文献情報
文献番号
201128090A
報告書区分
総括
研究課題名
臨床疫学調査結果・新規免疫検査結果に基づくアトピー性脊髄炎の新規診断基準作成とその国内外での臨床応用
課題番号
H22-難治・一般-130
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
吉良 潤一(九州大学 医学研究院)
研究分担者(所属機関)
- 飛松 省三(九州大学大学院医学研究院臨床神経生理学分野)
- 楠 進(近畿大学医学部神経内科)
- 坂田 清美(岩手医科大学医学部衛生学公衆衛生学)
- 谷脇 考恭(久留米大学医学部呼吸器・神経・膠原病内科)
- 河村 信利(九州大学病院神経内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
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研究報告書(概要版)
研究目的
従来の診断基準でのアトピー性脊髄炎の臨床疫学調査結果の解析や免疫学的、臨床神経生理学的な手法を用いた新規診断マーカーに関する検討を行い、より感度・特異度の高い新規のアトピー性脊髄炎診断基準を作成することを目的とした。また、その診断基準を用いた日本国内や海外での本疾患の実態を把握や治療指針の作成を行うことにより、新規治療法や予防法の開発を目指した。
研究方法
1)アトピー性脊髄炎の電気生理学的検査結果の解析、2)新規アトピー性脊髄炎診断基準の作成および感度・特異度の検討、3)アトピー性脊髄炎の新規診断基準英語版の作成、4)気管支喘息患者及びアトピー性皮膚炎患者におけるアトピー性脊髄炎の前向き調査、5)アトピー性脊髄炎の免疫学的マーカーに関する検討、6)アトピー性脊髄炎患者における遺伝学的背景の検討を行った。
結果と考察
1)アトピー性脊髄炎は、視覚誘発電位や下肢運動誘発電位は正常例が多く、運動・感覚誘発電位では末梢神経異常例が比較的多かった。2)アトピー性脊髄炎と脊髄発症の多発性硬化症との臨床像、各種検査結果の比較から、シンプルかつ診断精度の高い診断基準を作成、改訂を行った。新規診断基準の感度・特異度ともに93%、陽性的中率は82%、陰性的中率は98%であった。3)新規アトピー性脊髄炎診断基準の英語版を作成し、国際英文誌に掲載された。4)気管支喘息患者及びアトピー性皮膚炎患者におけるアトピー性脊髄炎の前向き調査でアトピー性脊髄炎併発の頻度などのデータが得られた。5)血小板機能指標である血液中GP IIb/IIIa値がアトピー性脊髄炎患者において上昇していた。6)日本人アトピー性脊髄炎では、HLA-DPB1*0201が疾患感受性遺伝子となっていた。
結論
本研究により、感度・特異度の高いアトピー性脊髄炎の新規診断基準が作成された。今後は新規アトピー性脊髄炎の診断基準を用いた国内における前向き調査の継続および海外との共同臨床疫学調査の実施を行い、人種による有病率の差、臨床像の差、治療の実態などを明らかにし、アトピー性脊髄炎の早期診断の実現や免疫学的な新規バイオマーカーの開発の継続および各種免疫学的治療によるバイオマーカーの変動の検討による新規治療法や予防法の開発に関する研究が重要と考えられた。
公開日・更新日
公開日
2013-03-28
更新日
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