罹患構造の変化に対応した結核対策の構築に関する研究

文献情報

文献番号
200931026A
報告書区分
総括
研究課題名
罹患構造の変化に対応した結核対策の構築に関する研究
課題番号
H20-新興・一般-011
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
石川 信克((財)結核予防会結核研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 御手洗聡((財)結核予防会結核研究所)
  • 坂谷光則(国立病院機構近畿中央胸部疾患センター)
  • 阿彦忠之(山形県健康福祉部(兼)山形県衛生研究所)
  • 伊藤 邦彦((財)結核予防会結核研究所)
  • 重藤えり子(独立行政法人国立病院機構東広島医療センター)
  • 大森正子((財)結核予防会結核研究所)
  • 吉山崇((財)団法人結核予防会複十字病院兼(財)結核予防会結核研究所)
  • 加藤誠也((財)結核予防会結核研究所)
  • 吉田英樹(大阪市保健所)
  • 下内昭((財)結核予防会結核研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
35,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国では結核罹患率が減少すると共に罹患構造も変化しており結核は高齢者・社会的弱者・合併症をもつ者等の特定集団へ偏在する傾向を示し、結核対策/医療の質維持が困難になりつつある。こうした罹患構造の変化を伴った低まん延化への対応方法やこれらに即応した新たな疫学及び病原体サーベイランスシステムの開発は、今後の効果的な結核対策を維持する上で重要である。本研究の目的は、罹患構造の変化に対応した効果的な結核対策の構築と実施の方法を明らかにしその根拠を提供することである。
研究方法
文献的考察、先進諸外国との比較や視察、疫学情報データの分析、算定モデル解析、アンケート調査、登録患者の再調査、分子疫学的解析、ワークショップなどによった。
結果と考察
菌バンク・病原体サーベイランス研究では、菌バンクの様々な有用性を示し、地方衛生研究所・民間検査センター・医療機関を病原体サーベイランスに利用する可能性が示唆された。また臨床分離株の分子疫学的分析より多発性広域感染株の存在が示された。患者発見・予防面では『接触者健診の手引き』の改定(第4版)を行った。低まん延地域の調査から、高齢者施設等での対策強化および分子疫学調査の必要が示された。医療提供体制の検討からは、病床/診療の質維持が困難化しており保険上の制約が適正医療の阻害因子となっている可能性が示された。また今後の制度構築のため、結核医療の一般医療への統合過程および治療に非協力的な患者への法的強制について西欧諸国の文献考察を行った。疫学サーベイランスの検討では疫学状況の詳細分析により精度向上やシステム改善への提案を行った。対策評価研究では2自治体で結核対策外部評価を施行し手法を改定した。対策実施体制の検討では西欧低まん延下での対策を視察分析した。リスク集団対策の検討ではホームレス健診や治療支援等の有効性を示し、分子疫学的分析により多発性広域感染株の存在を示した。対策の質確保の研究では、目標指標を定めて結核対策を厳密に行うことが今後の対策の質維持に有用であると提言した。主任研究者研究では全国結核専門家のネットワーク構築の有用性を示した。また結核対策への当事者参加やDOTSのエンパワメント効果を示した。
結論
研究最終年度では国内外の専門家のワークショップを加え、今後のわが国における結核対策に関する包括的な提言をまとめる。

公開日・更新日

公開日
2010-07-14
更新日
-