ソーシャルキャピタルと地域包括ケアに関する研究

文献情報

文献番号
201001021A
報告書区分
総括
研究課題名
ソーシャルキャピタルと地域包括ケアに関する研究
課題番号
H22-政策・一般-003
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
井上 由起子(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 筒井 孝子(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
  • 森本 佳樹(立教大学コミュニティ福祉学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
5,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、地域包括ケアにおけるソーシャル・キャピタルの意義と効果を整理したうえで、ソーシャル・キャピタルを高齢者ケアに活かすための手法や課題を明らかにすることを目的としている。地域包括ケアにおいては自助・互助・共助・公助の役割分担と連携が重要とされており、ソーシャル・キャピタルは狭義には互助を指すものと理解されているが、本研究では、地域包括ケアを円滑に提供するうえでの人間関係の円滑さを担保する仕組み全体、すなわち自助・互助・共助・公助の役割分担と連携を円滑にするための人間関係を効果的に発揮できる仕組みを、ソーシャル・キャピタルと捉えている。
研究方法
平成22年度は、地域包括ケアにおけるソーシャル・キャピタルの考え方を既往文献レビューをもとにまとめたうえで、行政推進型地域包括ケアシステムとして大牟田市地域交流施設を取りあげ、大牟田市保健福祉部長寿推進課の強力を得て、市内36ヶ所の地域交流施設に対して以下の5つの調査を実施した。
調査1:地域交流施設アンケート調査
調査2:地域交流施設実測調査
調査3:地域交流施設ヒアリング調査
調査4:大牟田市役所職員アンケート調査
調査5:地域データ収集
結果と考察
得られた結果と考察は以下の通り。
1.小学校区を圏域としている(22小学校区に36ヵ所の地域交流施設が設置されている)。
2.徒歩圏にある(市内の86.7%の高齢者にとって半径1000mに地域交流施設がある)。
3.86.1%の地域交流施設は何らかの介護保険事業を併設させている。
4.併設の介護保険事業所の事業性に左右されるため、人口が少ない地域、互助の醸成を優先すべき地域(公営住宅団地等)への配置は行政主導が必要である。介護保険事業として魅力的な立地である場合、複数の地域交流施設が乱立し、ソーシャル・キャピタルの分散や拡散が懸念される。
5.職員配置は同一建物の別部署(小規模多機能等)との兼務が半数以上であった。単独で職員を配置するためには、地域交流施設での収益事業の実施が不可欠と思われる。
6.ボランティアの活用、住民キーパーソンの発掘、地域活動への参加等、住民連携が模索されている。
7.各地域交流施設の評価と地域指標との間に有意差はなかった。
8.運営手法を向上させることで地交流施設の活動の活発化が可能となることが示唆された。
結論
行政推進型の地域包括ケアシステムとして、介護事業所を併設した地域交流施設がソーシャル・キャピタルの活性化において有効であることが示唆されるとともに、その活用にあたっての課題(エリア、運営体制)などが明らかとなった。

公開日・更新日

公開日
2011-05-24
更新日
-

収支報告書

文献番号
201001021Z