文献情報
文献番号
202308013A
報告書区分
総括
研究課題名
骨粗鬆症検診マニュアル作成に向けた研究
課題番号
22FA1009
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
田中 栄(東京大学医学部附属病院 整形外科)
研究分担者(所属機関)
- 曽根 照喜(川崎医科大学 放射線医学(核医学))
- 藤原 佐枝子(安田女子大学 薬学部)
- 萩野 浩(労働者健康安全機構 山陰労災病院)
- 上西 一弘(女子栄養大学 栄養生理学研究室)
- 小川 純人(東京大学 医学部附属病院)
- 伊木 雅之(近畿大学 医学部)
- 吉村 典子(東京大学医学部附属病院 22世紀医療センター ロコモ予防学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
7,616,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
骨粗鬆症が多くの高齢者の生活の質(QOL)を低下させることによって、健康寿命を短縮し、さらに医療費の高騰、労働力の低下の一因となっていることは明らかである。従って、骨粗鬆症の予防は人生100 年時代に向かうわが国にとって、健康寿命の延伸を目指す上で極めて重要であり、科学的根拠に基づいた有効な予防方法の普及啓発及び早期発見に向けた骨粗鬆症対策の実施が必要とされている。しかし骨粗鬆症やその前段階の骨量減少の段階では対象者はほとんど無症状であり医療機関に受診することは少ないため、骨粗鬆症の早期発見には地域住民を対象とした検診が必要となる。しかしながら骨粗鬆症検診実施率は全国平均で5.0%と極めて低く、地域差も大きい (骨粗鬆症財団ニュースリリース2018.12.3, The Journal of Japan Osteoporosis Society 4, 513, 2018)。さらに骨粗鬆症 検診の手法や対象者の年齢、実施間隔も統一されておらず、それらの効果も明らかではない。
これらの実情を踏まえ、我々は、科学的根拠に基づいた骨粗鬆症の予防方法および検診手法について検討し、エビデンスに基づく持続可能で効果的な骨粗鬆症検診体制を構築し、骨粗鬆症検診マニュアルを作成することを目的として本研究を実施した。
これらの実情を踏まえ、我々は、科学的根拠に基づいた骨粗鬆症の予防方法および検診手法について検討し、エビデンスに基づく持続可能で効果的な骨粗鬆症検診体制を構築し、骨粗鬆症検診マニュアルを作成することを目的として本研究を実施した。
研究方法
I. 骨粗鬆症マニュアルの作成
本年度は、新しい骨粗鬆症検診マニュアルを作成した。全員で合意したマニュアルの役割分担は以下のようになった。(敬称略)
新骨粗鬆症 検診・保健指導マニュアル
1)骨粗鬆症の定義・病態 田中
2)骨粗鬆症の疫学(含男性骨粗鬆症) 伊木
3)骨粗鬆症検診の目的・意義・現状 吉村・田中
4)検診の実際
① 検診の対象と医療面接 小川
② Osteoporosis Self Assessment Tool for Asia (OSTA)藤原
③ Fracture Risk Assessment Tool (FRAX) 藤原
④ 検診における骨密度測定のあつかい 曽根
⑤ 骨粗鬆症検診における判定基準 吉村・田中
5)予防のための保健指導
① 栄養指導 上西
② 運動指導(含転倒予防) 萩野
6)要精検者への対応
① 医療機関との連携 萩野
② 精密検査・鑑別診断 曽根
③ 骨粗鬆症マネージャー・リエゾンサービス 小川
④ 骨粗鬆症の薬物療法 宗圓(研究協力者)
7)地域における取組の実際 藤原
本年度は、新しい骨粗鬆症検診マニュアルを作成した。全員で合意したマニュアルの役割分担は以下のようになった。(敬称略)
新骨粗鬆症 検診・保健指導マニュアル
1)骨粗鬆症の定義・病態 田中
2)骨粗鬆症の疫学(含男性骨粗鬆症) 伊木
3)骨粗鬆症検診の目的・意義・現状 吉村・田中
4)検診の実際
① 検診の対象と医療面接 小川
② Osteoporosis Self Assessment Tool for Asia (OSTA)藤原
③ Fracture Risk Assessment Tool (FRAX) 藤原
④ 検診における骨密度測定のあつかい 曽根
⑤ 骨粗鬆症検診における判定基準 吉村・田中
5)予防のための保健指導
① 栄養指導 上西
② 運動指導(含転倒予防) 萩野
6)要精検者への対応
① 医療機関との連携 萩野
② 精密検査・鑑別診断 曽根
③ 骨粗鬆症マネージャー・リエゾンサービス 小川
④ 骨粗鬆症の薬物療法 宗圓(研究協力者)
7)地域における取組の実際 藤原
結果と考察
検診の方法としては、骨粗鬆症検診における有力なツールと考えられるFRAX、OSTA、既往骨折の有無を柱とした。これらを用いたスクリーニングにおいて、要精査の範疇に入る対象者を最も効率よく検出するために、75歳以上、65-74歳、64歳以下の年代と男女別に、ダブル赤信号:要精査②(要受診)(骨粗鬆症のリスクが非常に高いので、医療機関における骨密度測定を強く推奨)、赤信号:要精査①(医療機関における骨密度測定を推奨)、黄信号:要指導(栄養指導・運動指導、希望者は医療機関において骨密度測定を行う)、青信号:異常なし(骨粗鬆症のリスクは低いが、栄養指導・運動指導を推奨)のそれぞれのカットオフ値を決定した。
本研究の特徴は、整形外科、老年病内科、リハビリテーション、核医学、栄養、疫学、公衆衛生の各専門家が参加し、骨粗鬆症予防に関する文献の検証に加え、一般市民を対象とするコホート研究の成果に基づいた予防法の開発を実施することである。効果的な骨粗鬆症検診体制の提言と検診実施マニュアルを作成することができた。
本研究の特徴は、整形外科、老年病内科、リハビリテーション、核医学、栄養、疫学、公衆衛生の各専門家が参加し、骨粗鬆症予防に関する文献の検証に加え、一般市民を対象とするコホート研究の成果に基づいた予防法の開発を実施することである。効果的な骨粗鬆症検診体制の提言と検診実施マニュアルを作成することができた。
結論
効果的な骨粗鬆症検診体制の策定に向けて、実際に検診を行っている集団のデータ解析に基づき、検診フローの改定を行い、骨粗鬆症検診マニュアルを作成した。加えて検診後指導向けの運動プログラム、栄養パンフレットを作成した。
公開日・更新日
公開日
2024-08-16
更新日
-