文献情報
文献番号
201002004A
報告書区分
総括
研究課題名
パネル調査(縦断調査)に関する統合的分析システムの応用研究
課題番号
H22-統計・一般-002
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
金子 隆一(国立社会保障・人口問題研究所 人口動向研究部)
研究分担者(所属機関)
- 北村 行伸(一橋大学経済研究所)
- 釜野 さおり(国立社会保障・人口問題研究所 人口動向研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(統計情報総合研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
2,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究事業の目的は、厚生労働省が実施しているパネル調査(21世紀出生児縦断調査、成年者縦断調査、中高年者縦断調査、(以下、21世紀縦断調査))に対し、高度統計分析に基づく政策的応用ならびに学術的研究を行うためのインフラストラクチャーを構築することである。
研究方法
本事業では5つの分野に分けて作業が進められた。すなわち(1)海外パネル調査情報閲覧・検索システムの開発、(2)データ管理・統計分析システム(PDA21)の開発、(3)データ特性把握-脱落・移動・回答不詳の分析、(4)分析法ガイドブック作成-縦断調査分析の手引き編纂、(5)各種テーマのライフコース的体系化とシード研究の蓄積である。
結果と考察
(1)では海外パネル調査情報を網羅し日本語キーワード検索が可能な情報ベースを提供しており、内容追加更新とシステムの改善を行った。(2)では累積される縦断調査データを管理し、複数の調査回や調査票にまたがった集計や統計分析を行うために、各種統計ソフトの分析プログラムを自動生成するシステムを開発しているが、本年は調査項目の分類やその操作インターフェースなど実用面における改良を行った。(3)では脱落を始めとするデータ特性のモニタリングを継続するとともに、同時期に実施された横断調査(出生動向基本調査)と比較することによって、脱落による偏りの評価を行った。(4)では、今後21世紀縦断調査の分析研究に携わる分析者、研究者のために、縦断調査特有の分析方法を平易に解説した全7章160ページのガイドブックを編纂した。(5)では、たとえば子ども感染症のワクチン全員接種、任意接種による罹患率の違いを明らかにし、保育所等における施策設計に資する分析結果を得た他、若年出産、保育支援資源の都市規模・地域移動経験による違い、育児不安・負担感、習い事の実態、子ども観と育児方針などについて基礎的な分析を実施し、適切な分析によって21世紀縦断調査が次世代健全育成に関する豊富な知見を提供しうることを示した。
結論
21世紀縦断調査は三調査の組み合わせによって国民生活をライフコースの視点から体系的に捉える点で諸外国にも例を見ない試みとなっている。また子育て支援、青年層の就業や結婚、団塊世代の老年層への移行など国民的課題を扱っている点で行政的にも重要であり、本事業成果は今後のデータ活用と発展に資するものと期待している。
公開日・更新日
公開日
2011-09-20
更新日
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