文献情報
文献番号
200918014A
報告書区分
総括
研究課題名
臨床的リンパ節転移陰性胃癌に対するセンチネルリンパ節生検の安全性に関する多施設共同臨床試験
課題番号
H19-臨床試験・一般-022
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
北川 雄光(慶應義塾大学医学部 外科学(一般・消化器外科))
研究分担者(所属機関)
- 中原 理紀(慶應義塾大学医学部 放射線科学講座)
- 竹内 裕也(慶應義塾大学医学部 外科学(一般・消化器外科))
- 夏越 祥次(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 腫瘍制御学・消化器外科学)
- 藤村 隆(金沢大学附属病院 胃腸外科)
- 津田 均(国立がんセンター中央病院 臨床検査部)
- 矢永 勝彦(東京慈恵会医科大学 外科学講座消化器外科)
- 坂本 純一(名古屋大学大学院医学研究科 社会生命科学講座)
- 高木 融(東京医科大学 外科学第三講座)
- 宮代 勲(大阪府立成人病センター 消化器外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究・予防・治療技術開発研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
3,070,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本試験は多施設共同試験による胃癌センチネルリンパ節生検の安全性、同定率に関する認容性試験である。日本で使用される色素、アイソトープ粒子でのセンチネルリンパ節生検の安全性、有効性を検証する。また、これを用いた胃癌の個別的低侵襲治療法を確立することを目的とする。
研究方法
胃癌治療ガイドラインで規定された内視鏡的粘膜切除術(EMR/ESD)の適応外で、根治的切除リンパ節郭清術の併施が必要である腫瘍長径4 cm以下、術前内視鏡、CTにてcT1N0M0と診断された単発胃癌症例で、本人から文書での同意が得られた症例を対象とする。根治的切除リンパ節郭清術の対象となる範囲において年齢、性別等の附帯条件を問わない。
術中のセンチネルリンパ節同定・サンプリング法としてpick up法とbasin dissection法が報告されている。本試験ではいずれかの方法を用いてセンチネルリンパ節を同定する。Back upとして原則として標準的リンパ節郭清を付加する。切除標本の最終病理診断をもとに、センチネルリンパ節を指標とした転移診断の感度を検証する。
術中のセンチネルリンパ節同定・サンプリング法としてpick up法とbasin dissection法が報告されている。本試験ではいずれかの方法を用いてセンチネルリンパ節を同定する。Back upとして原則として標準的リンパ節郭清を付加する。切除標本の最終病理診断をもとに、センチネルリンパ節を指標とした転移診断の感度を検証する。
結果と考察
433例の事前登録があり術前・術中除外症例を除いた397例にセンチネルリンパ節生検が施行された。リンパ節転移症例は57例ありこのうち53例でセンチネルリンパ節転移が陽性であったことから、センチネルリンパ節生検によるリンパ節転移検出感度は93%(53/57)、センチネルリンパ節を指標とした転移正診率99%(383/387)であった。センチネルリンパ節生検手技によると思われる重篤な有害事象は認められなかった。本試験の結果から胃癌においてセンチネルリンパ節理論が乳癌や悪性黒色腫と同様に成立すること、本プロトコールによるセンチネルリンパ節生検手技は安全であり少数のセンチネルリンパ節を検索するだけで正確なリンパ節転移予測が可能となることが確認された。
結論
SNNS研究会多施設共同研究「胃癌におけるセンチネルリンパ節を指標としたリンパ節転移診断に関する臨床試験」の最終解析結果から、胃癌においてセンチネルリンパ節理論が乳癌や悪性黒色腫と同様に成立すること、本プロトコールによるセンチネルリンパ節生検手技は安全であり少数のセンチネルリンパ節を検索するだけで正確なリンパ節転移予測が可能となることが確認された。
公開日・更新日
公開日
2011-05-31
更新日
-