薬剤師需給動向の予測に関する研究

文献情報

文献番号
201235011A
報告書区分
総括
研究課題名
薬剤師需給動向の予測に関する研究
課題番号
H22-医薬-指定-038
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
望月 正隆(一般社団法人薬学教育協議会)
研究分担者(所属機関)
  • 坂巻 弘之(名城大学 薬学部)
  • 長谷川 洋一(名城大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
薬学教育6年制卒薬剤師が平成24年4月に誕生し、薬剤師需給に係る推計の枠組み(フレームワーク)の確立は喫緊の課題である。そこで、これらの新たな要因を盛り込んだ薬剤師需給モデルを確立したうえで、将来の動向を予測することが重要である。本研究では、ア.6年制教育を経て養成される薬剤師の社会的需要ならびに6年制教育導入後の供給の動向に影響を与える要因の抽出・整理、イ.それらをパラメータとして、需給を予測するための手法・モデルの確立、ウ.実際に6年制教育の卒業生の就職動向を盛り込んだ需給モデルの精緻化の3点を研究目的として、それぞれ3カ年にかけて実施するものである。最終年である平成24年度は、フォーカスインタビューによって抽出・整理された要因を踏まえ、今後の需給動向の見通しについてシミュレーションによる予測を行った。
研究方法
ファクトデータの更新およびシミュレーションは、みずほ情報総合研究所に委託した。シミュレーションによる予測では、供給予測と需給予測に分け、要因を設定して予測を行った。
結果と考察
平成25年3月に行われた新薬剤師国家試験では、合格率が79.1%(新卒者は83.6%)と従来と同等の結果となったことから、従来の合格率を勘案し、下限(合格率75%)で設定した場合の供給予測を行った結果、受験者数が約1万人の場合では、今後10年くらいは増加し、平成47年まで薬剤師総数の減少はないと考えられた。
薬剤師の需要予測では、薬局や病院に従事する者が薬剤師数全体の約8割を占めることから、今後の処方せん枚数、病床数の変動についての推計から薬剤師需要の動向を予測した。薬局では、処方せん受け取り率が70%を上限とした場合、高齢者人口、投薬対象数の増加に伴い、在宅医療への取り組みの拡大などにより、高い需要があると考えられた。また、病院では、病棟常駐やチーム医療の進展、外来化学療法の普及などにより、短期的には需要が高まっていく結果となった。
結論
6年制卒薬剤師が輩出されて2年目の現時点では、地域偏在はあり得るものの、薬剤師の過不足が直ちに問題になるとは考えにくい。しかし、長期的には、近年の薬科大学や薬学部の新設による入学定員の増加を踏まえると、現在の薬剤師供給と需要が維持されたとしても、国や自治体の再就職支援や経済状況の変化、6年制薬剤師の意識の変化等による未就職者減少、就職率の向上などが継続していくと仮定した場合、10年単位では今後薬剤師が過剰になるとの予測について、否定できるものはない。需給の見通しは、その時々の社会情勢とも密接に関連しており、常に変化していくものであることから、今後も継続して、5年もしくは10年単位で需給動向を見極めることが望まれる。

公開日・更新日

公開日
2013-05-24
更新日
-

研究報告書(PDF)

文献情報

文献番号
201235011B
報告書区分
総合
研究課題名
薬剤師需給動向の予測に関する研究
課題番号
H22-医薬-指定-038
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
望月 正隆(一般社団法人薬学教育協議会)
研究分担者(所属機関)
  • 坂巻 弘之(名城大学 薬学部)
  • 長谷川 洋一(名城大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、ア.6年制教育を経て養成される薬剤師の社会的需要ならびに6年制教育導入後の供給の動向に影響を与える要因の抽出・整理、イ.それらをパラメータとして、需給を予測するための手法・モデルの確立、ウ.実際に6年制教育の卒業生の就職動向を盛り込んだ需給モデルの精緻化の3点を研究目的として、それぞれ3カ年にかけて実施するものである。3カ年の研究結果から、現時点の薬剤師の需給動向の見通しについてまとめた。
研究方法
各年度のファクトデータの更新、およびシミュレーションは、みずほ情報総合研究所に委託した。シミュレーションによる予測では、供給予測と需給予測に分け、フォーカスインタビューによる要因を設定して行った。
結果と考察
平成25年3月に行われた新薬剤師国家試験では、合格率が79.1%(新卒者は83.6%)と従来と同等の結果となったことから、従来の合格率を勘案し、下限(合格率75%)で設定した場合の供給予測を行った結果、受験者数が約1万人の場合では、今後10年くらいは増加し、平成47年まで薬剤師総数の減少はないと考えられた。
薬剤師の需要予測では、薬局や病院に従事する者が薬剤師数全体の約8割を占めることから、今後の処方せん枚数、病床数の変動についての推計から薬剤師需要の動向を予測した。薬局では、処方せん受け取り率が70%を上限とした場合、高齢者人口、投薬対象数の増加に伴い、在宅医療への取り組みの拡大などにより、高い需要があると考えられた。また、病院では、病棟常駐やチーム医療の進展、外来化学療法の普及などにより、短期的には需要が高まっていく結果となった。
結論
現時点では、地域偏在はあり得るものの、薬剤師の過不足が直ちに問題になるとは考えにくい。しかし、長期的には、近年の薬科大学や薬学部の新設による入学定員の増加を踏まえると、現在の薬剤師供給と需要が維持されたとしても、国や自治体の再就職支援や経済状況の変化、6年制薬剤師の意識の変化等による未就職者減少、就職率の向上などが継続していくと仮定した場合、10年単位では今後薬剤師が過剰になるとの予測について、否定できるものはない。5年単位程度の中期的な視野を持った対応が求められる。需給の見通しは、その時々の社会情勢とも密接に関連しており、常に変化していくものであることから、今後も継続して、5年もしくは10年単位で需給動向を見極めることが望まれる。

公開日・更新日

公開日
2013-05-24
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201235011C

成果

専門的・学術的観点からの成果
現在、統計対象となっている医師歯科医師薬剤師(三師)調査の他、就職動向、医療情勢などからみた需要動向と薬剤師国家試験による薬剤師輩出といった供給動向についてまとめた報告は従来よりあったが、6年制薬学教育がスタートしてからの研究報告はこれが初めてであり、今後の新たな需給予測のモデルとなり得るものである。
臨床的観点からの成果
平成24年末の調査結果では、依然、薬局や病院に従事する者が薬剤師数全体の約8割を占めており、今後もこの傾向に大きな変動はないものと思われる。
特に入院医療から在宅医療へのシフト、病棟常駐やチーム医療の進展、外来化学療法の普及など医療情勢の動向次第では、薬剤師需要の底上げ要因になるとの考察は維持できる。
ガイドライン等の開発
特になし。
その他行政的観点からの成果
地域偏在や薬剤師不足といった視点では、大きな変化は認められないが、特に女性の場合の出産、育児等による離職や無職・不詳者数の増加により、見かけ上需要が供給を上回ることが考えられた。
その他のインパクト
6年制教育では、臨床に係る実践的な能力を培うことから病院、薬局での従事者が大半を占める一方、大学や医薬品関係企業の従事者が減少傾向にあることから、薬学教育6年制といった新たな教育制度の実現により輩出される人材の活用、活躍が今後の需要動向のカギを握っている。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
3件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2017-05-29
更新日
-

収支報告書

文献番号
201235011Z