健康リスク低減のための新たな浄水プロセス及び管路更新手法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
201036004A
報告書区分
総括
研究課題名
健康リスク低減のための新たな浄水プロセス及び管路更新手法の開発に関する研究
課題番号
H20-健危・一般-005
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
藤原 正弘(財団法人水道技術研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 安藤 茂(財団法人水道技術研究センター )
  • 鈴木 泰博(財団法人水道技術研究センター )
  • 武内 辰夫(財団法人水道技術研究センター)
  • 谷口 元(財団法人水道技術研究センター)
  • 松山 秀人(神戸大学 大学院 工学研究科)
  • 木村 克輝(北海道大学 大学院 工学研究院)
  • 伊藤 雅喜(国立保健医療科学院 水道工学部)
  • 神子 直之(立命館大学 理工学部)
  • 大瀧 雅寛(お茶の水女子大学 大学院)
  • 宮島 昌克(金沢大学 理工研究域)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
水系感染症の発生、地震等による断水の発生、基幹施設の老朽化等の課題に対処するため、新たな浄水用膜素材の開発、水道施設の維持管理の高度化、施設耐震化の促進、施設設備の現況機能の評価・診断手法等について研究を行った。
研究方法
研究代表者、研究分担者に加え、水道事業体等の研究協力者からなるワーキンググループをテーマ別に設け、各テーマの課題に応じて、アンケート等による実態調査、膜構造等に関する実験及び水道事業体におけるケーススタディ等を行った。
結果と考察
PVP等により改質したPVDF中空糸膜を製作し、ファウリング特性を検討した結果、強度及び耐ファウリング性に優れた膜素材に関する基礎的な知見を得た。また、膜の逆洗流束とファウリングの進行との関係及びファウリング発生部位を検討し、ファウリング抑制に効果的な逆洗流束や膜モジュール構造に関する基礎的な知見を得た。
膜損傷の程度と膜損傷の検出感度及び方法の関係を検討した結果、膜損傷検出試験には少なくとも直接法の適用が必要であることが分かった。一方、薬品洗浄の膜劣化への影響については、薬品洗浄は損傷が生じるような膜の劣化に直接影響しなかった。これらの知見を基に「膜ろ過浄水施設維持管理高度化マニュアル(案)」をとりまとめた。
紫外線照射実験により、紫外線処理の地表水への適用及び塩素代替消毒・マルチバリア消毒の適用可能性が確認できた。管路及び浄水施設等を全体的に診断できる「水道施設機能診断マニュアル」をとりまとめ、診断作業を容易にする評価点自動計算ソフトも作成した。
近年の地震による管路被害データベースを分析して新たな管路の地震被害予測手法を提案するとともに、過去の地震被害と予測結果とを比較して、本被害予測手法の妥当性を検証した。また、本予測式を用いた被害予測の留意事項等をまとめた「地震による水道管路被害予測の手引き」を作成し、被害予測式を組み込んだ計算ソフトも作成した。
結論
膜素材に関する研究成果は今後の水道用膜素材の開発に寄与するものであり、膜損傷検出法に関する知見や紫外線処理の地表水への適用等の研究成果は、更なる安全な水の供給に大きく寄与するものである。一方、水道施設機能診断手法は、経年化水道施設の更新、アセットマネジメントの実践などに活用でき、地震時管路被害予測式は、管路の効果的・効率的な耐震化を図る上で重要である。

公開日・更新日

公開日
2011-07-22
更新日
-

文献情報

文献番号
201036004B
報告書区分
総合
研究課題名
健康リスク低減のための新たな浄水プロセス及び管路更新手法の開発に関する研究
課題番号
H20-健危・一般-005
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
藤原 正弘(財団法人水道技術研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 安藤 茂(財団法人水道技術研究センター )
  • 鈴木 泰博(財団法人水道技術研究センター )
  • 武内 辰夫(財団法人水道技術研究センター )
  • 谷口 元(財団法人水道技術研究センター )
  • 松山 秀人(神戸大学 大学院 工学研究科)
  • 木村 克輝(北海道大学 大学院 工学研究院)
  • 伊藤 雅喜(国立保健医療科学院 水道工学部)
  • 神子 直之(立命館大学 理工学部)
  • 大瀧 雅寛(お茶の水女子大学 大学院)
  • 宮島 昌克(金沢大学 理工研究域)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
水系感染症の発生、地震等による断水発生、基幹施設の老朽化等の課題に対処するため、新たな浄水用膜素材の開発、水道施設の維持管理の高度化、施設耐震化の促進、施設設備の現況機能の診断手法等について研究を行った。
研究方法
研究代表者、研究分担者に加え、水道事業体等からの研究協力者によりワーキンググループをテーマ別に設け、各テーマに応じて、アンケート等による実態調査、膜構造等に関する実験及び水道事業体におけるケーススタディ等を行った。
結果と考察
PVP等により改質したPVDF中空糸膜を製作し、ファウリング特性を検討した結果、強度及び耐ファウリング性に優れた膜素材に関する基礎的な知見を得た。また、膜の逆洗流束とファウリング進行との関係及びファウリング発生部位を検討し、ファウリング抑制に効果的な逆洗流束や膜モジュール構造に関する基礎的知見を得た。
膜損傷の程度と膜損傷の検出感度及び方法の関係を検討した結果、膜損傷検出試験には少なくとも直接法の適用が必要であることが分かった。一方、薬品洗浄は損傷が生じるような膜の劣化に直接影響しないことが分かった。これらの知見を基に「膜ろ過浄水施設維持管理高度化マニュアル(案)」をとりまとめた。
紫外線照射実験により、紫外線処理の地表水への適用及び塩素代替消毒・マルチバリア消毒の適用可能性が確認できた。
水道施設全体を診断できる「水道施設機能診断マニュアル」をとりまとめ、診断作業を容易にする評価点自動計算ソフトも作成した。
近年の地震による管路被害データベースを分析して新たな管路の地震被害予測手法を提案し、併せて過去の地震被害と予測結果の比較から本被害予測手法の妥当性を検証した。また、本予測式による被害予測の留意事項等をまとめた「地震による水道管路被害予測の手引き」を作成し、被害予測計算ソフトも作成した。
結論
膜素材に関する研究成果は今後の水道用膜素材の開発に寄与するものであり、膜損傷検出法に関する知見や紫外線処理の地表水への適用等の研究成果は、更なる安全な水の供給に寄与するものである。一方、水道施設機能診断手法は、経年化水道施設の更新、アセットマネジメントの実践などに活用でき、地震時管路被害予測式は、管路の効果的・効率的な耐震化を図る上で重要である。なお、本被害予測式は、平成23年に発生した東日本大震災における管路被害に基づいた検証が望まれる。

公開日・更新日

公開日
2011-07-22
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2012-03-21
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201036004C

成果

専門的・学術的観点からの成果
強度及び耐ファウリング性に優れた膜素材、効果的な逆洗流束や膜モジュール構造、並びに膜損傷「健康リスク低減のための新たな浄水プロセス及び管路更新手法の開発に関する研究」の成果として提案した管路の地震被害予測手法・予測式に、平成23年3月の東日本太平洋沖地震により生じた管路被害を新たな知見として検証・修正を加え、簡易でかつ高い精度を有する水道管路の地震被害予測式を提案した。
臨床的観点からの成果
特記事項なし。
ガイドライン等の開発
簡易でかつ高い精度を有する新たな水道管路地震被害予測式の検討経緯、検証結果、活用方法及び活用例等をまとめた「地震による管路被害予測の確立に向けた研究報告書」を平成25年3月に刊行した。
その他行政的観点からの成果
水道ビジョンは、厚生労働省が我が国の水道が果たすべき役割と目標を定めるものとして平成16年6月に策定、平成20年7月に改定されたが、更に、水道を取巻く環境の変化等を受けた検討が行われ、平成25年3月に「新水道ビジョン」が策定された。この検討過程において本研究の成果が研究開発の取組みとして参考にされ、新水道ビジョンに反映された。
その他のインパクト
水道技術国際シンポジウムにおいて水道施設機能診断手法の開発に関する成果発表を行った。また、JWRC地域水道講習会(2回)及びJWRC膜ろ過浄水施設維持管理研修会(1回)において、本研究の成果としての水道施設機能診断手法及び膜ろ過設備の維持管理の実態等に関する講演を行った。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
全国水道研究発表会(10) 日本水環境学会シンポジウム(2) 日本水環境学会年会(9) 日本膜学会 分離技術会 化学工学会(2) 京都大学環境衛生工学研究会(2) 自然災害科学会
学会発表(国際学会等)
1件
水道技術国際シンポジウム
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
厚生労働省新水道ビジョン
その他成果(普及・啓発活動)
3件
JWRC地域水道講習会(2) JWRC膜ろ過浄水施設維持管理研修会(1)

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
原 敬一 安藤 茂 藤原正弘
紫外線照射装置の構造及び維持管理
環境衛生工学研究 , 23 (3) , 61-64  (2009)
原著論文2
天野幹大 鈴木泰博 藤原正弘
老朽化した水道施設の機能診断
環境衛生工学研究 , 23 (3) , 65-68  (2009)
原著論文3
天野幹大
水道技術研究センターにおける耐震化対策の取組み
水道協会雑誌 , 79 (3) , 97-107  (2010)
原著論文4
高嶋渉
膜浄水技術の発展と今後
工業用水 ,  (609) , 9-18  (2011)

公開日・更新日

公開日
2013-06-10
更新日
-

収支報告書

文献番号
201036004Z