情報の構造化による医療事故・ヒヤリハット情報の利活用に関する研究

文献情報

文献番号
201031038A
報告書区分
総括
研究課題名
情報の構造化による医療事故・ヒヤリハット情報の利活用に関する研究
課題番号
H22-医療・一般-022
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
秋山 昌範(東京大学 政策ビジョン研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 嶋森 好子(東京都看護協会)
  • 清水 佐知子(大阪大学医学系研究科)
  • 種田 憲一郎(国立保健医療科学院)
  • 松尾 豊(東京大学大学院工学系研究科総合研究機構)
  • 伊藤 孝行(名古屋工業大学工学研究科)
  • 樋口 範雄(東京大学大学院法学政治学研究科)
  • 佐藤 智晶(東京大学政策ビジョン研究センター)
  • 小塩 篤史(東京大学政策ビジョン研究センター)
  • 後 信(財団法人日本医療機能評価機構)
  • 古川 裕之(山口大学医学部附属病院薬剤部)
  • 土屋 文人(国際医療福祉大学附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療事故情報、ヒヤリハット情報などのデータを構造化することによって、利活用の進展に繋げ、医療安全の向上に寄与する目的である。医療事故やヒヤリハットの情報収集事業で集まったデータは、当初標準化されておらず、フリーテキストデータを含んでいるため、利活用の用途は制限されていたが、オントロジーなどの技術を用いて、事故・ヒヤリハット情報を構造化し解析した。
研究方法
事故情報の構造化手法の検討の研究資料として、日本医療機能評価機構が実施する医療事故情報等収集事業の医療事故情報、ヒヤリハット事例データを使用した。オントロジーや自然言語処理などの情報工学的な手法を用いて、自然言語による事故情報に構造を与え、視覚化を行った。事故情報のオントロジーに関するモデル構築も試み、ユースケース・アクター毎による事故情報の分類として、医師・看護師・薬剤師・患者の観点から分類を行った。WHOの患者安全部と連携を図り、解析結果の国際的公表・標準化への検討を進めつつ、安全・安心な情報の利活用に関する制度設計のため、暗号化、個人推定手法などを応用することで、匿名性を担保するための技術、海外事例の検証からと、利活用のための法的制度設計の基礎を検討した。
結果と考察
事故・ヒヤリハット情報内で関係性の高い単語のワットワークを構築し、ボトムアップ型に作られたネットワークとの関係の検討を行った。その結果、どのネットワークにおいてもステップ数が増えるほど同一の分類のノードの割合が減少していることが分かった。1ステップ内に存在する同一分類の比率は、内容、背景、改善策全ての項目においてほぼ同様であった。一方、ネットワーク全体でみた場合には内容・改善策に比べ、背景に関する所与の分類は散らばって存在していた。これらの解析結果を基に、医師・看護師・薬剤師を含んだ専門家と議論を行い、妥当性の検証を行った。ジュネーブにおいて、WHOの患者安全部と意見交換を行い、現在の状況の把握と今後の協力について検討した。海外における事故情報の分類・解析に係る事例について情報収集や文献レビューを通じて、事故情報の解析に関する先行事例や他分野での解析事例に関して概括した。
結論
事故情報・ヒヤリハット情報をweb工学的手法で解析することで、これらの情報を医療安全のためのエビデンスとして、活用することが容易になると考えられた。また、この解析を繰り返すことで、事故・ヒヤリハット情報の標準化に繋がり、さらなる利活用の進展と医療安全の向上が望まれた。

公開日・更新日

公開日
2011-06-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2012-03-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201031038Z