急性心筋梗塞に対する病院前救護や遠隔医療等を含めた超急性期診療体制の構築に関する研究

文献情報

文献番号

201021064A

報告書区分

総括

研究課題名

急性心筋梗塞に対する病院前救護や遠隔医療等を含めた超急性期診療体制の構築に関する研究

課題番号

H22-心筋・一般-002

研究年度

平成22(2010)年度

研究代表者(所属機関)

野々木　宏(国立循環器病研究センター　心臓血管内科部門)

研究分担者(所属機関)

花田　裕之(弘前大学大学院　医学研究科)
長谷　守(札幌医科大学　医学部)
坂本　哲也(帝京大学　医学部)
笠岡　俊志(山口大学大学院　医学研究科)
菊地　研(獨協医科大学　心臓・血管内科)
長尾　建(日本大学　医学部)
佐瀬　一洋(順天堂大学大学院　医学研究科)
安田　聡(東北大学大学院　医学研究科)
横山　広行(国立循環器病研究センター　心臓血管内科部門)
住吉　徹哉(日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院　循環器内科)
藤本　和輝(国立病院機構熊本医療センター　循環器内科)
米本　直裕(国立精神・神経センター　老人精神保健部)
小川　久雄(熊本大学大学院　医学薬学研究部)
白井　伸一(平成紫川会社会保険小倉記念病院　循環器科)
木村　一雄(横浜市立大学附属市民総合医療センター)
嘉田　晃子(国立循環器病研究センター)

研究区分

厚生労働科学研究費補助金疾病・障害対策研究分野循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究

研究開始年度

平成22(2010)年度

研究終了予定年度

平成24(2012)年度

研究費

15,000,000円

研究者交替、所属機関変更

-

研究報告書（概要版）

研究目的

地域医療圏における急性心筋梗塞症発症時に高度医療を時間の遅延なく効果的に提供できる救急医療システムの構築である。

研究方法

国際ガイドラインで勧告された救急隊からの１２誘導心電図の結果伝送についての我が国での効果を検証する。また、発症時に市民が適切な判断が可能となる教育システムや啓発方法を開発し、受診までの遅れを防止する。更には、蘇生後や心原性ショックなどの重症例への治療方法の確立に低体温療法、再灌流方法、補助循環療法の確立を行い、これらの治療方法の全国での均てん化をはかる。特に我が国がリードしている脳低体温療法や治療抵抗性心室細動に対するニフェカラント適用について、無作為比較試験の実施を検討する。更に入院後急性期の急変対策として院内心停止への実態と対策の検討も合わせて行う。

結果と考察

急性心筋梗塞症に対するモバイルテレメディシンによる搬送と再灌流療法までの時間短縮効果を検討した。１２誘導心電図の事前伝送により使用しない場合に比べ再灌流療法までの時間が約２０－３０分短縮することが明らかとなった。急性心筋梗塞の症状の理解度と１１９番通報の利用度向上のため、ホームページによる啓発を開始し、また動画によるツールの開発を行った。心原性心停止心拍再開後の低体温療法の確立のため多施設共同登録試験を行い、最終結果を米国心臓協会（AHA）で１０題の報告を行い、InternationalCollaboration Awardを受賞した。院内心停止例への多施設共同登録約５００例の結果をAHAで３題報告し、基礎疾患や心停止原因、週末夜間での救命率が低いこと、モニターの有効性、心不全例での一般病棟での発生が高いことを米国との比較で実証し、今後の対策への情報提供を行った。

結論

我が国において必要とされる地域循環器救急医療のシステム構築に当たり、効果的かつ効率的な循環器救命・治療対策の確立と国際的な標準化に資することが期待される。