我が国の保健医療制度に関する包括的実証研究

文献情報

文献番号
201101034A
報告書区分
総括
研究課題名
我が国の保健医療制度に関する包括的実証研究
課題番号
H22-政策・指定-033
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
渋谷 健司(東京大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 小林 廉毅(東京大学 大学院医学系研究科)
  • 橋本 英樹(東京大学 大学院医学系研究科)
  • 池上 直己(慶応大学 医学部)
  • 尾形 裕也(九州大学 大学院医学研究院)
  • 泉田 信行(国立社会保障・人口問題研究所)
  • 田宮菜奈子(筑波大学 大学院人間総合科学研究科)
  • 野口 晴子(国立社会保障・人口問題研究所)
  • 池田 奈由(東京大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本プロジェクトの主な目標は、皆保険制度50周年の節目に当たる平成23年度に計画されているランセット日本特集号の掲載論文を作成するとともに、我が国の保健医療制度や国内外における保健政策に向けてエビデンスに基づいた提言を行うことである。具体的には、グローバルヘルスや米国の保健制度改革において議論の中心である「皆保険制度(universal coverage)」を念頭に6つのテーマにおける実証分析を行い(①生活習慣病疾病負担と保健介入有効カバー率、②わが国の皆保険度の歴史的考察と現状分析、③医療の質と費用、④高齢者医療と介護の分析、⑤国際保健戦略、⑥我が国の保健医療制度の総括)、国内外向けの戦略提言をまとめることである。
研究方法
6つのテーマごとに研究協力者を定め、包括的な実証分析のために、関連官庁統計調査の個票データの目的外使用申請も行った。
今年度(平成23年度)は全体班会議を3度開催し、そのうち1回はランセット日本特集号の発表と同時に震災後の我が国の保健医療制度を議論する公開シンポジウムを行った(平成23年9月1日)。各計画研究班の研究に関しては、6つの学術論文を英国「ランセット誌」日本特集号において発表した。
結果と考察
ランセット日本特集号では、日本の医療の主要な業績と、現在直面している課題を取り上げた。最初の国民の健康指標についての論文では、日本がいかに平均寿命を延ばし、死亡率を低下させることに成功したかを分析している。二つ目の論文では、日本がいかにして国民皆保険を達成し、いかにして保険制度ごとの格差を是正し、医療費増による財政へのしわ寄せを軽減させてきたのかを分析した。3つ目の論文はヘルスケア・システムが医療の質を維持しつつ、医療費を抑制することができたのか、分析している。4つ目の論文は、2000年から実施されている、急速な高齢化に対応する主要政策である介護保険制度について調査した。最後の総括論文では、日本や他の国々に向けた教訓をまとめた。
結論
過渡期にあるわが国の保健医療制度を実証的に分析し、国内外に発信することで将来戦略のビジョンを示し、同時に、ランセットという媒体を最大限活用して、わが国の国内医療改革の議論の喚起とグローバルヘルスにおけるプレゼンスと知的貢献の強化を行うことができた。同時に、今後は、これまでの学際的な研究活動を集大成し、我が国の保健医療改革への提言をまとめ、国内外へ向けた政策提言並びに広く市民社会へ情報の発信を行う予定である。

公開日・更新日

公開日
2012-11-29
更新日
-

収支報告書

文献番号
201101034Z