搬送救急患者の予後調査・分析に関する研究

文献情報

文献番号
200937006A
報告書区分
総括
研究課題名
搬送救急患者の予後調査・分析に関する研究
課題番号
H19-医療・一般-006
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
杉本 壽(一般社団法人日本救急医学会)
研究分担者(所属機関)
  • 塩崎 忠彦(大阪大学大学院 医学系研究科 生体機能調節医学講座)
  • 田崎 修(大阪大学大学院 医学系研究科 生体機能調節医学講座)
  • 清水 健太郎(大阪大学大学院 医学系研究科 生体機能調節医学講座)
  • 島崎 淳也(大阪大学大学院 医学系研究科 生体機能調節医学講座)
  • 中堀 泰賢(大阪大学大学院 医学系研究科 生体機能調節医学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、重症救急患者の経時的予後を明らかにして、それぞれの救急医療レベルを客観的に評価するとともに、治療成績の地域格差や施設格差が生じる背景ならびに要因を分析し、わが国における救急医療提供体制の一層の整備・向上を促すことを目指すものである。
研究方法
平成21年度は、全国の救命救急センターでの1年間の患者全数調査を行った。
対象は平成20年1月1日から12月31日までの1年間に、全国218の救命救急センターに入院あるいは外来死亡となった患者である。
全国218の救命救急センターに調査協力のアンケート用紙を送付し、78施設より回答を得られた(回答率35.8%)。
結果と考察
総症例数107,237例、平均年齢は61.6歳、平均滞在日数7.7日であった。
傷病は内因性疾患72.9%、外因性疾患27.1%で、傷病別では多い順に外傷19,647例(18.3%)、脳血管・脳神経疾患18,501例(17.3%)、心・循環器疾患16,572例(15.5%)、消化器疾患11,847例(11.0%)、CPA10,277例(9.6%)であった。死亡例(外来死亡および死亡退室)は16,457例(死亡率:15.3%)であった。CPAを除いた場合の死亡率は7.8%であった。死亡例の傷病分布は、多い順にCPA8,911例(死亡症例全例に占める割合:54.1%)、脳血管・脳神経疾患1,812例(11.0%)、心・循環器疾患1,314例(8.0%)であった。31日以上滞在した症例は4,521例(全症例に占める割合:4.2%)であった。31日以上滞在した症例の傷病分布は、多い順に外傷1,470例(31日以上滞在症例全例に占める割合:32.5%)、次いで脳血管・脳神経疾患949例(21.0%)、心・循環器疾患455例(10.1%)であった。
結論
本年度(平成21年度)は全国218の救命救急センターに調査の協力を要請し、回答が得られた78施設の入院患者予後調査を行った。これにより全国の救命救急センターに入院した患者の背景を明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2010-05-23
更新日
-

文献情報

文献番号
200937006B
報告書区分
総合
研究課題名
搬送救急患者の予後調査・分析に関する研究
課題番号
H19-医療・一般-006
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
杉本 壽(一般社団法人日本救急医学会)
研究分担者(所属機関)
  • 塩崎 忠彦(大阪大学大学院 医学系研究科 生体機能調節医学講座)
  • 田崎 修(大阪大学大学院 医学系研究科 生体機能調節医学講座)
  • 清水 健太郎(大阪大学大学院 医学系研究科 生体機能調節医学講座)
  • 島崎 淳也(大阪大学大学院 医学系研究科 生体機能調節医学講座)
  • 中堀 泰賢(大阪大学大学院 医学系研究科 生体機能調節医学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、重症救急患者の経時的予後を明らかにして、それぞれの救急医療レベルを客観的に評価するとともに、治療成績の地域格差や施設格差が生じる背景ならびに要因を分析し、わが国における救急医療提供体制の一層の整備・向上を促すことを目指すものである。
研究方法
平成19年度は、大阪大学医学部附属病院高度救命救急センターでの3年間(平成16年1月?平成18年12月)に救命センターを受診した全患者を対象とした。この中から死亡した傷病分類を抽出、その死亡率および死亡までの時間(24時間以内、24?48時間、48時間以降)を明らかにした。
平成20年度は、全国13の救命救急センターでの1年間の患者全数調査を行い、救命救急センターに入院する患者の背景(年齢・傷病名・入院日数・死亡率など)を明らかにした。対象は平成19年1月1日から12月31日までの1年間に、全国の救命救急センターに入院あるいは外来死亡となった患者を対象とした。
平成21年度は、全国の救命救急センターでの1年間の患者全数調査を行った。対象は平成20年1月1日から12月31日までの1年間に、全国218の救命救急センターに入院あるいは外来死亡となった患者である。
結果と考察
3年間の調査により、全国の救命救急センターに搬送されている患者の背景を明らかにした。1975年に救命救急センター第1号が設立された当時は交通事故を中心とした外傷診療が治療の中心であったものが、現在では内因性疾患にシフトしていることが裏付けられた。その中でも症例数・死亡数ともに脳血管・脳神経疾患および心・循環器疾患の割合が大きく、今後とものこの傾向が続いていくものと推定される。また、外傷は減少傾向にあるとはいえ傷病別では一番多く、今後も重要な位置を占めることは間違いない。従来若年者が多かった外傷も高齢者層が増加しており、今後の対応が必要と考えられる。
また、施設間の受け入れ患者数、平均滞在日数、傷病分布、死亡率には大きな開きがみられた。これには院内他部署や周辺地域病院との連携・役割分担など、さまざまな要因が関係しており、単純にどの施設が優れているとはいえない。
結論
救急医療を取り巻く状況は変化し続けており、救命救急センターに求められている機能も変化していくが、救急医療をどの様に改善していくか、今後議論を深めていく必要がある。今回の調査結果は、そのための基礎データである。

公開日・更新日

公開日
2010-05-23
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200937006C