食品中の複数の化学物質による健康影響に関する調査研究

文献情報

文献番号
201131029A
報告書区分
総括
研究課題名
食品中の複数の化学物質による健康影響に関する調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H22-食品・一般-016
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
梅村 隆志(国立医薬品食品衛生研究所 病理部)
研究分担者(所属機関)
  • 西川秋佳(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター)
  • 原田孝則(財団法人残留農薬研究所)
  • 出川雅邦(静岡県立大学 薬学部)
  • 中澤裕之(星薬科大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
13,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品中には多様な化学物質が含まれており、ヒトはそれを長期間摂取する可能性が高い。従って、複数の化学物質による健康影響を解析することの必要性が指摘されている。本研究は、食品中化学物質の複合影響によるin vivo変異原性、神経毒性、代謝および反応生成物を多角的に解析し、実用的な安全性評価に資するデータの蓄積を目的とする。
研究方法
MeIQxおよびFLの複合影響を評価するため、gpt deltaマウス肝臓における、MeIQx誘発in vivo変異原性に対するFLの影響を検討した。フラン投与により発生した肝前がん病変における部位特異的なNrf2関連因子の遺伝子発現解析を行った。類似の作用機序を持つ農薬群の単回複合経口投与による急性毒性影響、2種類の有機リン系農薬を混合して妊娠6日より哺育21日まで複合反復経口投与し、児動物の発達に及ぼす影響、有機リン剤、有機塩素剤及び植物調整剤のアレルギー反応に及ぼす影響を検索した。ヒト肝CYP3A4酵素遺伝子の誘導をルシフェラーゼアッセイにより簡便に予測できる細胞株(HPL-A3)を用いて、食品添加物がCYP3A4酵素誘導に及ぼす影響を評価した。食品中に含まれる抗酸化物質に着目し、金属との反応がROS生成に及ぼす影響について評価した。
結果と考察
マウス肝臓におけるMeIQx誘発in vivo変異原性は、動物薬FLの併用投与により増強され、この作用には細胞増殖活性の亢進が関与している可能性が考えられた。フラン誘発GST-PU2yDuVwB陽性細胞巣では、Nrf2経路が活性化している可能性が示唆された。多剤の複合暴露影響の予測には、2剤の複合毒性情報が有用である可能性が示唆された。有機リン系農薬を複合反復投与すると単剤暴露に比べ相加的に毒性が強く発現し、さらに生理学的変化の著しい妊娠期では、その症状や毒性は増強される傾向にあった。ある種の農薬の反復投与は、アトピー性皮膚炎反応を増強する可能性が示唆された。CURとTBZにはCYP3A4遺伝子の発現を変動させる作用があることが示された。オルト位にフェノール性水酸基を有する化合物とビタミンは二価の銅と反応し、ROSが生成されることが明らかとなった。
結論
発がん過程早期における細胞増殖誘導や腫瘍内微小環境と言った新たな作用点での複合影響を明らかにした。同じ作用点を有する農薬では多剤の複合影響予測の可能性を示した。食品中化学物質の新たな作用点の可能性あるいは新たな組み合わせの可能性を提示した。

公開日・更新日

公開日
2012-05-31
更新日
-

収支報告書

文献番号
201131029Z