外国人のHIV予防対策とその介入効果に関する研究

文献情報

文献番号
201029029A
報告書区分
総括
研究課題名
外国人のHIV予防対策とその介入効果に関する研究
課題番号
H22-エイズ・一般-005
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
仲尾 唯治(山梨学院大学 経営情報学部)
研究分担者(所属機関)
  • 沢田 貴志(神奈川県勤労者医療生活協同組合港町診療所 内科)
  • 樽井 正義(慶応義塾大学 文学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
12,385,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は外国人のHIV予防と早期受診を実現するための方策の検討にある。
研究方法
①外国人のHIV予防と早期受診を促進するプログラムの開発とその効果の検討 ②出身国及び日本での医療アクセスの現状調査とその検討 ③拠点病院における外国人診療困難要因の検討 ④あるべき制度や施策の実現に向けての検討
結果と考察
1.本研究班推奨モデル対応先行医療機関でのモニタリング:従来多かったタイ人がここ数年減り、出身国に広がりが見られた。HAART療法開始の2003年以降、継続的にHIV陽性者の受診が続きCD4中央値が上昇傾向にあった。2.新規介入の佐久地域では、まだ受検・受診実績はないがタイ人住民および医療従事者に対する質的調査から、早期受検・受診を阻害する要因について、①HIVを死の病気と捉えていることが多く、これは年齢が高く日本に来てから年数が長い者ほど強い ②受検の阻害因子としてはプライバシーや通訳に対する不安 ③医療一般受診への阻害因子としては、言葉の壁・経済的な課題・不安定な立場から来る社会心理的な課題が認められた。3.困難だったミャンマーについて情報が得られた。4.HIV陽性外国人の出身国としてアジア・アフリカの10カ国以上と帰国後連絡が出来、橋渡し事例を通して各国情報が得られた。5.アフリカではGlobal Fundの資金不足やHAART治療開始推奨基準の変更などにより、一部に新規治療導入上の混乱があることが分かった。6.外国人診療困難要因として、①日本での受療確保を阻害するDV等の家族問題や制度面の問題 ②出身国での治療アクセス面 ③多様化する言語による障壁、などの課題が得られた。 7.海外先進例調査として、フランス、カナダなどの情報が得られた。以上の結果から、前研究班体制から採用してきたモデルであるケアサポートと予防情報を並行して提供し、早期受診を促す統合的アプローチが次第に功を奏してきていると考えられる。これには在留資格者の増加や出身国での状況の改善といった本研究外の国際社会におけるダイナミックな変化による要因が連動しており、こうした背景を考察しつつ研究を行う必要がある。
結論
先行モニタリング医療機関では、初診時CD4中央値の改善傾向は維持されている。このことは、われわれ研究班が推奨してきたケアサポートと予防情報を並行して提供し、早期受診を促す統合的アプローチの妥当性を補強するのに役立つと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
-

収支報告書

文献番号
201029029Z