国際的な感染症情報の収集、分析、提供機能およびわが国の感染症サーベイランスシステムの改善・強化に関する研究

文献情報

文献番号

201028030A

報告書区分

総括

研究課題名

国際的な感染症情報の収集、分析、提供機能およびわが国の感染症サーベイランスシステムの改善・強化に関する研究

課題番号

H21-新興・一般-012

研究年度

平成22(2010)年度

研究代表者(所属機関)

谷口　清州(国立感染症研究所　感染症情報センター)

研究分担者(所属機関)

永井　正規(埼玉医科大学　医学部)
鈴木　宏(新潟青陵大学)
中瀬　克己(岡山市保健所)
神谷　信行(東京都健康安全研究センター　疫学情報室)
山本　英二(岡山理科大学　総合情報学部)
多田　有希(国立感染症研究所　感染症情報センター)
安井　良則(国立感染症研究所　感染症情報センター)
池松　秀之(福岡原土井病院　臨床研究部)
中野　貴司(川崎医科大学　小児科学)
西藤　成雄(西藤小児科こどもの呼吸器・アレルギークリニック)
堀野　敦子(国立感染症研究所　細菌第二部)
倉田　毅(富山県衛生研究所)
森兼　啓太(山形大学　医学部)
藤本　嗣人(国立感染症研究所　感染症情報センター)
砂川　富正(国立感染症研究所　感染症情報センター)
堀　成美(聖路加看護大学　基礎系看護学)
大西　真(国立感染症研究所　細菌第一部)
重松　美加(国立感染症研究所　感染症情報センター)
山下　和予(国立感染症研究所　感染症情報センター)
小渕　正次(富山県衛生研究所　ウイルス部)
蒲地　一成(国立感染症研究所　細菌第二部)
野崎　慎仁郎(長崎大学　国際連携研究戦略本部)

研究区分

厚生労働科学研究費補助金疾病・障害対策研究分野新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究

研究開始年度

平成21(2009)年度

研究終了予定年度

平成23(2011)年度

研究費

47,100,000円

研究者交替、所属機関変更

-

研究報告書（概要版）

研究目的

　本邦における感染症サーベイランスの目的と戦略を明確にして、今後の改善につなげるためのサーベイランススタンダードを提言。

研究方法

　研究体制として包括的にサーベイランス戦略を議論できる体制を設置。感染症法に基づく発生動向調査システムの検討・評価を行い、活用のためのガイドライン作成し、解析方法／プログラムを作成。現場での入力業務の軽減のため、FAX-OCR処理、電子カルテからの自動入力を検討。パイロットサーベイランスに基づいて、現状の問題点などを検討し、疾患毎のサーベイランススタンダードを作成。患者数推計のための新たな推計方法開発し精度を検討。疾患毎のネットワークサーベイランスを行い、国のサーベイランスの欠点を検討。国際的なサーベイランス体制の整備のためのプログラムや国内情報共有体制を検討。

結果と考察

　システム改善のための提言をまとめ、次期発生動向調査システムの仕様書に技術的な支援。感染症発生動向調査のデータ質管理のためのガイドライン作成。都道府県別の年間罹患数推計を5000定点から6589定点に増加することで可能となる定点を設計。疾患毎に、性感染症、インフルエンザ、レジオネラ、アデノウイルス感染症、百日咳、マイコプラズマ、淋菌感染症について、研究成果を元に標準的なサーベイランスガイドライン案を作成。研究成果として、ヒトRSV感染症における新しいgenotype、地域における学校閉鎖の効果、ツイッターのサーベイランスへの応用、外来／入院患者サーベイランスにおける臨床疫学的な知見を報告。地域におけるインフルエンザの人口当たり罹患率や入院率、学校において昨シーズンのインフルエンザ罹患による免疫の獲得を報告。インターネットベースの国際情報サーベイランスを検討し、G7国の体制を調査し、民間企業からの情報の有用性を報告。国内での専門医のネットワーク構築や医療機関間の感染症情報の共有システムの構築。

結論

　本研究班のネットワークサーベイランスや地域、医療機関におけるサーベイランスから学問的に重要な知見が発見され、学会・論文報告、国のガイドライン等に反映。サーベイランスは継続することが重要。各疾患のサーベイランスを再検討し、そのスタンダードを作成することにより、長期的に感染症サーベイランスの考え方を示すことができ、実際にサーベイランスに関わる関係者にとっての有効なガイドラインとなる。