新たな胃がん検診システムに必要な検診方法の開発とその有効性評価に関する研究

文献情報

文献番号
200924020A
報告書区分
総括
研究課題名
新たな胃がん検診システムに必要な検診方法の開発とその有効性評価に関する研究
課題番号
H19-3次がん・一般-020
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
深尾 彰(山形大学大学院医学系研究科 生命環境医科学専攻公衆衛生学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 松田 徹(山形県庄内保健所)
  • 渋谷 大助(宮城県対がん協会 がん検診センター)
  • 濱島 ちさと(国立がんセンター がん予防・検診研究センター)
  • 芳野 純治(藤田保健衛生大学坂文種報徳会病院)
  • 山崎 秀男(大阪がん予防検診センター)
  • 岸本 拓治(鳥取大学医学部 環境予防医学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
21,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がん対策推進基本計画に掲げられたがん検診の受診率と質の向上という目標を達成する目的で、胃がん検診のスクリーニング検査として内視鏡検査を導入することの妥当性を検討した。
研究方法
1)症例対照研究およびコホート研究による内視鏡検診の死亡率減少効果の評価
2)胃がん検診受診者ファイルと地域がん登録胃がん罹患者ファイルとの記録照合の手法による内視鏡検査の精度の評価
3)すでに内視鏡検診を実施している地域における検診情報の収集
結果と考察
1)米子市、境港市で実施した症例対照研究により、内視鏡検診の死亡率減少効果が示唆された。
2)地域がん登録を用いた追跡法による精度の評価では、内視鏡検査の偽陰性率はX線検査を下回っていたが、医師の診断技術の均てん化を含めた精度管理の重要性が示唆された。
3)内視鏡検診により発見されたがん症例は、X線検診で発見された症例よりも、早期がんの割合、内視鏡治療が施行される割合が多い。
結論
内視鏡検査による胃がん検診の妥当性を評価するために、死亡率減少効果の評価、精度の評価、検診情報の収集の3つの課題で研究を行い、以下の知見を得た。
1)症例対照研究により、内視鏡検診の死亡率減少効果が示唆された。
2)内視鏡検査の偽陰性率はX線検査を下回っていたが、医師の診断技術の均てん化を含めた精度管理の重要性が示唆された。
3)内視鏡検診により発見されたがん症例は、X線検診で発見された症例よりも、早期がんの割合、内視鏡治療が施行される割合が多い。

公開日・更新日

公開日
2010-06-22
更新日
-

文献情報

文献番号
200924020B
報告書区分
総合
研究課題名
新たな胃がん検診システムに必要な検診方法の開発とその有効性評価に関する研究
課題番号
H19-3次がん・一般-020
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
深尾 彰(山形大学大学院医学系研究科 生命環境医科学専攻公衆衛生学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 松田 徹(山形県庄内保健所)
  • 渋谷 大助(宮城県対がん協会 がん検診センター)
  • 濱島 ちさと(国立がんセンター がん予防・検診研究センター)
  • 芳野 純治(藤田保健衛生大学 坂文種報徳病院)
  • 山崎 秀男(大阪がん予防検診センター)
  • 岸本 拓治(鳥取大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がん対策推進基本計画に掲げられたがん検診の受診率と質の向上という目標を達成する目的で、胃がん検診のスクリーニング検査として内視鏡検査を導入することの妥当性を検討した。
研究方法
1)症例対照研究およびコホート研究による内視鏡検診の死亡率減少効果の評価(鳥取県、新潟県、長崎県等で実施している内視鏡検診データに基づく検討)
2)胃がん検診受診者ファイルと地域がん登録胃がん罹患者ファイルとの記録照合の手法による内視鏡検査の精度の評価(大阪府、宮城県、山形県でのデータ)
3)内視鏡検診情報の収集(人間ドックでの成績を含む)
結果と考察
1)米子市、境港市で実施した症例対照研究により、内視鏡検診の死亡率減少効果が示唆された。
2)地域がん登録を用いた追跡法による精度の評価では、内視鏡検査の偽陰性率はX線検査を下回っていたが、地域格差など技術的な格差の存在が示唆され、医師の診断技術の均てん化を含めた精度管理の重要性が示唆された。
3)今後の方針としては、複数の研究により内視鏡検診の有効性のエビデンスの質を高めること、ヘリコバクタ・ピロリ抗体やペプシノゲンを用いたハイリスクアプローチの有効性を評価するトライアルを計画することなどを進めていくべきと考えられる。
結論
内視鏡検査による胃がん検診の妥当性を評価するために、死亡率減少効果の評価、精度の評価、検診情報の収集の3つの課題で研究を行い、以下の知見を得た。
1)症例対照研究により、内視鏡検診の死亡率減少効果が示唆された。
2)内視鏡検査の偽陰性率はX線検査を下回っていたが、地域格差など技術的な格差の存在が示唆され、医師の診断技術の均てん化を含めた精度管理の重要性が示唆された。
3)今後の方針としては、複数の研究により内視鏡検診の有効性のエビデンスの質を高めること、ヘリコバクタ・ピロリ抗体やペプシノゲンを用いたハイリスクアプローチの有効性を評価するトライアルを計画することなどを進めていくべきと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2010-06-22
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200924020C

成果

専門的・学術的観点からの成果
これまで死亡率減少効果や精度について検討がされていなかった内視鏡検査による胃がん検診について、一定の評価がなされたことは、今後の胃がん検診システムを構築する上で意義がある。
臨床的観点からの成果
胃内視鏡検査の精度に関して、地域がん登録との記録照合という標準的な手法で検討された点に意義がある。偽陰性率に地域格差が認められたことは、内視鏡を施行する医師の技術的な格差によること否定できず、医療技術の均てん化の必要性が示唆された。
ガイドライン等の開発
厚生労働省祖父江班による「有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン」では、内視鏡による胃がん検診は死亡率減少効果の証拠が不十分とされている。本研究の成果を含めた今後の検討の結果によってはこのガイドラインの見直しが必要になる可能性がある。
その他行政的観点からの成果
がん対策推進基本計画に基づき胃がん検診受診率を向上させるためには、新たなシステムの導入が必要と思われるが、本研究の成果はその手段の一つとして価値のある知見と考えている。この際、懸念される内視鏡検査の処理能力については、ペプシノゲン値、ヘリコバクタ・ピロリ抗体を用いたハイリスクアプローチなどで対処していくべきであろう。
その他のインパクト
特記すべき事なし

発表件数

原著論文(和文)
12件
原著論文(英文等)
15件
その他論文(和文)
18件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
10件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
西田道弘、濱島ちさと、岸本拓治他
胃内視鏡検診の生存率による有効性評価
米子医学雑誌 , 60 (5) , 184-191  (2009)

公開日・更新日

公開日
2015-09-30
更新日
-