文献情報
文献番号
202425003A
報告書区分
総括
研究課題名
室内空気汚染化学物質対策の推進に資する総合的研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24KD2001
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
酒井 信夫(国立医薬品食品衛生研究所 生活衛生化学部)
研究分担者(所属機関)
- 神野 透人(名城大学 薬学部 衛生化学研究室)
- 田辺 新一(早稲田大学 理工学術院)
- 伊藤 一秀(九州大学大学院 総合理工学研究院)
- 東 賢一(近畿大学 医学部 予防医学・行動科学教室)
- 大嶋 直浩(国立医薬品食品衛生研究所 生活衛生化学部)
- 香川 聡子(横浜薬科大学 薬学部 環境科学研究室)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
41,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
厚生労働省 医薬局 医薬品審査管理課 化学物質安全対策室を事務局とするシックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会(以下,シックハウス検討会)では,室内濃度指針値(以下,指針値)の設定・見直しの在り方が整理され,シックハウス検討会を定期的に開催して新たなスキームに則した議論を継続的に遂行する計画が示された。
新たなスキームは,(1)モニタリング対象物質の選定,(2)室内空気中の濃度に関する調査,(3)初期リスク評価,(4-1)詳細リスク評価等の実施,(4-2)使用実態に関する調査,(5)指針値の設定・見直しの必要性について検討,(6)その他の留意事項 で構成されており,シックハウス検討会で各議案を滞りなく議論するためには,各項目をシームレスに遂行していく必要がある。
(1)については,諸外国や国際機関等において指針値が設定されている物質,もしくは学術論文等の科学的知見がある物質をモニタリング対象物質として選定することが整理された。(2)については,(1)でモニタリング対象物質として選定した化学物質に関して,室内空気中の濃度の調査を行うこととされていることから,当該調査に資する標準試験法の整備が必要であり,それらを公定法とするために妥当性を確認し,規格化・標準化することが求められる。(3)~(6)の各項目については,リスク評価に資するハザード情報や国際規制状況の調査,曝露濃度予測値等に関する科学的エビデンス等を集積する必要がある。
新たなスキームは,(1)モニタリング対象物質の選定,(2)室内空気中の濃度に関する調査,(3)初期リスク評価,(4-1)詳細リスク評価等の実施,(4-2)使用実態に関する調査,(5)指針値の設定・見直しの必要性について検討,(6)その他の留意事項 で構成されており,シックハウス検討会で各議案を滞りなく議論するためには,各項目をシームレスに遂行していく必要がある。
(1)については,諸外国や国際機関等において指針値が設定されている物質,もしくは学術論文等の科学的知見がある物質をモニタリング対象物質として選定することが整理された。(2)については,(1)でモニタリング対象物質として選定した化学物質に関して,室内空気中の濃度の調査を行うこととされていることから,当該調査に資する標準試験法の整備が必要であり,それらを公定法とするために妥当性を確認し,規格化・標準化することが求められる。(3)~(6)の各項目については,リスク評価に資するハザード情報や国際規制状況の調査,曝露濃度予測値等に関する科学的エビデンス等を集積する必要がある。
研究方法
上述の研究目的を遂行する具体的な方法として,① 諸外国や国際機関等において指針値が設定されている物質や学術論文等の科学的知見がある物質等を対象としたモニタリング対象物質の選定方法を確立する。② ①でモニタリング対象物質とされた物質について標準試験法を整備し,国内および国際規格化を推進する。③ 先行研究(21KD2002)で提言されたTVOCの在り方を踏まえ,TVOC標準試験法における種々のVOCの溶出挙動とその毒性をデータベース化することによって,健康リスク指標としてのTVOCの活用について検討する。④ 初期リスク評価の時点で吸入曝露のデータが得られない化学物質に対応するため,経気道曝露量・曝露濃度の推定方法を確立し,室内空気中化学物質の濃度から実際のヒト暴露量を推定する。⑤ 諸外国における室内空気汚染化学物質に関する最新の規制状況,ハザード情報を収集する。上述以外に,ヘリウム代替ガスを用いた標準試験法,室内空気中化学物質の一斉捕集法,構造類似物質の二次標準物質を用いた一斉定量法等の開発研究を進める。
結果と考察
令和6年度の研究結果として,室内空気中化学物質が人への健康に与える影響について調査するため,全国規模のアンケート調査によりシックハウス症候群に関連する住宅室内環境のリスク要因を調査した。初期リスク評価や詳細リスク評価の候補となり得る化学物質についてハザード情報収集および国際的な規制動向を調査し,予め標準試験法を整備した。先行研究で着手した「室内空気中化学物質の測定マニュアル(統合版)」の改訂,標準試験法の国内規格化(指針値既設物質の衛生試験法・注解への収載)・国際標準化(ISO 16000-33の改訂)を完遂し,次年度以降の規格化について新規提案(New Work Item Proposal)を検討した。
結論
本研究課題により得られた成果の行政的利活用として「室内空気中化学物質の測定マニュアル(統合版)」を第27回 シックハウス検討会に提示し,厚生労働省医薬局医薬品審査管理課長より通知された(医薬薬審発0117第4号 令和7年1月17日)。標準試験法を用いた化学物質の詳細曝露評価は,シックハウス検討会の議論を加速化するものであり,室内空気質の向上に係る行政施策を通じて国民の安心・安全な生活の実現に大きく寄与できると考えられる。
公開日・更新日
公開日
2025-05-22
更新日
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