ハンセン病の再発・再燃、難治症例に対する予防・診断・治療とハンセン病の啓発に関する研究

文献情報

文献番号
200931040A
報告書区分
総括
研究課題名
ハンセン病の再発・再燃、難治症例に対する予防・診断・治療とハンセン病の啓発に関する研究
課題番号
H21-新興・一般-007
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
向井 徹(国立感染症研究所 ハンセン病研究センター 感染制御部)
研究分担者(所属機関)
  • 甲斐 雅規(国立感染症研究所 ハンセン病研究センター 感染制御部)
  • 鮫島 朝之(国立療養所星塚敬愛園)
  • 鈴木 幸一(国立感染症研究所 ハンセン病研究センター 感染制御部)
  • 前田 百美(国立感染症研究所 ハンセン病研究センター 感染制御部)
  • 牧野 正彦(国立感染症研究所 ハンセン病研究センター 感染制御部)
  • 野上 玲子(国立療養所菊池恵楓園)
  • 石井 則久(国立感染症研究所 ハンセン病研究センター )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
55,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ハンセン病は、世界的にWHOの推進するMDT療法により登録患者数の減少がみられる。しかし、新規ハンセン病患者数は未だ減少傾向を示さず、薬剤耐性菌・再発を繰返す難治性ハンセン病が新たな問題として浮上している。そのため、ハンセン病の包括的対策のため1.薬剤耐性ハンセン病に関する研究および調査、2.再燃・再発患者に対する血清診断法の開発、3.ワクチンおよび難治性ハンセン病に対する免疫療法開発、4.ハンセン病診療のネットワーク構築および啓発を目的とした。
研究方法
1.迅速らい菌遺伝子変異検出法の開発、およびWHOの薬剤耐性らい菌監視事業において、各国施設の技術把握、手技統一を図った。2.らい菌MMP IIを抗原としたELISA法により、多菌、少菌型別の患者血清を検討した。3.MMP IIとHsp70融合分泌型urease遺伝子破壊BCG株の各種免疫誘導能の検討を行った。また、らい菌接種幼若サルの経過観察、新生仔サルへらい菌接種を行った。4.ハンセン病療養所よりの情報発信に関し、アーカイブの構築を図った。皮膚科医を中心にハンセン病に関する講習会を開催し、ネットワークの構築を進めた。
結果と考察
1.ヘアピンループプライマーとリアルタイムPCRの応用により迅速簡便にダプソン耐性を検出可能となった。国内外の施設にquality controlの菌液、陰性コントロールを配布した。2.皮膚病変の広範な多菌型(MB)ほどMMP II抗体価が高く、再燃・再発の可能性が高いことが推測された。3.改変BCGは、T細胞を活性化し、多量のIFN-γを誘導し、パーフォリン産生性CD8陽性T細胞を産生した。1頭の幼若ザルに58、59月目の鼻腔内洗浄液のPCRより陽性反応が検出された。4.フォーラムの開催およびーカイブズ関係者との連携を図った。皮膚科医に対し講習会を行った(福岡市、10月18日)。社会生活する回復者向けに、気軽に受診・相談できる医師一覧を公開した。
結論
1.不明であった薬剤耐性らい菌の世界的現状把握を可能にする。2.再燃患者の早期診断を可能にする。3.改良型BCGおよびらい菌感染モデルサルは、ワクチンや免疫療法の開発に繋がる。4.マスメディアを用いた効果的理解促進方法を構築を可能にする。医療関係者への継続的な教育と、回復者に対する一般医療機関への受診の促しの必要性があった。

公開日・更新日

公開日
2010-07-14
更新日
-