文献情報
文献番号
200937034A
報告書区分
総括
研究課題名
根拠に基づく更年期障害治療推進のための洋漢統合医学的エビデンスの構築
課題番号
H20-医療・一般-026
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
並木 隆雄(千葉大学 大学院医学研究院)
研究分担者(所属機関)
- 上野 光一(千葉大学 大学院薬学研究院)
- 地野 充時(千葉大学 大学院医学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、更年期障害症状のうちホルモン補充療法(HRT)と桂枝茯苓丸(KB)の効果を無作為に比較することで、桂枝茯苓丸がどの症状により有効性があるか検討するとともに、桂枝茯苓丸有効例と無効例についてエストロゲン受容体遺伝子多型解析で識別しようとするものである。これにより桂枝茯苓丸有用性の科学的エビデンスが蓄積できるとともに、桂枝茯苓丸の服用効果が期待できる患者を推定でき、漢方療法のエビデンス、漢方製剤の適正使用を遺伝子多型解析という新たな切り口から確立できることを目的とする。
研究方法
対象患者:問診などにより更年期障
害と診断された女性患者(ただし、除外項目あり)。
上記患者にエストロゲン受容体の遺伝子多型(ERβ:CAリピート数及びRsa多型)を解析し、SS型群(両アレルともCAリピート数21以下)とその他群に分け、それぞれについて、無作為にHRTまたはKBを処方する。12週後に症状を調査し、KB群とHRT群における有効性・有用性頻度を統計解析することにより、更年期障害の治療と遺伝子多型の相関、症状の改善度を明らかにしようとするものである
害と診断された女性患者(ただし、除外項目あり)。
上記患者にエストロゲン受容体の遺伝子多型(ERβ:CAリピート数及びRsa多型)を解析し、SS型群(両アレルともCAリピート数21以下)とその他群に分け、それぞれについて、無作為にHRTまたはKBを処方する。12週後に症状を調査し、KB群とHRT群における有効性・有用性頻度を統計解析することにより、更年期障害の治療と遺伝子多型の相関、症状の改善度を明らかにしようとするものである
結果と考察
2008年11月~2009年12月の期間に27名の患者のエントリーがあった。2009年12月31日までに治療開始から3ヶ月目の診察を終了した患者は22名であった。このうち除外項目がなく、ホルモン基準値を満たし、ランダム化比較試験に組み込むことができた患者は7名であった。ランダム化に組み込まれた7名のうちKB群は6名、HRT群1名であった。このため本報告では3ヶ月目の診察を受けた患者のうち、卵巣機能が低下していると考えられた21名について、遺伝子多型別に桂枝茯苓丸による治療効果の治療前後の比較を行った。その結果、SSgenotypeにおいて、Kupperman indexによる評価で桂枝茯苓丸が優位に有効であった。一方、LL genotypeにおいて桂枝茯苓丸の治療により漢方の指標であるお血スコアが顕著に低下した。
結論
今回の研究ではSSgenotypeにおいて、Kupperman indexによる評価で桂枝茯苓丸が全般的な更年期症状を優位に改善させたのに対し、LL genotypeにおいて特に血管運動神経症状の一部を表す漢方概念の“お血”の症状を他覚的に改善した。桂枝茯苓丸はLL genotypeの患者の更年期症状を自他覚的に改善できることが改善した。したがって、genotypeにより効果の違いを予測検討できる可能性が示唆された。
公開日・更新日
公開日
2010-06-01
更新日
-