文献情報
文献番号
201126003A
報告書区分
総括
研究課題名
アトピー性皮膚炎の予防・治療法の開発及び確立に関する研究
課題番号
H21-免疫・一般-003
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
清水 宏(北海道大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 戸倉 新樹(浜松医科大学 医学部)
- 秋山 真志(名古屋大学 大学院医学系研究科)
- 有田 賢(北海道大学 大学院医学研究科)
- 乃村 俊史(北海道大学 北海道大学病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
24,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
近年の我々の研究によって、フィラグリン遺伝子変異が日本人アトピー性皮膚炎(以下、AD)の主要な病因であることが明らかになった。本研究は、この事実に基づき、①フィラグリン遺伝子変異の有無を指標としたADのテーラーメイド治療の確立、②フィラグリンをターゲットにしたADの新しい治療法(リードスルー治療)、予防法の開発を目指すものである。
研究方法
フィラグリン遺伝子変異の有無を指標としたテーラーメイド治療の確立には、変異を持つAD患者と変異を持たないAD患者を多数収集する必要があるため、平成22年度に引き続き、AD患者の収集と、フィラグリン遺伝子変異検索を行った。次に、16歳未満の小児AD患者を対象に、フィラグリン遺伝子変異の有無を指標としたADのテーラーメイド治療の確立に向けた介入試験を企画し、北海道大学病院倫理委員会に申請を行った。
また、ナンセンス変異を持つルシフェラーゼ遺伝子とGFP遺伝子を用いて、リードスルー活性を測定可能なレポータージーンアッセイを確立し、19,992個の化合物ライブラリーをスクリーニングした。
また、ナンセンス変異を持つルシフェラーゼ遺伝子とGFP遺伝子を用いて、リードスルー活性を測定可能なレポータージーンアッセイを確立し、19,992個の化合物ライブラリーをスクリーニングした。
結果と考察
約250例のAD患者のリクルートに成功し、新規変異を含む、10種類のフィラグリン遺伝子変異を同定することに成功した。これらの結果をもとに、フィラグリン遺伝子変異の有無を指標としたADのテーラーメイド治療の確立に向けた介入試験を企画し、北海道大学病院倫理委員会の承認を得ることに成功した。今回承認された介入試験により、これまで全く不明であった、フィラグリン遺伝子変異の有無によるADの治療効果の差異が明らかになり、テーラーメイド治療の確立に繋がるものと期待される。また、フィラグリンをターゲットにしたADの新規治療法の開発(リードスルー治療)に向けて、ドラッグスクリーニングを行い、約50個のヒット化合物を同定した。これらの化合物は、強いリードスルー活性を持つことが予想され、今後アトピー性皮膚炎や種々の遺伝性疾患への臨床応用につながることが期待される。
結論
ADに対する治療は現状では対症療法が主体であるが、フィラグリン遺伝子変異をターゲットとした、テーラーメイド治療とリードスルー治療の確立により、病因に則した新たな治療戦略の開発が期待できる。
公開日・更新日
公開日
2012-06-07
更新日
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