胎児不整脈に対する胎児治療の臨床研究

文献情報

文献番号
201114042A
報告書区分
総括
研究課題名
胎児不整脈に対する胎児治療の臨床研究
課題番号
H23-臨研推・一般-004
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
左合 治彦(独立行政法人国立成育医療研究センター 周産期センター)
研究分担者(所属機関)
  • 池田 智明(独立行政法人国立循環器病研究センター 周産期・婦人科部)
  • 北島 博之(地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪府立母子保健総合医療センター 新生児科)
  • 伊藤 裕司(独立行政法人国立成育医療研究センター 周産期センター新生児科)
  • 前野 泰樹(久留米大学医学部 小児科)
  • 村越 毅(聖隷浜松病院 総合周産期母子医療センター 周産期科)
  • 林 聡(独立行政法人国立成育医療研究センター 周産期センター胎児診療科)
  • 石井 桂介(地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪府立母子保健総合医療センター 産科)
  • 斉藤 真梨(横浜市立大学大学院 臨床統計学・疫学 横浜市立大学附属市民総合医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究推進研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
薬剤の適応外使用のため、臨床応用が進まない胎児頻脈性不整脈に対する経胎盤抗不整脈剤治療の臨床試験を実施して、薬剤の有効性と母児に対する安全性を評価して治療法を臨床的に確立するとともに、胎児治療を受けた児の予後評価やその他の胎児治療における研究を通して胎児治療の臨床応用を推進することを目的とする。
研究方法
1) 胎児頻脈性不整脈に関する経胎盤的抗不整脈薬投与に関する臨床研究は、臨床試験の症例登録を開始し、試験を継続した。また安全性について安全性評価委員会で検討した。2)児の予後評価体制に関する研究は、過去の胎児頻脈性不整脈の児のフォローアップの現状を調査し、長期データベース作成に必要な情報と採取状況について検討した。3)胎児における臨床試験推進に関する研究は、胎児鏡下レーザー手術の治療技術や適応拡大、予後因子評価に関する統計学的研究を行った。
結果と考察
1) 胎児頻脈性不整脈に関する経胎盤的抗不整脈薬投与に関する臨床研究:経胎盤的抗不整脈薬投与の有効性と安全性を評価する臨床試験の症例登録を開始した。初年度であり症例登録数は8例と少なかったが、8例中6例に治療効果を認め、治療効果は期待できた。2)児の予後評価体制に関する研究:現状のフォローアップ体制や情報収集体制では不十分であり、連絡がとれ、また発達検査などもできる児の予後評価体制を整備していく必要がある。3)胎児における臨床試験推進に関する研究:胎児鏡下レーザー手術は手術技術の改良でより安全に施行できることが明らかになり、平成24年4月より保険収載となった。「重症胎児発育不全を伴う一絨毛膜双胎に対する胎児鏡下レーザー手術の早期安全性試験」の臨床試験の準備が整い、症例登録が開始した。予後因子の解析における在胎週数の影響について因果モデルを用いて適切に解析できることを明らかにした。
結論
胎児頻脈性不整脈に対する経胎盤的抗不整脈薬投与の有効性と安全性を評価する臨床試験が本格的に開始された。これは薬剤による胎児治療の介入試験であり、世界でも初めてであり画期的な研究である。胎児治療を受けた児の予後評価のためには、現状のフォローアップ体制や情報収集体制では不十分であり、新たな体制の整備が不可欠である。胎児鏡下レーザー手術に関する研究は着実に進んでおり、保険収載など研究成果が行政に反映されるようになってきた。

公開日・更新日

公開日
2012-07-02
更新日
-

収支報告書

文献番号
201114042Z