稀少難治性皮膚疾患に関する調査研究 | 厚生労働科学研究成果データベース

文献情報

文献番号

201128184A

報告書区分

総括

研究課題名

稀少難治性皮膚疾患に関する調査研究

課題番号

H23-難治・一般-028

研究年度

平成23(2011)年度

研究代表者(所属機関)

岩月　啓氏(国立大学法人岡山大学　大学院医歯薬学総合研究科　皮膚科学分野)

研究分担者(所属機関)

天谷　雅行(慶應義塾大学　医学部　皮膚科学)
橋本　隆(久留米大学　医学部　皮膚科学)
青山　裕美(岡山大学　大学院医歯薬学総合研究科　皮膚科学分野)
照井　正(日本大学　医学部皮膚科学系皮膚科学分野　皮膚科学)
許　南浩(岡山大学　大学院医歯薬学総合研究科　細胞生物学分野)
小宮根　真弓(自治医科大学　医学部　皮膚科学)
清水　宏(北海道大学　大学院医学研究科　皮膚科学分野)
金田　安史(大阪大学　大学院医学系研究科　遺伝子治療学)
小島　勢二(名古屋大学　大学院医学系研究科　小児科学)
池田　志斈(順天堂大学　医学部　皮膚科学)
山本　明美(旭川医科大学　医学部　皮膚科学)
黒沢　美智子(順天堂大学　医学部　衛生学)
武藤　正彦(山口大学　大学院医学系研究科　皮膚科学分野)
玉井　克人(大阪大学　大学院医学系研究科　再生誘導医学寄附講座)
白方　裕司(愛媛大学　医学部附属病院　先端医療創生センター)
秋山　真志(名古屋大学　大学院医学系研究科　皮膚病態学)

研究区分

厚生労働科学研究費補助金疾病・障害対策研究分野難治性疾患克服研究

研究開始年度

平成23(2011)年度

研究終了予定年度

平成25(2013)年度

研究費

53,846,000円

研究者交替、所属機関変更

-

研究報告書（概要版）

研究目的

天疱瘡、表皮水疱症、膿疱性乾癬と魚鱗癬様紅皮症の４疾患群についての調査研究を実施。

研究方法

１）臨床疫学統計と臨床調査個人票改訂、２）遺伝・病因的調査、３）病態解明、４）診断・治療法開発、５）ガイドライン改訂、６）情報公開・啓発、７）診療費用実態調査を実施し、８）生体試料収集の管理・運用を目指して横断的な共同事業組織を検討した。

結果と考察

１）臨床調査個人票を用いた疫学統計を継続、臨床調査個人票を改訂。症例登録調査を実施。
２）ゲノムワイド遺伝的相関解析（GWAS）：天疱瘡で組織整備、膿疱性乾癬で疾患感受性候補遺伝子解析。表皮水疱症で遺伝型／表現型解析進行中。
３）天疱瘡：病因性抗体の解析。AireKOマウスにより疾患発生機序を解析。膿疱性乾癬：病態関連分子制御機構の解析（S100A9の新規受容体）。DNA マイクロアレイによる発症要因（IL-8,IL-33）解明。モデルマウス解析で病因（IL-23/Th17）シグナル解析。表皮水疱症：病因変異リコンビナントCOL7タンパクから発症機序解明。骨髄間葉系幹細胞の機能解析。魚鱗癬様紅皮症：病因蛋白CYP4F22の機能解析。炎症誘導機構解析（マスト細胞活性化因子サイトカイン）。患者由来iPS細胞を作成し表皮細胞の誘導に着手。
４）天疱瘡：診断法の改良と開発（病因性Dsg3、Dsc3ELISA 法）。診断拠点活動継続。抗CD20抗体の自主臨床試験を実施。膿疱性乾癬：新規臨床検査マーカーの有用性報告。顆粒球吸着療法の多施設共同試験を施行。TNF α阻害薬療法の有効性安全性の検証。先天性表皮水疱症：培養皮膚の改良実用化。骨髄幹細胞移植療法、骨髄間葉系幹細胞移植臨床試験の準備中。魚鱗癬様紅皮症：低侵襲性診断法、簡便な遺伝子検体調整法開発。新規外用剤の効果検討。
５）ガイドライン改訂と英訳化を進めている。
６）医療者、患者家族向けパンフレットを全国配付、ウェブサイトでPDF版公開。
７）医療費実態調査。
８）医薬基盤研究所や他研究班と共同で、倫理承認と知財所有権の解決策を提案。

結論

稀少難治性皮膚疾患（４疾患群）について、申請研究課題に沿って研究を実施し、疾患発生モデルや幹細胞・遺伝子治療など、最先端の研究成果が生まれた。多施設共同臨床試験へ向け、班員による探索的臨床試験に着手した。病態や根治的治療についてはなお未解決の問題は多く、研究を継続する必要がある。