縦断および横断調査によるライフコース事象の経時変化分析と施策への応用に関する研究

文献情報

文献番号
201301010A
報告書区分
総括
研究課題名
縦断および横断調査によるライフコース事象の経時変化分析と施策への応用に関する研究
課題番号
H24-政策-一般-004
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
金子 隆一(国立社会保障・人口問題研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 北村 行伸(一橋大学経済研究所)
  • 石井 太(国立社会保障・人口問題研究所 )
  • 釜野さおり(国立社会保障・人口問題研究所 )
  • 岩澤 美帆(国立社会保障・人口問題研究所 )
  • 守泉 理恵(国立社会保障・人口問題研究所 )
  • 鎌田 健司(国立社会保障・人口問題研究所 )
  • 西野 淑美(東洋大学社会学部)
  • 元森 絵里子(明治学院大学社会学部)
  • 相馬 直子(横浜国立大学大学院国際社会科学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
1,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、21世紀縦断調査ならびに出生動向基本調査等横断調査による既存データを活用し、次世代育成支援、ワークライフバランス確保等の観点から、結婚、出生、育児、就業、退職、健康などの国民生活やライフコース上の各種事象の変化を経時的に捕捉し、これらに対する厚生労働施策をはじめとする規定要因の影響について分析・評価を行うことにより、関連する諸施策の立案・推進に資する知見を提供するとともに、これら統計データの政策的応用可能性の開拓を行う。
研究方法
研究は2年間で行い、 (1)文献調査による少子化進展の要因・メカニズムに関するこれまでの理論・仮説の体系化ならびに理論化による整理、(2)各種仮説の妥当性ならびに調査データによる実証可能性の検討ならびに有効な仮説の構成、(3)調査データの統計分析による有力仮説の検証、検証結果の学術的、政策的含意に関する検討を行った。平成25年度には(3)の作業を中心に行い、各研究成果は総括報告書に個別論文として収録した。
結果と考察
本事業では (1)各種テーマに関するライフコースに関する実証研究、およびデータ特性把握-脱落・移動等の分析、(2) 21世紀縦断調査を中心としたパネルデータの分析法をまとめた『パネルデータ分析ガイド』の加筆、改訂、(3)データ管理・統計分析システム(PDA21)の継続開発、改良の3分野についての研究を行った。
 第1の分野においては、ライフコース事象に関する縦断・横断調査データを用いた統計分析とその施策への応用に関する研究を通じて、少子化対策や次世代育成関連のテーマについて取り組んだ。実施に際しては、平成26年7月以降、厚生労働省統計情報部の縦断調査班の担当者をオブザーバーとして、月に1~2回の頻度で研究報告会を開催し、研究内容の深化を図った。主な結果は、下記の通りである。1)出生需要を表す希望子ども数や子育て環境の背景となるジェンダー役割意識などが、年齢や結婚・出生などライフコース段階に応じて変化している、2)出生は子育ての負担感、不安感や「育てにくさ」、夫の育児参加といった子育ての物理的、心理的状況によって抑制されており、その内容は妻の就業状態によって異なる、3)働く女性への両立支援の効果に明確な地域性があり、都市的地域で不利である、4)親の喫煙が出生を阻害する効果が定量的に捉えられた、5)子どもの身体的成長に子育て支出が影響する、6)親の子ども観や姿勢が子どもの生活習慣に影響を及ぼしている。これらの知見は個々に重要な政策的含意を含むが、本事業では各研究結果を需要面と供給面に分けて体系的に理解することで、政策形成に対してより包括的な視点を提供することを意図しており、次世代育成に関する厚生労働行政において大いに活用されることが期待される。 
 第2の分野である『パネルデータ分析ガイド』の改訂では、最新の分析手法の紹介や初学者に配慮した解説の追記等を行った。本ガイドは、今後の21世紀縦断調査を用いた分析に貢献すると期待される。第3の分野であるデータ分析支援システムPDA21は、今回の改良により実用段階へと入り、より効率的な縦断調査の分析に貢献することが期待される。
結論
高度な統計分析手法の適用により、結婚、出生、育児、就業、退職などの国民生活やライフコース上の各種事象の変化とその要因についての分析を行い、政策的応用につながる多くの知見を得た。 さらに、複雑なデータ構造に効率的に対応するためのデータ管理分析システムの作成、分析法ガイドの作成、横断調査との比較を通じた脱落の偏り検証などを並行して行い、縦断調査の今後の活用のためのインフラ整備に努めた。

公開日・更新日

公開日
2014-08-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2015-01-23
更新日
-

文献情報

文献番号
201301010B
報告書区分
総合
研究課題名
縦断および横断調査によるライフコース事象の経時変化分析と施策への応用に関する研究
課題番号
H24-政策-一般-004
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
金子 隆一(国立社会保障・人口問題研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 北村 行伸(一橋大学経済研究所)
  • 石井 太(国立社会保障・人口問題研究所)
  • 釜野 さおり(国立社会保障・人口問題研究所)
  • 岩澤 美帆(国立社会保障・人口問題研究所)
  • 守泉 理恵(国立社会保障・人口問題研究所)
  • 鎌田 健司(国立社会保障・人口問題研究所)
  • 西野 淑美(東洋大学社会学部 )
  • 元森 絵里子(明治学院大学社会学部)
  • 相馬 直子(横浜国立大学大学院国際社会科学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、21世紀縦断調査ならびに出生動向基本調査等横断調査による既存データを活用し、次世代育成支援、ワークライフバランス確保等の観点から、結婚、出生、育児、就業、退職、健康などの国民生活やライフコース上の各種事象の変化を経時的に捕捉し、これらに対する厚生労働施策をはじめとする規定要因の影響について分析・評価を行うことにより、関連する諸施策の立案・推進に資する知見を提供するとともにこれら統計データの政策的応用可能性の開拓を行う。
研究方法
研究は2年間で行い、 (1)文献調査による少子化進展の要因・メカニズムに関するこれまでの理論・仮説の体系化ならびに理論化による整理、(2)各種仮説の妥当性ならびに調査データによる実証可能性の検討ならびに有効な仮説の構成、(3)調査データの統計分析による有力仮説の検証、検証結果の学術的、政策的含意に関する検討を行った。
結果と考察
本事業では (1)各種テーマに関するライフコースに関する実証研究、およびデータ特性把握-脱落・移動等の分析、(2) 21世紀縦断調査を中心としたパネルデータの分析法をまとめた『パネルデータ分析ガイド』の加筆、改訂、(3)データ管理・統計分析システム(PDA21)の継続開発、改良の3分野についての研究を行った。
 第1の分野においては、ライフコース事象に関する縦断・横断調査データを用いた統計分析とその施策への応用に関する研究を通じて、少子化対策や次世代育成関連のテーマについて取り組んだ。ただし、中高年者縦断調査を用いたテーマ研究については、第1年次のみを中心として研究を行った。実施に際しては、平成25年7月以降、厚生労働省統計情報部の縦断調査班の担当者をオブザーバーとして、月に1~2回の頻度で研究報告会を開催し、研究内容の深化を図った。主な結果は、下記の通りである。1)出生需要を表す希望子ども数や子育て環境の背景となるジェンダー役割意識などが、年齢や結婚・出生などライフコース段階に応じて変化している、2)出生は子育ての負担感、不安感や「育てにくさ」、夫の育児参加といった子育ての物理的、心理的状況によって抑制されており、その内容は妻の就業状態によって異なる、3)働く女性への両立支援の効果に明確な地域性があり、都市的地域で不利である、4)親の喫煙が出生を阻害する効果が定量的に捉えられた、5)子どもの身体的成長に子育て支出が影響する、6)親の子ども観や姿勢が子どもの生活習慣に影響を及ぼしている。これらの知見は個々に重要な政策的含意を含むが、本事業では各研究結果を需要面と供給面に分けて体系的に理解することで、政策形成に対してより包括的な視点を提供することを意図しており、次世代育成に関する厚生労働行政において大いに活用されることが期待される。一方、中高年者に関する研究からは、中高年者の健康を維持したり好転させたりするような要因や余暇活動への参加要因、さらには介護と育児のダブルケアの実態などが明らかとなった。これらの成果は高齢化の進展する中、中高年者が今後とも活力ある社会の一員として生活を続けるための施策に寄与すると期待できる。
 第2の分野である『パネルデータ分析ガイド』の改訂では、最新の分析手法の紹介や初学者に配慮した解説の追記等を行った。本ガイドは、今後の21世紀縦断調査を用いた分析に貢献すると期待される。第3の分野であるデータ分析支援システムPDA21は、今回の改良により実用段階へと入り、より効率的な縦断調査の分析に貢献することが期待される。
結論
高度な統計分析手法の適用により、結婚、出生、育児、就業、退職、健康などの国民生活やライフコース上の各種事象の変化とその要因についての分析を行い、政策的応用につながる多くの知見を得た。 さらに、複雑なデータ構造に効率的に対応するためのデータ管理分析システムの作成、分析法ガイドの作成、横断調査との比較を通じた脱落の偏り検証などを並行して行い、縦断調査の今後の活用のためのインフラ整備に努めた。

公開日・更新日

公開日
2014-08-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2015-01-23
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201301010C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究では、21世紀縦断調査(出生児調査、成年者調査、中高年者調査)ならびに横断調査(出生動向基本調査等)データの統計的分析を通じて、結婚、出生、育児、就業、退職、健康などの国民生活やライフコース上の各種事象の変化を経時的に捕捉し、これらに対する厚生労働施策をはじめとする規定要因の影響について分析を行うことにより、関連する諸施策の立案・推進に資する知見を得た。パネルデータの特徴を活かした高度な分析手法を適用することにより、精度の高いエビデンスが得られた。
臨床的観点からの成果
本項目は、本研究に該当せず。
ガイドライン等の開発
本項目は、本研究に該当せず。
その他行政的観点からの成果
本研究では、1)育児の負担・不安感や夫の育児参加等の子育ての物理的、心理的状況によって出生が抑制されており、その内容は妻の就業状態によって異なること、2)育児と就業の両立支援の効果には地域性が見いだされ、都市的地域で不利な状況があること、3)親の喫煙が出生に対して負の効果をもつこと、4)子どもの身体的成長に子育て支出が影響すること、5)親の子ども観や姿勢が子どもの生活習慣に影響を及ぼしていること等が明らかとなった。これらの知見は、次世代育成の観点から政策に対する重要なエビデンスといえる。
その他のインパクト
本事業の分析を通じて、国民生活に関する多くの新事実の把握や定量がなされた。これらの成果については、今後、精査を経てから、国内外の学会等において次世代健全育成、少子化対策ならびに高齢社会対策の論議の場に学術的知見として提供していく予定である。また、本事業で作成した縦断調査の分析法についてのガイドやデータベースシステムは、いずれも公刊や公開を予定しており、今後、縦断調査を用いた分析や二次利用の進展に寄与するものと思われる。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2014-06-06
更新日
2015-07-08

収支報告書

文献番号
201301010Z