文献情報
文献番号
201305023A
報告書区分
総括
研究課題名
アマルガム充填物除去時の放出水銀量に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H25-特別-指定-022
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
宮坂 平(日本歯科大学 生命歯学部 歯科理工学講座)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
5,247,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
2013年10月「水銀に関する水俣条約」への署名・採択に伴い、我が国の歯科用アマルガムへの対応が問われている。我が国においては、現在のアマルガムの使用頻度は極めて低いが、過去において頻用された材料であり、アマルガム充填物の除去に伴う水銀による人体および環境への影響を総合的に評価することは重要であるが、このような報告は未だに見当たらない。そこで、本研究においては、可及的に臨床を模した環境下で、口腔内に充填したアマルガムについて、除去法・冷却水・バキューム等が大気中への水銀の蒸散量に及ぼす影響を調べ、充填されたアマルガムの除去に対するガイドライン策定へのエビデンスを与えることを目的として実験を行った。
研究方法
本研究においては、臨床を模した実験条件とするため、アマルガム充填にはヒト抜去歯のうち、裂溝の形状がなるべく十字型に近い第二大臼歯と第三大臼歯を用い、規格化した十字型窩洞にアマルガムを充填し、 7日間37℃水中に保管後にファントム内で実験を行った。
実験条件として、大気中への水銀蒸気については、A:アマルガム除去法、B:冷却水の有無、C:バキュームの有無、D:除去物からの距離について、また吸引装置からの排気については、A、B、Cの3因子について要因配置実験を行った。このとき、アマルガム除去法として、充填されたアマルガム自体をカーバイドバー等で粉砕する除去法である「粉砕法」と日本歯科保存学会で推奨されている方法である、アマルガムには触れることなく周囲の歯質を削除してエキスカベータを用いて一塊で除去する「一塊法」の二つの方法を採用した。
また、排水中に放出される水銀については、バキュームからの削除時の排水とその後に100mlの水で口腔内を洗浄した水とその後に大量の水(500ml)で吸引装置を洗浄した水について同様に要因配置実験を行った。
実験条件として、大気中への水銀蒸気については、A:アマルガム除去法、B:冷却水の有無、C:バキュームの有無、D:除去物からの距離について、また吸引装置からの排気については、A、B、Cの3因子について要因配置実験を行った。このとき、アマルガム除去法として、充填されたアマルガム自体をカーバイドバー等で粉砕する除去法である「粉砕法」と日本歯科保存学会で推奨されている方法である、アマルガムには触れることなく周囲の歯質を削除してエキスカベータを用いて一塊で除去する「一塊法」の二つの方法を採用した。
また、排水中に放出される水銀については、バキュームからの削除時の排水とその後に100mlの水で口腔内を洗浄した水とその後に大量の水(500ml)で吸引装置を洗浄した水について同様に要因配置実験を行った。
結果と考察
以上の結果から、大気中へ放出される水銀蒸気量は、冷却水による影響を最も大きく受け、次にバキュームによる影響が大きく、除去法による影響はほとんど認められなかった。
排水中への水銀量については、除去法による差は小さいがむしろ粉砕法のほうが少なく、冷却水を用いると小さくなった。バキュームは無しのほうが小さくなったが、これは効果的に粉塵が除去されていないことを意味し、バキュームの必要性を強調する結果であった。トラップについては、アマルガムセパレーターの有用性が認められた。
排水中への水銀量については、除去法による差は小さいがむしろ粉砕法のほうが少なく、冷却水を用いると小さくなった。バキュームは無しのほうが小さくなったが、これは効果的に粉塵が除去されていないことを意味し、バキュームの必要性を強調する結果であった。トラップについては、アマルガムセパレーターの有用性が認められた。
結論
以上の結果から、いずれの除去法を用いても、冷却水を十分に用いてバキュームを併用する通常の臨床的な方法で問題ないことが明らかとなった。しかし、排水中への水銀の排出は、アマルガムセパレーター等を用いないと環境汚染に通ずる可能性が高いため、今後、発生源の近辺でアマルガム粉塵をトラップする装置の開発などが望ましいと考えられ、今後の排水を対象とした、そのような新しい装置の開発研究の重要性が示唆された。
公開日・更新日
公開日
2015-05-26
更新日
-