ウイルス性肝炎の病態に応じたウイルス側因子の解明と治療応用

文献情報

文献番号
201125022A
報告書区分
総括
研究課題名
ウイルス性肝炎の病態に応じたウイルス側因子の解明と治療応用
課題番号
H22-肝炎・一般-006
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
榎本 信幸(山梨大学 大学院医学工学総合研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 藤井 秀樹(山梨大学 大学院医学工学総合研究部)
  • 山下 篤哉(山梨大学 大学院医学工学総合研究部)
  • 松本 武久(独立行政法人 理化学研究所横浜研究所)
  • 朝比奈 靖浩(武蔵野赤十字病院)
  • 今村 道雄(広島大学病院)
  • 中本 安成(福井大学医学部)
  • 堀田 博(神戸大学大学院医学研究科)
  • 鈴木 哲朗(浜松医科大学医学部)
  • 鈴木 文孝(虎の門病院 肝臓病センター)
  • 中川 美奈(東京医科歯科大学)
  • 加藤 直也(東京大学医科学研究所)
  • 加藤 宣之(岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 横須賀 收(千葉大学 大学院医学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
62,907,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ウイルス性肝炎における治療抵抗性、病態、発癌に関与するウイルス遺伝子変異を明らかとし、病態解明を行うことにより一般診療への標準化を目指すと共に、これらの病態に関与するウイルス側因子を標的とした新規治療法の開発基盤確立を目標とする。
研究方法
肝炎ウイルス全ゲノムダイレクトシークエンス、あるいは次世代シークエンサーによって病態と関連するウイルス構造を、IL28Bを含む宿主因子を含めた解析を通して明らかとする。さらに肝内遺伝子発現、免疫担当細胞、サイトカインの意義を明らかとし、これらの結果を踏まえ、培養細胞・ヒト肝細胞キメラマウスモデル等の系を用いて治療抵抗性ウイルスに対する創薬を行う。
結果と考察
ハイスループットのHCVゲノムワイド解析システムを構築し、IL28B遺伝子とは独立にHCV core、あるいはNS5A遺伝子領域変異がPEG-IFN/Ribavirin併用療法およびプロテアーゼ阻害剤の治療効果を規定することを解明、特にcore変異については定量法を確立し、治療抵抗性HCVの治療中・後の動態を明らかにした。HCV-2a,-2b,-4aのNS5Aの特定領域(IRRDR及びISDR)のアミノ酸配列の多様性と治療反応性の関連を確認した。次世代シークエンサーによる肝炎ウイルス遺伝子解析法を開発、HCV core遺伝子変異が肝癌発症に関連することを明らかとした。一方、IL28B SNPはPEG-IFN/Ribavirin治療効果と強く関連するとともに、自然免疫系遺伝子発現変化、HCVcore変異や肝脂肪化、IFN治療後の発がんリスクと関連していること、さらにIL28Bが遷延性のISG誘導を引き起こすことによりinterferonの効果を増強することを示した。C型慢性肝炎・肝がん患者のTregおよびMDSC は高い抑制性サイトカイン産生能を示し、肝がんの進展と相関することを示した。HCV関連HCCをマイクロアレイによる遺伝子発現パターンで分類し臨床学的特徴を解析し、さらに各サブクラスの非癌部に特徴的に発現している遺伝子を同定しその分子生物学的特徴を推定した。NS2protease、あるいはHelicase等をターゲットとして効果のある海洋抽出物を含む候補物質を見出した。
結論
治療反応性、肝発癌に対するHCV core、あるいはNS5A遺伝子領域変異の関与が明らかとなる一方、IL28Bの病態への関与も示された。今後ウイルスとIL28Bの関連をさらに明らかにして病態の理解を深め、さらに創薬に結びつけてゆく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2012-06-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2013-01-17
更新日
-

収支報告書

文献番号
201125022Z