文献情報
文献番号
202521013A
報告書区分
総括
研究課題名
効率的な看護業務推進の評価に係る実態把握のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24IA1013
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
坂本 すが(東京医療保健大学)
研究分担者(所属機関)
- 小澤 知子(東京医療保健大学 医療保健学 看護学科)
- 末永 由理(東京医療保健大学 医療保健学部看護学科)
- 菊池 令子(東京医療保健大学大学院 医療保健学研究科)
- 駒崎 俊剛(東京医療保健大学医療保健学部医療情報学科)
- 本谷 園子(東京医療保健大学 大学院 医療保健学研究科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
10,387,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
病院における病棟看護師の業務内容や業務効率化の実態、看護職の業務効率化に対する意識、及び、看護業務効率化の課題や促進要因を明らかにし、推進方策を提言する。
研究方法
看護業務項目(84項目)別実施時間を明らかにするためのタイムスタディ、タスク・シフト/シェアやICT活用など業務効率化の実態と課題・促進要因を明らかにするため看護部長調査・病棟師長調査・事例調査、看護師の業務効率化に関する意識調査の5調査を実施した。調査対象は、平成30年度研究と比較するために同じ病院・病棟とした。
結果と考察
1.病棟看護師の中心業務は≪診察・治療≫と≪患者のケア≫であった。これらの業務を実施する上で必要な≪情報共有≫≪看護計画・記録≫等も含めて大項目別業務構成比は2018年と2024年でほとんど変わらなかった。
2.2018年と2024年を比較し、小項目別業務構成比で減少した項目は<バイタルサインの測定>、<排泄介助><食事の世話><看護師間の申し送り>、増加した項目は<観察><患者等からの情報収集><体位交換>であった。また、病棟看護師の3割が業務移譲による空き時間を「看護の専門性の高い業務」に活用しており、看護師の業務は徐々に、より専門性の高い業務にシフトしてきていると推測される。
3.看護業務効率化の取組は、タスク・シフト/シェアやICT化など病院全体としての取組とともに、看護記録様式の簡素化、情報収集・情報共有の工夫など看護部門内での取組も多様な内容で行われていた。
4.タスク・シフト/シェアは、看護補助者や他職種間で看護業務84項目のうち72項目で行われていた。しかし、病棟看護師は、業務移譲にあたって、互いの認識のずれ、移譲範囲の適正性に関する疑問、患者安全の不安、看護師の責任など不安や疑問を抱えていた。部門間の方針共有・業務調整・協働、具体的な業務範囲や業務手順の設定、新たに業務を担う者の能力確保と査定、責任の所在など明確にし、関係者で共有しておくことが必要である。
5.ICT化は看護業務効率化の方針に取り入れられ、多様なICT関連機器・システムが導入されていた。看護部長・病棟師長・病棟看護師共に今後のICT化に前向きであった。一方で病棟看護師の4分の1以上がICT活用に負担感があり、看護部長は、予算不足、DX推進人材の不足、職員教育の不足、セキュリティ対策を課題に挙げた。今後、病院には自施設の機能や規模に応じた現実的な活用戦略の検討が求められる。今後とも診療報酬や補助金による経済的支援、セキュリティ対策を進めるとともに、DX推進人材の養成、看護職員等のICTリテラシー教育、導入効果の可視化の方法、自施設に適したICT化に関する情報収集や相談に応じる体制など様々な側面で病院を支援する方策が必要である。
6.日々の看護実施記録は看護部門において効率化への取組が行われ、ICTの活用もあって2018年より業務構成比Bが若干減少した。しかし、2024年でもまだ、残業時間の中で実施する業務項目としては最も長かった。今後は、患者情報の一元化、記録の簡素化、ICTの活用など、看護記録のあり方をあらためて見直し、さらなる改善に取り組む必要がある。
7.看護業務の効率化に取り組むことで、労務管理、業務フロー、看護記録、情報共有、看護管理、会議運営、事務作業、医療機器管理など様々な側面での効率化が進み、患者ケアの質向上、看護師の労働環境の改善、業務負荷の軽減、精神的ストレスの軽減、人材の確保および質の向上などに成果があった。
8.看護業務効率化の取り組みを促進した要因として、看護部長のリーダーシップの発揮、課題を共有・検討する組織の存在、コミュニケーションが良好で助け合おうとする風土が挙げられた。今後、持続的に看護業務の効率化に取り組むには、看護サービスの現状を把握して改善策を提案し、他部門と協力しながら課題を解決していく看護管理者の推進力が不可欠である。
2.2018年と2024年を比較し、小項目別業務構成比で減少した項目は<バイタルサインの測定>、<排泄介助><食事の世話><看護師間の申し送り>、増加した項目は<観察><患者等からの情報収集><体位交換>であった。また、病棟看護師の3割が業務移譲による空き時間を「看護の専門性の高い業務」に活用しており、看護師の業務は徐々に、より専門性の高い業務にシフトしてきていると推測される。
3.看護業務効率化の取組は、タスク・シフト/シェアやICT化など病院全体としての取組とともに、看護記録様式の簡素化、情報収集・情報共有の工夫など看護部門内での取組も多様な内容で行われていた。
4.タスク・シフト/シェアは、看護補助者や他職種間で看護業務84項目のうち72項目で行われていた。しかし、病棟看護師は、業務移譲にあたって、互いの認識のずれ、移譲範囲の適正性に関する疑問、患者安全の不安、看護師の責任など不安や疑問を抱えていた。部門間の方針共有・業務調整・協働、具体的な業務範囲や業務手順の設定、新たに業務を担う者の能力確保と査定、責任の所在など明確にし、関係者で共有しておくことが必要である。
5.ICT化は看護業務効率化の方針に取り入れられ、多様なICT関連機器・システムが導入されていた。看護部長・病棟師長・病棟看護師共に今後のICT化に前向きであった。一方で病棟看護師の4分の1以上がICT活用に負担感があり、看護部長は、予算不足、DX推進人材の不足、職員教育の不足、セキュリティ対策を課題に挙げた。今後、病院には自施設の機能や規模に応じた現実的な活用戦略の検討が求められる。今後とも診療報酬や補助金による経済的支援、セキュリティ対策を進めるとともに、DX推進人材の養成、看護職員等のICTリテラシー教育、導入効果の可視化の方法、自施設に適したICT化に関する情報収集や相談に応じる体制など様々な側面で病院を支援する方策が必要である。
6.日々の看護実施記録は看護部門において効率化への取組が行われ、ICTの活用もあって2018年より業務構成比Bが若干減少した。しかし、2024年でもまだ、残業時間の中で実施する業務項目としては最も長かった。今後は、患者情報の一元化、記録の簡素化、ICTの活用など、看護記録のあり方をあらためて見直し、さらなる改善に取り組む必要がある。
7.看護業務の効率化に取り組むことで、労務管理、業務フロー、看護記録、情報共有、看護管理、会議運営、事務作業、医療機器管理など様々な側面での効率化が進み、患者ケアの質向上、看護師の労働環境の改善、業務負荷の軽減、精神的ストレスの軽減、人材の確保および質の向上などに成果があった。
8.看護業務効率化の取り組みを促進した要因として、看護部長のリーダーシップの発揮、課題を共有・検討する組織の存在、コミュニケーションが良好で助け合おうとする風土が挙げられた。今後、持続的に看護業務の効率化に取り組むには、看護サービスの現状を把握して改善策を提案し、他部門と協力しながら課題を解決していく看護管理者の推進力が不可欠である。
結論
病棟看護師の看護業務大項目別構成比は2018年から2024年にかけて大きな変化はなかったが、小項目別業務構成比では、わずかな増減が見られた。業務移譲やICT活用の進展により、看護師の役割は徐々に専門性の高い業務へ移行していることが示唆された。看護業務効率化は、タスク・シフト/シェア、ICT導入、看護記録の簡素化、情報共有の改善など多面的に進められ、業務負荷軽減や労働環境改善、患者ケアの質向上に寄与していた。一方で、業務移譲に伴う責任や患者安全への不安、ICT活用に伴う人材・教育・予算面の課題も明らかとなった。今後は、業務範囲や責任の明確化、ICT活用支援、看護記録のさらなる改善を進めるとともに、看護部長や看護師長のリーダーシップのもと、多職種協働による継続的な業務改善を推進することが重要である。
公開日・更新日
公開日
2026-06-08
更新日
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