比較・分析による歯科関連職種における国家試験の在り方の研究

文献情報

文献番号
201129030A
報告書区分
総括
研究課題名
比較・分析による歯科関連職種における国家試験の在り方の研究
課題番号
H22-医療・一般-032
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
須田 英明(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 歯髄生物学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 石橋 寛二(岩手医科大学)
  • 福田 仁一(九州歯科大学)
  • 中垣 晴男(愛知学院大学 口腔衛生学講座)
  • 末瀬 一彦(大阪歯科大学 歯科技工学・インプラント学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、歯科関連職種における国家試験について海外における状況を調査し、その内容および実施方法等について比較・分析を行った。特に技術能力評価の試験については、海外での導入状況を詳細に確認し、日本国内における試験の在り方について検討した。
研究方法
海外の歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士国家試験等について、試験日数、出題形式、合格率、合格基準、技術試験の方法等を調査した。平成22年度に得られた結果を分析したところ、調査回答国に関する追跡調査および回答国の増加が必要であった。そこで、平成23年度は補充調査期間を平成23年4月?7月に設定し、調査国の増加および回答国からの回答の疑問点を追跡調査した。
結果と考察
歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士に関して、それぞれ33・27・16ヶ国より回答が得られた。国家試験実施国はそれぞれ13・3・3ヶ国であった。
歯科医師国家試験に関しては、試験日数は1、2日が多かった。出題形式は多肢選択形式の筆記試験が主に行われていた。多くの国で合格率が80%以上で、また、合格得点が予め規定されていた。臨床技能試験については、患者を用いた臨床評価が3ヶ国、模型を用いた臨床評価が4ヶ国、模擬臨床問題が5ヶ国であった。歯科医師国家試験での技能評価を行う上で、実際の臨床試験の施行は困難である。本研究結果から、わが国の歯科医師国家試験をさらに発展させ、国民に寄与する必要が認められた。
歯科衛生士国家試験に関しては、実施国全てで多肢選択式筆記試験が採用されていた。多肢選択式筆記試験で行われるわが国の歯科衛生士国家試験の在り方は、養成校での臨床実習並びに評価が適正に行われることが前提であり、国家試験は専門職として具有すべき知識および判断能力を評価すべきものと考えられた。
歯科技工士国家試験に関しては、実施国全てで多肢選択式筆記試験および実技試験が行われていた。実施国の歯科技工士教育や国家試験制度は、いずれもわが国の実情を参考にして策定されたものであり、歯科技工士制度や教育において世界のリーダー的役割を担ってきたわが国の制度改革は急務である。
結論
海外における技術能力評価試験との比較・分析により、国家試験で求められる技能の適正な評価を発展させ、さらに臨床実習や臨床研修の充実に関連させることにより、国民により良質な歯科医療を提供できるものと結論された。

公開日・更新日

公開日
2012-05-21
更新日
-

文献情報

文献番号
201129030B
報告書区分
総合
研究課題名
比較・分析による歯科関連職種における国家試験の在り方の研究
課題番号
H22-医療・一般-032
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
須田 英明(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 歯髄生物学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 石橋 寛二(岩手医科大学)
  • 福田 仁一(九州歯科大学)
  • 中垣 晴男(愛知学院大学 歯学部 口腔衛生学講座)
  • 末瀬 一彦(大阪歯科大学 歯科技工学・インプラント学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、歯科関連職種における国家試験について海外における状況を調査し、その内容および実施方法等について比較・分析を行った。特に技術能力評価の試験については、海外での導入状況を詳細に確認し、日本国内における試験の在り方について検討した。

研究方法
海外の歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士国家試験等について、以下の項目の調査を平成22?23年度にわたり実施した。すなわち、試験日数、出題形式、合格率、合格基準、技術試験の方法、口腔と全身との関わり、禁忌肢問題の出題、受験回数の制限等である。
結果と考察
歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士に関して、それぞれ33・27・16ヶ国より回答が得られた。国家試験実施国はそれぞれ13・3・3ヶ国であった。
歯科医師国家試験に関しては、試験日数は1、2日が多かった。出題形式は多肢選択形式の筆記試験が主に行われていた。多くの国で合格率が80%以上で、また、合格得点が予め規定されていた。臨床技能試験については、患者を用いた臨床評価が3ヶ国、模型を用いた臨床評価が4ヶ国、模擬臨床問題が5ヶ国であった。すべての国で口腔と全身疾患との関係に関する問題を出題していたが、禁忌肢問題を出題している国はなかった。受験回数制限を設けない国がほとんどであった。歯科医師国家試験での技能評価を行う上で、実際の臨床試験の施行は困難である。本研究結果から、わが国の歯科医師国家試験をさらに発展させ、国民に寄与する必要が認められた。
歯科衛生士国家試験に関しては、実施国全てで多肢選択式筆記試験が採用されていた。多肢選択式筆記試験で行われるわが国の歯科衛生士国家試験の在り方は、養成校での臨床実習並びに評価が適正に行われることが前提であり、国家試験は専門職として具有すべき知識および判断能力を評価すべきものと考えられた。
歯科技工士国家試験に関しては、実施国全てで多肢選択式筆記試験および実技試験が行われていた。実施国の歯科技工士教育や国家試験制度は、いずれもわが国の実情を参考にして策定されたものであり、歯科技工士制度や教育において世界のリーダー的役割を担ってきたわが国の制度改革は急務である。
結論
海外における技術能力評価試験との比較・分析により、国家試験で求められる技能の適正な評価を発展させ、さらに臨床実習や臨床研修の充実に関連させることにより、国民により良質な歯科医療を提供できるものと結論された。

公開日・更新日

公開日
2012-05-21
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201129030C

成果

専門的・学術的観点からの成果
客観的多肢選択形式による筆記試験で実施されている現行の歯科医師国家試験で、技術能力が適正に評価されているかについては、いまだ十分に検討がなされていない。本研究では、歯科関連職種における国家試験について海外における状況を調査するとともに、その内容および実施方法等について比較・分析を行った。特に技術能力評価の試験については、海外での導入状況を詳細に確認するとともに、日本国内における歯科関連職種の国家試験の在り方について検討し、提言を作成した。
臨床的観点からの成果
歯科医師国家試験での技能評価を行う上で、臨床試験の施行は困難である。海外における技術能力評価試験との比較・分析により、国家試験で求められる技能の適正な評価を発展させ、さらに臨床実習や臨床研修の充実に関連させ、ひいては技能が向上することにより、国民により良質な歯科医療を提供できるものと結論された。歯科衛生士国家試験の在り方は、養成校での臨床実習並びに評価が適正に行われることが前提であり、国家試験は専門職として具有すべき知識および判断能力を評価すべきものと結論された。
ガイドライン等の開発
歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士の各国家試験に関する提言を作成した。歯科医師では国家試験を補完するものとして、卒前のOSCE、CBT、卒後の臨床研修、卒後研修、専門医制度等と国家試験とを有機的に連携させ、卒後に必要な歯科医師の知識・技量の標準化を図ること、歯科衛生士では歯科衛生士養成学校で確かな臨床能力評価が行われること、国家試験による多肢選択式筆記試験で実技的内容を問う問題が充実されること、歯科技工士では、学説試験のみ全国統一化を図り、実地試験は他の方法により技術評価の担保が考えられた。
その他行政的観点からの成果
わが国の歯科医師国家試験をさらに発展させ、国民に寄与する必要が認められた。海外における技術能力評価試験との比較・分析により、国家試験で求められる技能の適正な評価を発展させ、さらに臨床実習や臨床研修の充実に関連させ、技能が向上することにより、国民により良質な歯科医療を提供できるものと結論された。歯科衛生士(27ヶ国回答)・歯科技工士(16ヶ国回答)国家試験に関しては、それぞれ実施国は3ヶ国に留まっており、その制度や教育において世界のリーダー的役割を担い、国の制度改革を早急に行われなければならない。
その他のインパクト
平成24年1月27日、比較・分析による歯科関連職種における国家試験の在り方の研究に関する公開ワークショップを開催した。ワークショップには、全国から歯学部の主に教育・国際交流を担当する教員、あるいは歯科衛生士および歯科技工士の養成に従事している教員が多数参加した。歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士の海外の国家試験に関する各演題終了後にわが国の今後の国家試験の在り方について活発な議論がなされた。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
2件
歯科医師国家試験の在り方に関して調査研究として報告した。 歯科技工士国家試験の在り方に関して調査研究として報告した。
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
3件
歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士それぞれの国家試験の在り方について調査研究発表を行った。
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件
平成24年1月27日、比較・分析による歯科関連職種における国家試験の在り方の研究に関する公開ワークショップを開催した。

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
末瀬一彦、須田英明、石橋寛二他
国内外における比較・分析による歯科技工士国家試験の在り方に関する研究
日本歯科技工学会雑誌 , 33 (2) , 99-111  (2013)
原著論文2
海老原新、石村瞳、森田一三他
歯科医師国家試験に関する国際アンケート調査
日本歯科医学教育学会雑誌 , 29 (3) , 238-245  (2013)

公開日・更新日

公開日
2016-05-24
更新日
2018-08-16

収支報告書

文献番号
201129030Z