アトピー性皮膚炎の予防・治療法の開発及び確立に関する研究

文献情報

文献番号
201023026A
報告書区分
総括
研究課題名
アトピー性皮膚炎の予防・治療法の開発及び確立に関する研究
課題番号
H21-免疫・一般-003
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
清水 宏(北海道大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 秋山 真志(名古屋大学 大学院医学系研究科)
  • 有田 賢(北海道大学 大学院医学研究科 )
  • 戸倉 新樹(浜松医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
27,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、皮膚バリア機能の破綻に伴う慢性抗原刺激がアトピー性皮膚炎(atopic dermatitis; AD)の主要な病因であるという新しい仮説のもとに、世界で初の試みとなる、1)フィラグリン遺伝子変異の有無を指標としたADのテーラーメイド治療の確立、2)フィラグリンをターゲットにしたADの新しい治療法(リードスルー療法)の確立を目指すことである。
研究方法
1)テーラーメイド治療の確立:AD患者をフィラグリン遺伝子変異の有無を指標に2群に分け、現在ADに標準的に用いられている薬剤(保湿剤、タクロリムス軟膏、ステロイド軟膏)を種々の組み合わせで投与し、病勢評価を行う。十分な患者数を確保するため、AD患者のリクルートとフィラグリン遺伝子変異解析を行った。
2)リードスルー治療の確立:リードスルー活性を測定可能なレポータージーンアッセイシステムを確立するため、site-direct mutagenesisを用いてYFP遺伝子にTGA早期終止コドンを作成した。AD293細胞にこの変異を持つYFP遺伝子をトランスフェクションし、リードスルー活性を持つ既知の薬剤(G418、ゲンタマイシン、PTC124)にて24時間治療し、Western blot法にてYFPのタンパク量を比較した。
結果と考察
1)テーラーメイド治療の確立:平成22年度までに、約230例のAD患者について、フィラグリン遺伝子変異検索を行い、これまで未報告の新規変異も含め、9種類の変異を同定することに成功し、またAD患者の約25%に変異を同定した。現在も積極的にフィラグリン遺伝子変異関連AD症例の集積を進めており、介入試験に向けての基盤をほぼ固めることに成功している。
2)リードスルー治療の確立:G418のみが高いリードスルー活性を示し、ゲンタマイシンとPTC124は弱いリードスルー活性しか示さなかった。そこで、平成23年度は、このアッセイシステムを用いて、我々がすでに購入済みの約2万種類のcompoundをスクリーニングし、より安全かつより強力なリードスルー薬の開発を目指すことにした。
結論
テーラーメイド治療確立を目的とした介入試験とリードスルー薬の開発に向けたdrug screeningを行う基盤作りもほぼ完了しており、ADの病因に基づいた新しい治療作りが進むことが期待される。

公開日・更新日

公開日
2011-09-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2012-02-15
更新日
-

収支報告書

文献番号
201023026Z