健康づくりのための運動基準・運動指針改定ならびに普及・啓発に関する研究

文献情報

文献番号
201120043A
報告書区分
総括
研究課題名
健康づくりのための運動基準・運動指針改定ならびに普及・啓発に関する研究
課題番号
H22-循環器等(生習)・指定-021
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
宮地 元彦(独立行政法人国立健康・栄養研究所 健康増進研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 田畑 泉(立命館大学 スポーツ健康科学部)
  • 宮武 伸行(香川大学 医学部)
  • 沼田 健之(岡山県南部健康づくりセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
10,910,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は「健康づくりのための運動基準2006・運動指針2006」改定に資するために、1)系統的レビューによるエビデンスの収集とメタ解析による分析、2)栄研コホートによる運動指針の妥当性の検討を行うことである。
研究方法
1)運動基準2006を改定するために、生活習慣病・がん予防、ロコモ・認知症の予防のために必要な身体活動量や体力について検討した前向きコホート研究のシステマティックレビューとメタ解析を実施した。班会議を5回開催し、日本体力医学会でワークショップを開催した。2)身体活動量の基準値週23メッツ・時/週の妥当性を検証するために、栄研コホートで大規模無作為割付介入研究を実施した。
結果と考察
1)運動基準2006からの改正のポイントとして、①生活習慣病予防だけでなく、がん予防・社会生活機能の低下予防も重視した点、② 新しく65歳以上の高齢者のための基準を示した点などが挙げられる。18歳以上64歳未満のための身体活動量・運動量の基準値として、①強度が3メッツ以上の中高強度の総身体活動23メッツ・時/週、②強度が3メッツ以上の中高強度の運動量を4メッツ・時/週、65歳以上のための基準値として、③3メッツ未満も含む余暇身体活動あるいは運動を4メッツ・時/週、性・年代別の全身持久力の基準値(メッツ)として、④男性 40歳未満:11.0メッツ、40-59歳:10.0メッツ、60歳以上:9.0メッツ、女性 40歳未満:9.5メッツ、40-59歳:8.5メッツ、60歳以上:7.5メッツを提案する。
2)大規模介入研究に関して、平成24年1月31日時点において、ベースライン測定が終了した者は985名(活動群345名、非活動対照群237名、身体活動介入群239名、除外群164名)であった。身体活動量の1年間の変化を3群で比較すると、身体活動介入群においてのみ有意な増加を示した。1年間の縦断的分析において3群間に生活習慣病危険因子の変化に差が認められなかった。ベースラインに腰痛がなく、最低1年以上観察が終了した者は526名であった。平均2.3年間(1?4年)の観察期間において腰痛有訴者数は73名であった。非活動対照群をに対して身体活動介入群の腰痛有訴調整ハザード比は0.50(0.27-0.93)となり、身体活動介入により腰痛有訴を50%程度抑制できる可能性が示唆された。
結論
システマティックレビューとメタ解析により、運動基準改定のためのエビデンスを構築できた。また大規模介入研究では、23メッツ・時/週の効果について、腰痛有訴者発生予防に関する縦断的成果が得られた。

公開日・更新日

公開日
2015-10-13
更新日
-

収支報告書

文献番号
201120043Z