文献情報
文献番号
200939050A
報告書区分
総括
研究課題名
抗原応答ゲート膜を用いた超高速イムノクロマト法の開発
研究課題名(英字)
-
課題番号
H20-食品・若手-018
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 大知(東京大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
安心・安全な食品を社会に供給するためには、食品に含まれる有害タンパク質、微生物、農薬などを、簡便に高速でかつ感度良く検出する手法の開発が必須である。この用途としてイムノクロマト法による簡便な検査が広まってきた。研究者は特定のイオン濃度などに選択的にかつ敏感に応答して、膜細孔径を200nmから0nmまで閉める膜の開発に成功している。本研究ではさらに、ビオチン・NIPAM(N-isopropylacrylamide)固定膜にアビジンを介して抗体を固定して抗原を抗体によって選択的に捕捉して細孔が閉まる抗原ゲート膜を新たに作製し、イムノクロマト法に応用する。
研究方法
抗体固定金コロイドで標識された抗原が抗原ゲート膜を通過するように配置すると、抗原はゲート膜に捕捉され、膜細孔が閉まるので透過側に通過できない。一方抗原がない場合はゲート膜細孔が開いたままなので、金コロイドが膜を通過し透過側が着色する。従来のイムノクロマト法では金コロイドが長距離を移動する必要があるのに対し、本方法では厚さ20μm程度の膜を通過するだけで判定ができるので、測定時間の大幅な短縮が可能である。 本研究では金ナノの粒子の作製、アビジンゲート膜の作製、及びアビジンゲート膜の分子特異認識による金ナノ粒子の透過制御機能について検討を行った。
結果と考察
(1)塩化金酸のクエン酸還元法の合成条件を最適化とし、粒子径が14nmの金ナノ粒子を作製した。
(2)アビジンゲート膜の作製
ポリエチレン多孔基材フィルム細孔(細孔径200nm)中に、NIPAMとビオチンモノマーをプラズマグラフト共重合し、アビジンゲート膜を作製した。PEGスペーサーを導入し、グラフト重合量・ビオチン導入量を、ゲート効果が最適になるように制御することに成功した。
(3)応答特性と金ナノ粒子透過特性の評価
アビジンゲート膜がアビジン特異的に起こることを実証した。またアビジンで一旦架橋されるとどんな温度領域でも不可逆的に細孔が閉塞することが確認された。実際にアビジン存在下と非存在下で金ナノ粒子の透過挙動が全く異なることを実証した。
(2)アビジンゲート膜の作製
ポリエチレン多孔基材フィルム細孔(細孔径200nm)中に、NIPAMとビオチンモノマーをプラズマグラフト共重合し、アビジンゲート膜を作製した。PEGスペーサーを導入し、グラフト重合量・ビオチン導入量を、ゲート効果が最適になるように制御することに成功した。
(3)応答特性と金ナノ粒子透過特性の評価
アビジンゲート膜がアビジン特異的に起こることを実証した。またアビジンで一旦架橋されるとどんな温度領域でも不可逆的に細孔が閉塞することが確認された。実際にアビジン存在下と非存在下で金ナノ粒子の透過挙動が全く異なることを実証した。
結論
アビジンービオチン架橋反応によるナノ細孔開閉制御にも世界で初めて成功した。さらにこの金ナノ粒子と組み合わせ、アビジンのみに応答して金ナノ粒子の透過を制御するシステムを構築し、本研究の目的である新規イムノクロマト法の基礎コンセプト実証に成功した。
公開日・更新日
公開日
2010-06-01
更新日
-