES細胞株コレクション作製、創薬標的分子を発現したルシフェラーゼ発現細胞(発光細胞)資源の充実、手術摘出組織から正常細胞・疾患細胞・幹細胞等の高効率分離調製技術開発を行った。また、資源の高品質化のためにウイルス・マイコプラズマ検査の継続実施し、マウス系統解析検査をマイクロサテライトマーカー解析することにより新規に開発実施した。特性解析法開発に関しては次世代シークエンサー(IonPGM)を用いた遺伝子プロファイルを中心に細胞・組織資源のプロファイル情報を取得するとともに、組織資源に関しては、遺伝子発現解析によるプロファイル解析を行い、資源情報付加を実施した。
結果と考察
<創薬・疾患研究に必要な細胞・組織資源の充実化>
マウス遺伝子改変ES細胞コレクション(32種)、発光細胞コレクション(6種)の資源化を中心に研究開発に供する研究資源の拡充を図ることができた。また、ハプロイドES細胞における遺伝子変異クローンの獲得法の開発、滑膜組織をはじめとする新鮮ヒト組織の供給体制確立も実施した。これら資源の拡充により効率的な創薬研究の実施、遺伝子機能解析研究を推進することができ、創薬疾患研究のための研究基盤の拡充を行うことができたと考えられる。
<汚染の無い高品質細胞・組織資源供給基盤の構築>
研究資源のウイルス・マイコプラズマ汚染検査を継続実施し、マウス系統解析検査を新規に実施することにより、研究資源の品質の現状(マイコプラズマ汚染20.3%、マウス系統誤認細胞8株)が把握できた。また得られた情報を研究資源情報としてデータベースの構築・更新を行い、利用者への提供を開始した。これにより汚染の無い高品質な研究資源の供給体制を構築することができ、研究資源バンク利用者の実施する研究の再現性を高め、生命科学研究の質的向上・国際研究社会への信頼度向上を図ることができたと考えられる。
<品質評価・特性解析法開発による細胞・組織情報付加>
研究者が研究資源を選択する上で有用な情報と考えられる、ゲノム詳細解析、遺伝子発現解析などの細胞・組織特性解析を行うため、本年度は次世代シークエンサーを用いた遺伝子プロファイル研究を中心に実施し、細胞株32種のがん関連遺伝子のプロファイル情報を取得した。これによって得られたプロファイリングデータのデータベース化を行い、細胞情報として提供できるよう準備を進めた。今後プロファイルデータが蓄積されることにより、資源情報の拡充が期待され、研究利用の際に活用されるデータベース構築ができるものと考えられる。
結論
本研究で実施した研究資源の充実化ならびに品質高度化は、厚生労働行政に直結する創薬疾患研究の基盤を構築するものにほかならない。これらの研究基盤を整備することにより、国際研究社会における研究の信頼性・再現性が担保され、細胞・組織をはじめとする研究資源を利用した研究による新薬開発・治療法開発の早期実現が可能となる。また、研究の信頼性・再現性を担保することは、世界における日本の研究の国際競争力強化につながることが期待されるとともに研究に要する労力・費用を削減することにつながり、行政的にも重要な意義を持つと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2015-03-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-06-18
更新日
-

収支報告書

文献番号
201307045Z