食品由来の各種化学物質のばく露評価を目的とした食事調査法に関する研究

文献情報

文献番号
202428021A
報告書区分
総括
研究課題名
食品由来の各種化学物質のばく露評価を目的とした食事調査法に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24KA2004
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
登田 美桜(国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部)
研究分担者(所属機関)
  • 村上 健太郎(東京大学大学院 医学系研究科)
  • 篠崎 奈々(東京大学大学院 医学系研究科)
  • 渡邉 敬浩(国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部)
  • 建部 千絵(佐々木 千絵)(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
研究区分
食品衛生基準行政推進調査事業費補助金 分野なし 食品安全科学研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
10,327,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品に含まれる各種化学物質(農薬残留物、食品添加物、栄養素等)に関わる食品安全行政は、リスクアナリシスの枠組みで実施される科学的なリスク評価に基づくのが原則であり、その評価におけるリスクの大きさの判定には食品を介した各種化学物質のばく露量の推定が必須である。ばく露量は、食品中の各種化学物質の濃度データと、その化学物質を含む食品の消費量データから定量的に推定される。本研究では、わが国において食品に含まれる各種化学物質のより適正なばく露量推定に使用可能な食品消費量データを収集するための食事調査法を検討し、今後の食事調査の計画案および実施のための準備を行うことを目的とした。
研究方法
1)諸外国における大規模な食事調査について文献調査を行い、わが国における今後の食事調査に導入が望まれる食事調査法の種類を検討した。
2)農薬等残留物のばく露量推定に不可欠な、生鮮農産品(RAC)消費量算出のリソースとなる食事記録データを取得するために設計された食事調査法の特徴を明らかにするために、諸外国で実施されている食事調査法に関する文献レビューを実施した。特にRAC算出方法に着目して精査した。
3)食品添加物のばく露量(摂取量)推定のために食品消費量データが必要となる食品項目について、POSデータやJICFS分類、各加工食品の原材料の調査をもとに検討・提案し、今後の食事調査での実用化に向けて食品番号の付与を試みた。今年度は食品添加物のマーケットバスケット(MB)調査の1群(嗜好飲料・調味料)及び6群(砂糖類・菓子類)に分類される加工食品に着目した。
4)諸外国の公的機関が実施した食品汚染物質に関するリスク評価書を対象に、食品汚染物質のばく露量推定に食品消費量データがどのように利用されているのかを調査した。
結果と考察
1)諸外国における大規模な食事調査に関する文献調査により、網羅性が高くかつ発表年が新しい論文として、37か国41件の国民栄養調査についてまとめた叙述的レビューであるAlkhaldyらの論文(BMC Nutr. 2024, 10(1):63)が特定された。本論文に基づく精査の結果、諸外国で最も広く使用されている食事調査法は複数日の24時間食事思い出し法であることが明らかとなり、わが国における今後の食事調査における食事調査法の選択において、この国際動向を十分に考慮する必要があると考えられた。さらに、食事記録法から24時間食事思い出し法への転換例として英国の事例が参考になると考えられた。
2)欧州食品安全機関が2014年に公表したEU Menuの調査ガイドライン及び関連文献を中心に、食事評価システムへの導入に必要となる項目及び食品記述法を整理した。また、諸外国の公的機関が公表した報告書やガイドライン、及び学術文献を対象に調査した結果、農薬等残留物のばく露評価に特化した食事調査に関する文献等は確認されなかった。しかし、オーストラリア・ニュージーランドの化学物質ばく露評価のガイドラインとオランダ国家食事調査の報告書の解析、並びに文献レビューの結果から、RAC消費量の算出または精緻なRAC消費量を算出するためのポーションサイズの推定ツール、食品の処理や調理に関する記述とそれを含めたレシピ情報の活用が必要であることが示された。
3)POSデータに基づく2022~2024年までの販売実績を基に、JICFS分類の細分類項目に該当する商品を抽出し原材料を調査した。その結果をもとに、MB調査の第1群及び6群に分類される加工食品を対象に、食品添加物のばく露量推定に食品消費量データが必要となる新規食品項目を検討し候補の提案を行った。今回提案された食品項目を今後の食事調査で実用化する際には、調査対象者への負担等を考慮した上でさらなる優先順位付けが必要と考えられた。
4)食品への汚染の特性に基づき代表的な汚染物質10種を選択して調査した結果、汚染物質のばく露評価では原材料から加工・調理されるまでの様々な段階の食品カテゴリーの調査実態データ(濃度データ)が用いられており、それらのデータと紐付けることのできる食品消費量データを得られるようにするための準備が今後の食事調査では必要であると示唆された。特に製造副生成物については、加工・調理の方法を踏まえた食品消費量データを得られるようにすることが重要と考えられた。
結論
今年度はわが国における今後の食事調査の計画案の作成に資する情報について、国際動向、農薬等残留物、食品添加物、汚染物質の観点から調査・検討を実施した。さらに研究を進め、本研究が目標とする食事調査の計画案を作成することにより、食品に含まれる各種化学物質のばく露量推定に利用できる食品消費量データが収集可能になり、食事を介したばく露の実態をより正確に反映したリスク評価が可能となることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2025-10-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-10-02
更新日
-

収支報告書

文献番号
202428021Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,327,000円
(2)補助金確定額
10,327,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,222,509円
人件費・謝金 5,818,756円
旅費 187,986円
その他 3,097,749円
間接経費 0円
合計 10,327,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2026-03-10
更新日
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