文献情報
文献番号
202309001A
報告書区分
総括
研究課題名
保健・医療・教育機関・産業等における女性の健康支援のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
21FB1001
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
荒田 尚子(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター病院 周産期・母性診療センター母性内科)
研究分担者(所属機関)
- 山本 精一郎(公立大学法人静岡社会健康医学大学院大学 社会健康医学研究科)
- 武藤 香織(国立大学法人東京大学 医科学研究所)
- 高松 潔(東京歯科大学 歯学部)
- 片井 みゆき(東京女子医科大学 医学部 総合診療科・女性科)
- 西岡 笑子(防衛医科大学校 医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究)
- 高橋 幸子(埼玉医科大学 医療人育成支援センター地域医学推進センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 女性の健康の包括的支援政策研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
14,616,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
①生涯にわたる女性の健康支援のための情報提供・教育体制・相談体制構築に関する基礎資料作成、➁ユネスコ国際セクシュアリティガイダンス(以下「ガイダンス」)に基づく包括的性教育プログラムの作成、③社会的決定要因などの把握に基づく女性の健康支援、の3つの観点から研究を行い、④アフタコロナ・ウイズコロナの新しい日常において、女性自身が各ライフステージで直面する様々な健康リスクの回避や対処が行えるように保健・医療・教育期間・産業等の場で適切な教育や支援を提供するシステムの礎を作ることを目的とした。
研究方法
基礎資料作成として、地域別に観察できる2つの調査(国民健康栄養調査(国調)及び国民生活基礎調査(基調))を用い保健・医療・教育機関・産業等の各専門家がシームレスな連携可能な健康教育、相談体制構築をそれぞれの地域に沿って行うための資料を「みえる化」した。20~69歳までの女性を対象とした国調は12年間(N=50,338)、基調は単年(N=21,957)のデータを用い、年代ごとのBMI平均、やせ・肥満の頻度、朝食欠食に関する状況、歩数平均、運動習慣を集計しMicrosoft Excelのマップ機能を用い日本地図上に色分けし、視覚化した。
性差を考慮した、「大学での健康支援・保健管理」及び「コロナ影響下における学部学生の心身の健康状態」についての実状調査を行うことにより、女性の健康支援を行うための基礎データを明らかにした。
5歳~8歳、8歳~12歳、12歳~15歳、15歳~18歳の各年齢において、本班で開発したガイダンスに基づきかつ我が国の実情にあった包括的性教育プログラムを自治体や教育現場にてその効果を実証した。
社会的決定要因などの把握に基づく女性の健康支援のために、新型コロナウイルス感染拡大前後の心身の健康状態の悪化傾向を包括的に把握し、悪化傾向がみられる本人・家族の属性や、新型コロナウイルス感染症拡大による生活・就労面での変化を1万人規模の全国インターネット調査により把握し、健康面での支援が必要な属性の詳細を明らかにし、感染拡大前後の変化を調査した。
性差を考慮した、「大学での健康支援・保健管理」及び「コロナ影響下における学部学生の心身の健康状態」についての実状調査を行うことにより、女性の健康支援を行うための基礎データを明らかにした。
5歳~8歳、8歳~12歳、12歳~15歳、15歳~18歳の各年齢において、本班で開発したガイダンスに基づきかつ我が国の実情にあった包括的性教育プログラムを自治体や教育現場にてその効果を実証した。
社会的決定要因などの把握に基づく女性の健康支援のために、新型コロナウイルス感染拡大前後の心身の健康状態の悪化傾向を包括的に把握し、悪化傾向がみられる本人・家族の属性や、新型コロナウイルス感染症拡大による生活・就労面での変化を1万人規模の全国インターネット調査により把握し、健康面での支援が必要な属性の詳細を明らかにし、感染拡大前後の変化を調査した。
結果と考察
「データの見える化」では、都道府県別、年代別の集計は、女性の健康に関わる地域格差の課題を示す結果を視覚的明らかにした。地域ごとの女性の各年代でのデータ収集と分析が重要である。
大学生において、メンタル不調の「表現型」に性別の差が見られる傾向があり、女性では摂食障害の発症、男性では生活習慣の乱れが指摘された。心身の不調や家族との問題をコロナ前から抱えている学生ほど、コロナ禍による心身への影響がより大きいことが示唆された。コロナ禍で増加したメンタル不調や生活リズムの乱れがコロナ以降も継続し改善できていない実状が指摘された。
ガイダンスに基づいた包括的性教育レベルに沿った教材案および指導案を開発し、同プログラムを用いて地域保健現場、教育現場にて実証を行った。いずれも知識はプログラム前後で改善する傾向がみられたが、ヘルスリテラシーや意識の改善には至らずさらなる改訂が必要である。
社会的決定要因などの把握に基づく女性の健康支援調査では、令和5年度には、健康状態については、コロナ後に体の健康状態が悪くなったと答えた者は24.6%、心の健康状態が悪くなったと答えた者は26.4%であり、特に心の健康状態が前年度に比べて改善した。全体の傾向として、感染拡大前に回帰する傾向が見られたが、いまだ大きな変化があったことが確認された。
大学生において、メンタル不調の「表現型」に性別の差が見られる傾向があり、女性では摂食障害の発症、男性では生活習慣の乱れが指摘された。心身の不調や家族との問題をコロナ前から抱えている学生ほど、コロナ禍による心身への影響がより大きいことが示唆された。コロナ禍で増加したメンタル不調や生活リズムの乱れがコロナ以降も継続し改善できていない実状が指摘された。
ガイダンスに基づいた包括的性教育レベルに沿った教材案および指導案を開発し、同プログラムを用いて地域保健現場、教育現場にて実証を行った。いずれも知識はプログラム前後で改善する傾向がみられたが、ヘルスリテラシーや意識の改善には至らずさらなる改訂が必要である。
社会的決定要因などの把握に基づく女性の健康支援調査では、令和5年度には、健康状態については、コロナ後に体の健康状態が悪くなったと答えた者は24.6%、心の健康状態が悪くなったと答えた者は26.4%であり、特に心の健康状態が前年度に比べて改善した。全体の傾向として、感染拡大前に回帰する傾向が見られたが、いまだ大きな変化があったことが確認された。
結論
アフタコロナ・ウイズコロナの新しい日常において、女性自身が各ライフステージで直面する様々な健康リスクの回避や対処が行えるように保健・医療・教育期間・産業等の場で適切な教育や支援を提供するシステムの礎としての「まるっと!女性の健康教育プログラム」ウェブサイトと手引書初版を作成した。
公開日・更新日
公開日
2024-11-29
更新日
-