文献情報
文献番号
201301023A
報告書区分
総括
研究課題名
若い男女の結婚・妊娠時期計画支援に関するプロモーションプログラムの開発に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H25-政策-一般-006
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
山本 眞由美(岐阜大学 保健管理センター)
研究分担者(所属機関)
- 松浦 賢長(福岡県立大学 看護学部)
- 西尾 彰泰(岐阜大学 保健管理センター)
- 吉川 弘明(金沢大学 保健管理センター)
- 高田 昌代 (米田 昌代)(神戸市看護大学 健康支援看護学)
- 林 芙美(千葉県立保健医療大学 健康科学部栄養学科)
- 猪飼 周平(一橋大学 大学院社会学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
5,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
我が国における急速な少子化・晩婚・晩産化の進行は、様々な局面での対応が求められる喫緊の課題である。高校生・大学生という若い男女を対象とする保健教育の現場においても、妊娠の時期や仕事のキャリア形成計画などの熟慮を促すヘルスプロモーションが必要ではないかと推察される。たとえば、知識不足から挙児の機会を逃すような事態を予防できるのではないかと期待するからである。そこで、本研究では、高校生・大学生の若い世代に妊よう力や不妊に関する正しい知識を適切に提供することにより、人生設計の充実や価値観の醸成を促すプログラムの構築をめざすこととした。どのような教育内容が必要かつ効果的か、高校生と大学にアンケート調査を実施し、その結果に基づいた教材およびモデルプログラムを作成することを目的とする。
研究方法
若い男女を対象とした意識調査のための質問紙「若い男女における結婚・出産についての意識調査」を作成し、全国の高校生と大学生を対象に意識調査を実施した。その結果を分析し考察した。
結果と考察
1)「健康的に最適と思われる体重」と「外見的に最適と思われる体重」の差が大きかったことより、健康を維持するための栄養に着目した健康増進教育の必要性が示唆された。
2)人生の中で重視する事柄は、男女ともには「勉強」や「健康な体」で、「子育て」「社会への貢献」「地位や名声」は低かった。ライフプランニング教育において、「健康」や「家庭」という関心の深いキーワードから入っていく方がよいと推察された。
3)女性の約85%、男性の約75%が「いずれ結婚するつもり」と回答しており、「一生結婚するつもりはない」という回答は、男女ともに数%であったことから、結婚を回避するような方向への若い世代の意識変化は、認められなかった。女性の90%以上、男性の80%以上が「子どもは欲しい」と答えており、男女ともに多数が2人あるいは3人の子供がほしいと回答していた。同様に、男女ともに多数が30ないし35歳までには最初の子どもを持ちたいと答えていた。これらの回答から、若い世代に挙児を敬遠するような意識変化はないと思われた。
4)今回の調査では、結婚しても女性の85%以上、男性の75%以上は結婚しても仕事をやめないつもりでいることが窺われた。出産後も、女性の25%、男性の45%強は、働き方を変えないと答え、働き方を変えても、女性の85%、男性の80%強は仕事を辞めないと答えていた。仕事を辞めたいと回答したのは、わずか女性で5%弱のみであったことから、キャリアプランと結婚・妊娠・出産の支援体制の充実が望まれると考えられた。子どもを持つことへの不安について尋ねた質問では、圧倒的に「金銭的な不安」が多かった。
5)「不妊」の定義を「知っている」と答えたのは、女性35%弱、男性20%強のみであった。同様に、「女性の妊よう力は、30歳を超えたあたりから低下すること」を、「よく知っていた」と答えたのは、女性の約35%、男性の約20%強のみであった。不妊治療をいつから始めるかという点が、その効果を最大限にするために重要であるので、啓発教育の必要性が示唆された。
6)約8割の女性が生理痛を経験しており、うち3割は学校を休みたくなるほどであるにもかかわらず、35%は鎮痛剤を使わず我慢していることが窺われた。回答のあったうちのほとんどが「婦人科で相談したことがない」と回答していたことは、日常生活に支障のある月経痛であっても婦人科を受診するには大きなハードルがあることが窺われるため、「健康のための婦人科受診の重要性」についての啓発が必要と推察された。
2)人生の中で重視する事柄は、男女ともには「勉強」や「健康な体」で、「子育て」「社会への貢献」「地位や名声」は低かった。ライフプランニング教育において、「健康」や「家庭」という関心の深いキーワードから入っていく方がよいと推察された。
3)女性の約85%、男性の約75%が「いずれ結婚するつもり」と回答しており、「一生結婚するつもりはない」という回答は、男女ともに数%であったことから、結婚を回避するような方向への若い世代の意識変化は、認められなかった。女性の90%以上、男性の80%以上が「子どもは欲しい」と答えており、男女ともに多数が2人あるいは3人の子供がほしいと回答していた。同様に、男女ともに多数が30ないし35歳までには最初の子どもを持ちたいと答えていた。これらの回答から、若い世代に挙児を敬遠するような意識変化はないと思われた。
4)今回の調査では、結婚しても女性の85%以上、男性の75%以上は結婚しても仕事をやめないつもりでいることが窺われた。出産後も、女性の25%、男性の45%強は、働き方を変えないと答え、働き方を変えても、女性の85%、男性の80%強は仕事を辞めないと答えていた。仕事を辞めたいと回答したのは、わずか女性で5%弱のみであったことから、キャリアプランと結婚・妊娠・出産の支援体制の充実が望まれると考えられた。子どもを持つことへの不安について尋ねた質問では、圧倒的に「金銭的な不安」が多かった。
5)「不妊」の定義を「知っている」と答えたのは、女性35%弱、男性20%強のみであった。同様に、「女性の妊よう力は、30歳を超えたあたりから低下すること」を、「よく知っていた」と答えたのは、女性の約35%、男性の約20%強のみであった。不妊治療をいつから始めるかという点が、その効果を最大限にするために重要であるので、啓発教育の必要性が示唆された。
6)約8割の女性が生理痛を経験しており、うち3割は学校を休みたくなるほどであるにもかかわらず、35%は鎮痛剤を使わず我慢していることが窺われた。回答のあったうちのほとんどが「婦人科で相談したことがない」と回答していたことは、日常生活に支障のある月経痛であっても婦人科を受診するには大きなハードルがあることが窺われるため、「健康のための婦人科受診の重要性」についての啓発が必要と推察された。
結論
全国の高校生・大学生の若い男女を対象に「結婚、出産についての意識調査」を実施した。
このような若い年代の男女を対象に全国規模で実施した同様の調査は、我々の検索した限り少なく、本研究は貴重である。近年の晩婚化・晩産化の動きは、若い世代が結婚や妊娠・出産を避けたり、敬遠しているからではなく、経済的、知識不足や経験不足からの不安が大きいことが推察された。よって、若い男女には不妊や不妊治療に関する正しい知識の普及が必要であり、妊娠・出産に適正な時期とライフプランを自己熟慮できる能力を養ってもらえるような教育が必要であることが示唆された。多くの高校・大学で進みつつあるキャリア支援教育や全人的人間教育に寄与する調査結果と考えられた。
このような若い年代の男女を対象に全国規模で実施した同様の調査は、我々の検索した限り少なく、本研究は貴重である。近年の晩婚化・晩産化の動きは、若い世代が結婚や妊娠・出産を避けたり、敬遠しているからではなく、経済的、知識不足や経験不足からの不安が大きいことが推察された。よって、若い男女には不妊や不妊治療に関する正しい知識の普及が必要であり、妊娠・出産に適正な時期とライフプランを自己熟慮できる能力を養ってもらえるような教育が必要であることが示唆された。多くの高校・大学で進みつつあるキャリア支援教育や全人的人間教育に寄与する調査結果と考えられた。
公開日・更新日
公開日
2014-08-27
更新日
-