文献情報
文献番号
201125004A
報告書区分
総括
研究課題名
C型肝炎における新規治療法に関する研究
課題番号
H21-肝炎・一般-004
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 文孝(虎の門病院 肝臓センター)
研究分担者(所属機関)
- 豊田 成司(北海道厚生連札幌厚生病院 消化器科)
- 考藤 達哉(大阪大学大学院医学研究科 樹状細胞制御治療学)
- 朝比奈 靖浩(武蔵野赤十字病院 消化器科)
- 森屋 恭爾(東京大学医学部附属病院 感染制御部)
- 坂本 穣(山梨大学医学部附属病院 肝疾患センター)
- 酒井 明人(金沢大学医学部附属病院 光学医療診療部)
- 谷口 雅彦(旭川医科大学医学部 外科)
- 梅村 武司(信州大学医学部 内科)
- 今村 道雄(広島大学病院 消化器代謝内科)
- 瀬崎 ひとみ(虎の門病院 肝臓センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
31,980,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
C型慢性肝炎のgenotype1型、高ウイルス量症例では持続型インターフェロン(PEG-IFN)とリバビリン(RBV)併用療法が施行されてきたが、十分な効果が得られていなかった。新規治療薬であるプロテアーゼ阻害剤のtelaprevir(TVR)による治療も含め、C型肝炎に対する新規治療薬、治療法の効果と効果予測因子について基礎的、臨床的に研究を行い、臨床的に有用な新規治療薬、治療法の確立を目指すことが目的である。
研究方法
PEG-IFN+RBV+TVR併用療法、PEG-IFN+RBV+NS5A阻害剤併用療法、プロテアーゼ阻害剤+NS5A阻害剤併用療法、 二重濾過血漿交換療法(DFPP)併用PEG-IFN+RBV併用療法、 C型肝炎ウイルスの感染培養系や感染マウスを用いた新規治療薬の効果、C型肝炎ウイルスによる脂質への影響について研究した。
結果と考察
TVRとPEG-IFN+RBV併用24週間投与を施行したgenotype1型高ウイルス量94例の各薬剤の投与量と抗ウイルス効果との関連を検討した。全体の治療成績はSVR 73%であった。PEG-IFNの投与量別SVR率は80%未満で58%、80%以上で79%、TVRは投与量90%以上で78%、90%未満で50%、RBVは投与量40%以上で80%がSVRとなった。PEG-IFN+RBVとNS5A阻害剤(BMS790052)の3者併用では、naive例では9例中6例がSVR、前治療non-responder例では、8例中2例がSVRとなった。プロテアーゼ阻害剤(BMS-650032)+NS5A阻害剤併用療法(内服薬2剤;24週間投与)の治験では、前治療null responder群のSVR率91%、標準治療不適格例、不耐用例では64%であり、高い有効率を認めた。DFPP併用PEG-IFN+RBV併用療法では、SVR率は全体44%、naive症例51%であった。一方基礎的検討としてヒト肝細胞キメラマウスの実験で、高脂血症の治療薬であるエゼチミブは、NPC1L1と拮抗しHCV感染を抑制することを示した。またC型肝炎ウイルスの脂質への影響や樹状細胞への作用、HCV core遺伝子発現マウスにおけるstatinの作用を明らかにした。
結論
日本ではC型肝炎患者の高齢化が進んでおり、また合併症のある症例も多いためIFNを使用できない患者さんが増加している。したがって将来的には内服薬のみで効果の高い治療法が求められており、現時点で高い治療効果が期待されている。今後はこれら新規薬剤の治療の効果と効果に関係する因子や安全性を明らかにしていく必要がある。
公開日・更新日
公開日
2012-06-01
更新日
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