国内外のHIV感染症の流行動向及びリスク関連情報の戦略的収集と統合的分析に関する研究

文献情報

文献番号
200932027A
報告書区分
総括
研究課題名
国内外のHIV感染症の流行動向及びリスク関連情報の戦略的収集と統合的分析に関する研究
課題番号
H21-エイズ・一般-011
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
木原 正博(京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻社会疫学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 小野寺 昭一(東京慈恵医科大学医学部感染制御部)
  • 和田 清(国立精神・神経センター精神保健研究所薬物依存研究部)
  • 中村 亮介(東京都立松沢病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
11,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HIV関連情報の集約と統合的分析を通じて、わが国の流行の理解と効果的・効率的なエイズ施策の推進に資する。
研究方法
(1)わが国のHIV流行に関連する内外の二次情報のデータベースの構築と分析に関する研究
①近隣地域(台湾、香港、韓国)と先進国(米英仏独加豪)のHIV/AIDS/STDデータベースを最新化すると共に流行動向を分析した。②わが国のSTD発生動向調査、母子保健統計、薬事工業生産動態統計、性行動データ、出入国管理統計、警察白書を収集し、HIV流行への社会的脆弱性を分析すると共に、全国性行動データを用いた症例対照研究を行い、日本人女性のSTD感染リスクを分析した。
(2) STD患者・薬物使用者のHIV/STD感染と行動のモニタリングに関する研究
①全国9STD医療施設の受診者421人(男122、女125、風俗女性174)に対し、無料HIV/STD検査と質問票調査を行った。②全国4施設の入院薬物中毒者167人と7薬物関係自助組織会員115人に対し、HIV/STD/肝炎感染率、注射・性行動を調査した。
(3)MSMにおけるHIV流行の推計・予測に関する研究
日本の男性とセックスする男性(MSM)の推定人口、リスク行動、最新のHIV感染率とHIV/AIDS報告数に基づいて決定論的モデルを再構築し、流行の推計・予測を行った。
結果と考察
以下の知見を得た;①近隣地域における日本を上回るHIV流行の発生、②欧米諸国におけるSTD全般と同性間と同性間感染によるHIV流行の再燃、③わが国の性関連現象における複雑な変化の持続(性行動↓、細菌性STD↓、ウイルス性STD→、妊娠中絶↓、コンドーム出荷量↓)、④性産業や麻薬の蔓延、⑤近隣地域との出入国数の増大、⑥日本女性では、不特定の相手及び特定の相手からのSTD感染リスクが高いこと、⑦薬物使用者における高HCV感染率と注射使用・共用の減少、⑧STD受診者におけるHIV感染率(2%)、⑨MSMの2010年の推定HIV存在率は約10%、HIV発生率は約1.0%人年、④MSMのAIDS患者数は近い将来停滞する可能性があること、⑤HIV感染リスクの高いMSMは推定8-8.5万人。
結論
以上、HIV関連情報を集約して統分析し、わが国のHIV流行の置かれた国際的文脈と社会的脆弱性について明らかにし情報発信した。

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
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