シックハウス症候群の発生予防・症状軽減のための室内環境の実態調査と改善対策に関する研究

文献情報

文献番号
201134030A
報告書区分
総括
研究課題名
シックハウス症候群の発生予防・症状軽減のための室内環境の実態調査と改善対策に関する研究
課題番号
H23-健危・一般-010
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
欅田 尚樹(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 内山 茂久(国立保健医療科学院 生活環境研究部 )
  • 稲葉 洋平(国立保健医療科学院 生活環境研究部 )
  • 大澤 元毅(国立保健医療科学院 統括研究官)
  • 緒方 裕光(国立保健医療科学院 研究情報支援研究センター)
  • 加藤 貴彦(熊本大学 大学院生命科学研究部)
  • 内山 巌雄((財)ルイ・パストゥール医学研究センター)
  • 嵐谷 奎一(産業医科大学 産業保健学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
24,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
シックハウス症候群に関する問題は、厚生労働省による濃度指針の提示、建築基準法の改正等、幅広い産官学連携の対応により屋内空気質はずいぶんと改善してきた。しかし、濃度指針に定められなかった化学物質の濃度がむしろ増加しているとの報告もある。本研究では、幅広い分野の専門家が一団となって、快適な住環境の供給・維持管理・改善対策を提言することを目的とする。
研究方法
1)全国規模での室内空気質の疫学実態調査を実施するために、ポンプ、電源が不要な各種拡散サンプラーを開発し、一次汚染物質と二次汚染物質の動態を含めた空気質測定を実施する。
2)化学物質に高感受性を示す人の分布の経年変化を評価する。10年前にQEESI調査票を用いて、化学物質に高感受性を示す可能性のある集団比率の検討を行った。同調査票を用いて再調査を実施し今後の対策の基礎資料とする。
3)化学物質に高感受性を示す集団の宿主感受性要因を検討する。労働者集団およびシックハウス外来の患者の参加協力を得て、遺伝子的個体差にもとづく感受性リスク評価を行う。
いずれの研究も研究倫理審査委員会の承認を得た上で実施した。
結果と考察
1)オゾンとカルボニル化合物の同時測定およびアンモニア等塩基性ガスの測定用の拡散サンプラーを開発した。既に開発してきた揮発性有機化合物用および酸性ガス用拡散サンプラーも加え、計1,312個を用い、164家屋において室内外の化学物質濃度の実態調査を実施した。
2)QEESI調査票を用い7,245名の参加によるインターネット調査の結果、Millerらの設定したカットオフ値を超過し化学物質に対して感受性が高い可能性のある人の割合は4.4%であった。これらの背景については今後詳細調査を予定している。
3)個人の感受性要因を検討するために1,084名を対象にQEESI得点と薬物代謝酵素の遺伝子多型について比較検討したが有意な関連性は認めなかった。
4)そのほか実態調査として、防蟻剤等による床下環境汚染実態の調査試行及び、東日本大震災後に設けられた応急仮設住宅の室内空気環境調査を実施した。
結論
各種拡散サンプラーの開発による空気質実態調査の準備を整え予備調査を開始した。QEESI調査票による経年変化調査では、10年前に実施した対面調査とは異なりインターネット調査手法を利用したが、ある程度の割合で依然として高感受性者が存在していることが明らかとなった。

公開日・更新日

公開日
2012-12-25
更新日
-

収支報告書

文献番号
201134030Z