保存された診療データの二次利用適用レベルに準じた、医療提供プロセスおよびアウトカムの病院横断比較、年次縦断比較に関する多施設共同研究

文献情報

文献番号
201129026A
報告書区分
総括
研究課題名
保存された診療データの二次利用適用レベルに準じた、医療提供プロセスおよびアウトカムの病院横断比較、年次縦断比較に関する多施設共同研究
課題番号
H22-医療・一般-028
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
尾藤 誠司(独立行政法人国立病院機構 東京医療センター 臨床研究センター 政策医療企画研究部 臨床疫学研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 伏見清秀(東京医科歯科大学大学院・医歯薬総合研究科・医療情報システム学・医療政策学・医療経済学)
  • 藤森研司(北海道大学病院地域医療指導医支援センター・医療システム学・医療情報学・放射線医学)
  • 堀口裕正(東京大学医学系研究科・医療政策学)
  • 小林美亜(独立行政法人国立病院機構本部 総合研究センター 診療情報分析部・医療安全・医療管理)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
11,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成22年度は、試用を行う上での具体的な臨床評価指標の設定を行うとともに、それぞれの測定項目を抽出する上での標的データ・ベースを定義づけた。加えて、テキストデータを匿名化するためのソフトウェアの開発を行った。平成23年度において我々は、各施設において実際にデータ抽出を行い、その結果に基づき、分析の現実可能性、データの正確さと抽出の現実性、個人情報保護の観点からの問題点等について検討した。
研究方法
今年度、我々は、実際に多施設の病院情報システムを対象に、当該の抽出要件を適応した上で実際にデータを抽出し、結果を解析することを試みた。検討の結果、実際に施設に適用させる測定項目は、臨床評価指標としての性質を持つ10項目と、比較疫学研究的側面を持つ3項目の、合計13項目とした。データ抽出の際、特に必要となる薬剤名を定義づけるために、各施設に採用薬剤等を問い合わせつつ薬剤抽出に関する共通マスタを作成し、その薬剤マスタを用いてデータ抽出を行った。
結果と考察
最終的に以下の13項目を測定し得た。;①高カリウム血症患者における心電図検査の施行率 、②糖尿病患者における血糖値の改善率 、③ヘリコバクターピロリの除菌療法の効果 、④気管支喘息のコントロール不良率 、⑤NSAIDs投与による有害事象の発生率 、⑥術後呼吸回数の観察実施率 、⑦手術当日、術前もしくは術中の抗菌薬の投与率 、⑧術後2日以内の膀胱留置カテーテルの抜去率 、⑨術前剃毛の実施率 、⑩術前プレメディ投薬率 、⑪術後安静度解除実施率 、⑫SPO2低下時における胸部レントゲンによる評価の実施率 、⑬心房細動患者のCHADS2スコアの測定率。その上で、抽出・分析された結果に対して、以下の3点についての可能性および制限についてまとめを行った;1.異なるデータ・ベースからのデータ抽出がもたらす、医療機能測定や研究を目的とした分析への可能性について、2.データの正確さと抽出の現実性について、3.個人情報保護の観点から見たリスクについて
結論
本研究事業の結果を通じて、我々は以下のように病院情報システムの二次利用の可能性に期待するとともに、今後の改善点について結論付けた。
・病名の整理を含めた、情報入力時の標準化
・入力時のデータ・ベース構造を想定した退院時サマリーフォーマットのデザイン
・タイムスタンプを含む処置等の実行に関する信号化

公開日・更新日

公開日
2012-05-21
更新日
-

文献情報

文献番号
201129026B
報告書区分
総合
研究課題名
保存された診療データの二次利用適用レベルに準じた、医療提供プロセスおよびアウトカムの病院横断比較、年次縦断比較に関する多施設共同研究
課題番号
H22-医療・一般-028
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
尾藤 誠司(独立行政法人国立病院機構 東京医療センター 臨床研究センター 政策医療企画研究部 臨床疫学研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 伏見清秀(東京医科歯科大学大学院・医歯薬総合研究科・医療情報システム学・医療政策学・医療経済学)
  • 藤森研司(北海道大学病院地域医療指導医支援センター・医療システム学・医療情報学・放射線医学)
  • 堀口裕正(東京大学医学系研究科・医療政策学)
  • 小林美亜(独立行政法人国立病院機構本部 総合研究センター 診療情報分析部・医療安全・医療管理)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、特に病院における診療の質を測定することに着目し、日常の病院業務の中から得られた病院情報を二次利用し、施設間比較や経年比較が可能な臨床評価指標の形で導き出し、その現実性や測定可能性、また抽出されたデータの妥当性などについて検討することを目的とする。また、その試験的運用から抽出された可能性や問題点について検討し、今後の病院情報システムの基盤や環境について考察する。
研究方法
研究デザイン: 主に日常診療の中で集積された診療データの二次解析。
対象病院および患者:国立病院機構で電子情報システムを採用し、活発に運用を行っている9病院および岐阜大学
測定項目:今回の事業においては、臨床評価指標の直接算出を念頭に置いたうえで測定内容についての検討を行った。具体的には、Aパターン --「検査データ」や「外来処方データ」を含むデータ源を用いる--、Bパターン --患者IDの匿名化を図ったデータ』あるいは『テキストデータで抽出し、数値コードを与えることによってデータに変換できるものについて患者IDの匿名化を図ったデータ』を含む-- 、Cパターン --感染症サーベイランス関連のデータ、および、患者安全情報など、医療安全に関連する情報を含むデータ--、Dパターン --DPCデータ/レセプトデータを情報源の主体とする―、に分類したうえ定義を行った。
データ収集および解析方法:原則的には、各病院に格納されているデータベースから直接測定アルゴリズムに基づいて解析を行い結果を抽出した。
結果と考察
当初19の指標を定義したが、データ抽出に関連する技術的なバリアや、個人情報の観点から実際には13項目を対象とした。調査の対象となったのは東京医療センターを含む7病院であった。それぞれの評価指標において、その信頼性および妥当性、データ抽出に関する問題点などが明らかになった。
結論
今後、病院情報システムを二次利用する上で、以下のような工夫が必要と考えられた。
・異なるシステムに格納されているデータベースを安全に連結することができるような環境
・実行に関する入力信号を発生させる上での標準化と、タイムスタンプの誤差を最小にするための認証
・外来におけるバイタルサインや病名などの入力時の標準化
・退院時サマリのデータベース化
・患者アウトカムおよびケースミックスの標準的な記録

公開日・更新日

公開日
2012-05-21
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201129026C

収支報告書

文献番号
201129026Z