医薬品の製造開発から市販後に及ぶ品質確保と改善に関する研究

文献情報

文献番号
201132005A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品の製造開発から市販後に及ぶ品質確保と改善に関する研究
課題番号
H21-医薬・一般-005
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
奥田 晴宏(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
研究分担者(所属機関)
  • 檜山 行雄(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
3,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医薬品品質をより合理的かつ確実に規制するために、ISOの品質システムの概念が導入れるとともに、製品研究開発と品質管理に最新の科学と品質リスク管理の概念を導入することが奨励され、企業及び行政は品質規制システムの再検討が求められている。
本研究においては、製品研究開発の実情を調査し、申請承認の事例研究を実施する。この作業を通じて、規制当局に提出するデータを取得するための研究開発のあり方を再検討し、医薬品の一層の品質確保につながる科学的な承認審査を促進することが最終目標である。
研究方法
日本製薬工業協会、日本医薬品原薬工業会、都道府県、国立衛研等に所属する研究者・担当者並びにPMDAの審査・査察担当者とブレーンストーミングを実施し、ICHQ11等の国際的動向に注意を払いつつ、わが国における医薬品開発および製造における問題点に関して討論を行った。
結果と考察
1. 原薬の開発・製造情報に関する研究
前年度作成したQuality by Design (QbD)の概念で開発を想定し、作成した原薬研究開発レポートのモックを国衛研HPで公開、収集した意見等を基にモックを精査し、完成した。さらにこのモックで示されたQbD開発に基づくデータや品質リスクマネジメントの結果を基に、承認申請書の記載すべき事項の選定プロセスやその妥当性を検討し、承認申請書のモックを作成した。
2. 製剤の開発・製造情報に関する研究
多数のサンプル数(Large N)による含量均一性試験の妥当性について検討した。リアルタイムリリース試験(RTRT)における試験規格については生産者危険がより重要で、従来法の試験規格と生産者危険においてある程度一致させる必要があると結論した。
NIRの製剤工程管理への適用事例研究及びRTRTを採用する場合の試験方法に関する承認申請書への記載方法について事例研究を行った。
結論
管理戦略のライフサイクルにおける検討では、上市後に想定される変更について、具体的なケースを想定して対処法(管理戦略)を知識として工場へ移転することが有効であることを事例をあげて示した。
医薬品品質確保のために、化学薬品原薬及び製剤に関して製品開発時に特に留意すべき事項から課題を抽出し、研究開発すべき内容について具体的に検討した。

公開日・更新日

公開日
2014-05-27
更新日
-

文献情報

文献番号
201132005B
報告書区分
総合
研究課題名
医薬品の製造開発から市販後に及ぶ品質確保と改善に関する研究
課題番号
H21-医薬・一般-005
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
奥田 晴宏(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
研究分担者(所属機関)
  • 檜山 行雄(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医薬品品質管理にISOの品質システムの概念が導入れるとともに、製品研究開発と品質管理に最新の科学と品質リスク管理の概念を導入することが奨励され、企業及び行政は品質規制システムの再検討が求められている。
研究方法
本研究においては、製品研究開発の実情を調査し、申請承認の事例研究を実施する。この作業を通じて、規制当局に提出するデータを取得するための研究開発のあり方を再検討し、一層の品質確保と研究開発および科学的な承認審査を促進することが最終目標である。
産業界の研究者、地方庁、PMDA、国衛研の担当者がブレーンストーミングを行い、ICH等の国際的動向に注意を払いつつ、わが国における医薬品開発および製造における問題点に関して討論を行った。
結果と考察
1. 原薬の開発・製造情報に関する研究
化学合成医薬品に関しては、Quality by Design (QbD)の開発を想定し、原薬研究開発レポートのモックを作成した。さらにこのモックで示された研究開発結果を基に、承認申請書記載のあり方を検討し、承認申請書のモックを作成した。バイオ医薬品に関しては、モノクローナル抗体医薬品を対象とし、製法確立の要件、プラットフォーム技術、品質評価にあり方について調査研究を行った。また、将来の指針作成に有用な要素を調査した。
2. 製剤の開発・製造情報に関する研究
前回、厚生労働科学研究で作成した製剤研究開発レポートのモックを国内外で発表し、意見を収集し見直しの参考とし、さらにICHQ8-10実施作業部会に本モックを提供した。
管理戦略の事例に基づくシナリオ作成、近赤外スペクトル法の製剤工程管理への適用事例研究、タイムリリース試験(RTRT)における含量均一性評価のための試料数と評価(Large-N及びその承認書への記載に関して具体的に研究した。
多数のサンプル数(Large-N)による含量均一性試験の妥当性に関しては、RTRTにおける試験規格については生産者危険がより重要で、従来法の試験規格と生産者危険においてある程度一致させる必要があると結論した。
結論
医薬品品質確保のために、化成品・バイオ医薬品原薬及び製剤に関して製品開発時に特に留意すべき事項から課題を抽出し、研究開発すべき内容について具体的に検討した。

公開日・更新日

公開日
2014-05-27
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201132005C

成果

専門的・学術的観点からの成果
化学薬品・バイオ医薬品原薬及び製剤に関して製品開発研究時に特に留意すべき事項から課題を抽出し、研究結果をモック、ガイドライン案等の形式で具体的に示すことができた。
臨床的観点からの成果
医薬品のレギュラトリーサイエンス(RS)研究の目的の一つは、医薬品研究開発と申請承認プロセスを科学的かつ、広く受け入れ可能なものとして構築することであり、Quality by Designによる化学合成医薬品の研究開発や先端的モノクローナル抗体医薬品の研究開発にRS研究の観点から貢献できた。
ガイドライン等の開発
バイオ医薬品に関する研究成果は「抗体医薬品の品質評価のためのガイダンス(案)」として、厚生労働省から公表された。本ガイダンスは、遺伝子組換え技術を用いて構築された動物細胞又はヒト細胞を生産用細胞基材として製造されるモノクローナル抗体医薬品を対象とし、抗体医薬品の製造、特性解析、規格及び試験方法の設定において、共通する留意事項を明らかにし、承認申請に必要とされる事項の例を挙げることにより、抗体医薬品の合理的な開発の推進と審査の効率化を図ることを目的とするものである。
その他行政的観点からの成果
化学薬品原薬に関する研究開発レポートのモックは国際的にも例が少なく、QbDによる原薬の研究開発、開発された原薬の承認申請および審査の各プロセスを促進することが期待される。製剤の製造情報に関する研究は、国際調和された医薬品開発研究の新しい考え方を国内企業に導入する際の具体的な例示として薬に立つだけでなく、Q-IWGのPoints to Consider作成の議論に反映され、国際調和に直接貢献できたと考えられる。
その他のインパクト
2009年度には、製剤の開発・製造情報に関する研究チームは、前回厚生労働科学研究で作成した製剤研究開発レポートのモックを修正し、ICHQ8-10実施作業部会に提供し、本モックはICH Q8、Q9、Q10ガイドライン運用実務研修会の教育資料として用いられた。

発表件数

原著論文(和文)
10件
原著論文(英文等)
7件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
12件
学会発表(国際学会等)
6件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Sakai-Kato K, Nanjo K, Okuda H. et al.
Rapid and sensitive method for measuring the plasma concentration of doxorubicin and its metabolites.
Chem Pharm Bull , 60 (3) , 391-396  (2012)
原著論文2
Ohno A, Okuda H, Fukuhara K. et al.
A new approach to characterization of insulin derived from different species using 1H-NMR coupled with multivariate analysis.
Chem Pharm Bull , 60 (3) , 320-324  (2012)
原著論文3
Sakai-Kato K, Ishikura K, Okuda H. et al.
Evaluation of intracellular trafficking and clearance from HeLa cells of doxorubicin-bound block copolymers.
Int J Pharm. , 423 (2) , 401-409  (2011)

公開日・更新日

公開日
2014-05-27
更新日
2014-05-29

収支報告書

文献番号
201132005Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,800,000円
(2)補助金確定額
3,800,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,370,077円
人件費・謝金 0円
旅費 546,740円
その他 883,652円
間接経費 0円
合計 3,800,469円

備考

備考
預金利息

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
-