文献情報
文献番号
202227004A
報告書区分
総括
研究課題名
建築物環境衛生管理における空気調和設備等の適切な運用管理手法の研究
課題番号
20LA1007
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
林 基哉(北海道大学)
研究分担者(所属機関)
- 開原 典子(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
- 柳 宇(工学院大学 建築学部)
- 長谷川 兼一(秋田県立大学 システム科学技術学部)
- 中野 淳太(東海大学 工学部)
- 菊田 弘輝(北海道大学 大学院工学研究院)
- 李 時桓(イ シファン)(名古屋大学 大学院 環境学研究科)
- 長谷川 麻子(宮城学院女子大学 生活科学部 生活文化デザイン学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
9,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
既往研究「H29-R1「建築物環境衛生管理基準の検証に関する研究」により行った空気環境測定者へのアンケート調査と自治体の建築物の衛生管理担当者へのヒアリング調査からは、個別空調の管理の難しさや立入検査時の難しさが指摘されるとともに、実態調査からは、室内空間のムラが大きいことが指摘された。個別空調の急速な普及に伴う運用管理手法の情報は不足している状況にあり、今般、より効率的な監視指導が求められるなか、個別空調方式に特化した空気環境管理手法の確立とその管理手法に基づいた行政指導等を行う際のマニュアルの検討が急務である。本研究は、3年間の研究期間で、中央空調方式と個別空調方式の設備の違い等に着目した特定建築物における空気環境調整の課題整理と、近年の建築物環境衛生管理基準の不適合率上昇との関連を分析し、個別空調方式に特化した空気環境管理手法の確立を目指すとともに、その管理手法に基づき、行政指導等を行う際のマニュアルの検討を行い、建築物環境衛生管理における空気調和設備等の適切な運用管理手法に資する科学的根拠を示す。
研究方法
本研究は、①空気環境の調整に関する課題の整理、②基準不適合率上昇に関する調査と分析、③個別空調方式に特化した空気環境管理手法、④個別空調方式の行政指導に資するマニュアル作成の4つの研究部会から構成される。
空気環境の調整に関する課題の整理では、空気環境の調整に関する課題を整理するために、空調機器の現状調査を行い類型化するとともに、実態に応じた監視指導の課題を明らかにする。空気環境不適合率上昇に関する調査と分析では、空調方式の類型化を踏まえた空気環境の実態調査を行い、不適合率上昇の機序を解明する。個別空調方式に特化した空気環境管理手法の検討では、空調設備メーカーの維持管理情報収集と整理、機器のマニュアル・建物マニュアルの入手と整理、関連学会の情報整理を行う。上記の結果を踏まえて、個別空調方式の行政指導に資するマニュアルを作成する。
空気環境の調整に関する課題の整理では、空気環境の調整に関する課題を整理するために、空調機器の現状調査を行い類型化するとともに、実態に応じた監視指導の課題を明らかにする。空気環境不適合率上昇に関する調査と分析では、空調方式の類型化を踏まえた空気環境の実態調査を行い、不適合率上昇の機序を解明する。個別空調方式に特化した空気環境管理手法の検討では、空調設備メーカーの維持管理情報収集と整理、機器のマニュアル・建物マニュアルの入手と整理、関連学会の情報整理を行う。上記の結果を踏まえて、個別空調方式の行政指導に資するマニュアルを作成する。
結果と考察
個別空調方式は、在室者がエアコンや換気設備の操作を行う可能性が高いとともに、中央管理による安定した外気調整が行われないために、空気環境の室間差、時間変化及び季節による差が生じやすく、空気環境の不適率を上昇させる可能性が高く、行政報告例の不適率が高い相対湿度、温度、二酸化炭素では、上記の機序が強く関係している。この他に、個別空調方式では、個別換気設備が用いられる場合に、外調機のフィルターに比べてフィルター効果が低いために、室内の浮遊粉じん濃度が高くなる可能性がある。このような、個別空調方式の特性を踏まえた、維持管理手法と、それに基づいた行政指導に関するマニュアル案を作成した。
結論
令和2年から令和4年までの知見を踏まえて、管理手法、様式の共通化、事例調査、パターン解析等を踏まえて、個別空調方式の行政指導に資するマニュアル案の作成を行った。
マニュアルを用いた自治体職員への試行と効果に関しては、十分な結果が得られていないものの、今後のデジタル技術の導入を見据えた現状の限界と課題に関する記述が必要である等の意見が得られている。
マニュアルを用いた自治体職員への試行と効果に関しては、十分な結果が得られていないものの、今後のデジタル技術の導入を見据えた現状の限界と課題に関する記述が必要である等の意見が得られている。
公開日・更新日
公開日
2024-04-01
更新日
-