文献情報
文献番号
201210014A
報告書区分
総括
研究課題名
国内未承認エイズ治療薬等を用いたHIV感染症治療薬及びHIV感染症至適治療法の開発に係る応用研究
課題番号
H22-政策創薬-指定-018
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
福武 勝幸(東京医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 青木 眞(東京医科大学 医学部)
- 味澤 篤(東京都立駒込病院 感染症科)
- 岩本 愛吉(東京大学医科学研究所)
- 菊池 嘉(国立国際医療研究センター)
- 篠澤 圭子(東京医科大学 医学部)
- 白阪 琢磨(国立病院機構大阪医療センター)
- 藤井 輝久(広島大学 医学部)
- 関根 祐介(東京医科大学病院 薬剤部)
- 花房 秀次(荻窪病院)
- 三間屋 純一(静岡県熱海健康福祉センター ・ 熱海保健所)
- 山元 泰之(東京医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(政策創薬マッチング研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
100,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
日本のHIV感染者の数は欧米と比較すると非常に少ないものの、感染者数は今なお増加を続けており、この状況には強い危機意識をもって臨まなければならない。HIV感染の病態は放置すれば進行性であり、治療が遅れると様々な合併症が出現して予後不良となる。しかし、幸いにも近年の治療薬の進歩により適切な治療を行うことにより、予後は劇的に改善する疾患となった。ただし、治療薬はまだ未成熟なものが多く副作用などの重大な問題も多く残っている。したがって、新たに開発されたHIV感染症の治療薬のわが国への導入は感染者の生命を守るために迅速でなければならず、また、その使用は適切でなくてはならない。
本研究の根底には、日本では未承認であるが治療上欠くことのできない薬剤を迅速に供給する人道的な役割がある。血液凝固因子製剤による感染者が多数を占めるなど、わが国では特殊な環境にある疾患であることも重要な問題である。当然のことであるが、疾患に対する社会的受容の困難性も配慮して、患者の個人情報の保護に万全を期し、また、薬剤の使用に当たっては文書による同意を確認している。
本研究の根底には、日本では未承認であるが治療上欠くことのできない薬剤を迅速に供給する人道的な役割がある。血液凝固因子製剤による感染者が多数を占めるなど、わが国では特殊な環境にある疾患であることも重要な問題である。当然のことであるが、疾患に対する社会的受容の困難性も配慮して、患者の個人情報の保護に万全を期し、また、薬剤の使用に当たっては文書による同意を確認している。
研究方法
この研究は平成8年度に当時の厚生省薬務局研究開発振興課との協力により、HIV感染症及びエイズとその症随伴状の治療を日本の臨床現場に迅速に導入するための一つの方策として開始された。すなわち、日本で未承認の治療薬のうち、分担研究者として参加している専門医が早急に日本で必要と考えた薬剤を医師個人輸入により輸入して、海外の承認条件に基づいて治療に応用し治療成績を収集する形で、薬剤の緊急導入を可能にすると同時に至適治療法の開発を目指している。研究班が採用する薬剤は分担研究者であるHIV感染症診療の専門医の間で適宜協議のうえ決定し、適切な治療プロトコールが必要な薬剤についてはプロトコールのもとに臨床研究を行い薬剤の使用経験を蓄積している。情報公開のためインターネット上に研究班のホームページを有し、薬剤の情報を患者と医療者双方へ迅速に提供すると共に、最新の治療情報の提供や新規導入薬の情報を提供し医療水準の向上に寄与している。
結果と考察
ホームページへのアクセスは既に66.8万件を超え、平成8年4月1日から平成24年12月31日までに、延べ3,775例(昨年まで3,580症例)へ、9,529回(昨年まで9,072回)の薬剤送付(IFNを除く)が行われた。本年度(平成24年4月1日~平成24年12月31日)の申請は患者数延べ179例(昨年度2月末日351例)であった。ほとんどの症例で薬剤供給の継続申請があり、今年度の薬剤送付件数は367件(昨年度2月末888件)であった。今年度の患者数、年間供給件数はMepronの承認による研究班への需要の減少により大きく変化した。一方、カポジ肉腫治療薬のドキシルは一般への供給停止に伴い、再び当研究班を介してのHIV感染者限定使用となり増加した。Daraprim、Sulfadiazine、Doxilが需要の多い薬剤となった。前2者の使用はトキソプラズマ症は国内承認済み薬剤のみでは治療薬の種類が不足なためである。多くのHIV随伴症の治療薬では症例数が少ない試験となるため治療成績の評価には長期間が必要と考えられる。平成24年度の疾患別の症例数(前年)はHIV感染症25例(32例)、赤痢アメーバー症0例(0例)、ニューモシスチス(カリニ)肺炎33例(169例)、トキソプラズマ症37例(43例)、非定型抗酸菌症0例、母子感染予防15例(25例)、カポジ肉腫32例(8例)であった。薬剤別に送付回数と症例数を示すと、薬剤名(H24年4月1日から12月末までの送付数、症例数)①Aptivus(11,2)、②Daraprim (88,37)、③Epivir Syrup(18,3)、④FUZEON(0,0)、⑤Doxil(103,32)、⑥Intelence(0,0)、 ⑦Mepron Suspension (Wellvone)(62,48)、⑧Retrovir I.V. (18,18)、⑨Retrovir Syr.(25,19)、⑩ SULFADIAZINE(36,19)、⑪Viracept Oral Solution(6,1)、⑫Ziagen oral solution(0,0)となり、全薬剤の合計では17年間の送付が延べ9,529回, 3,775症例,今年度の送付は12月末の集計であるが、Mepron の承認を受けて367件,179症例と前年2月末までの888件,321症例と比べ大幅な減少となったが、Doxilの事件によりDoxilが増加となった。
結論
本研究は今後ともHIV感染症に係る適切な治療の発展のために重要であり、継続的な活動が必要と考えられた。
公開日・更新日
公開日
2013-08-13
更新日
-