保健・医療・教育機関・産業等における女性の健康支援のための研究

文献情報

文献番号
202210002A
報告書区分
総括
研究課題名
保健・医療・教育機関・産業等における女性の健康支援のための研究
課題番号
21FB1001
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
荒田 尚子(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター病院 周産期・母性診療センター母性内科)
研究分担者(所属機関)
  • 山本 精一郎(公立大学法人静岡社会健康医学大学院大学 社会健康医学研究科)
  • 武藤 香織(国立大学法人東京大学 医科学研究所)
  • 高松 潔(東京歯科大学 歯学部)
  • 片井 みゆき(政策研究大学院大学 健康管理センター)
  • 立花 良之(国立研究開発法人国立成育医療研究センター こころの診療部乳幼児メンタルヘルス診療科)
  • 西岡 笑子(順天堂大学 保健看護学部)
  • 高橋 幸子(埼玉医科大学 医療人育成支援センター地域医学推進センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 女性の健康の包括的支援政策研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
14,620,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
アフタコロナ・ウイズコロナの新しい日常において、女性自身が各ライフステージで直面する様々な健康リスクの回避や対処が行えるように保健・医療・教育期間・産業等の場で適切な教育や支援を提供するシステムの礎を作ることを最終目的とする。
研究方法
1.生涯にわたる女性の健康支援のための情報提供・教育体制・相談体制構築に関する基礎資料作成、2.ユネスコ国際セクシュアリティガイダンスに基づく包括的性教育プログラムの作成、3.社会決定要因などの把握に基づく女性の健康支援、の3つの観点から検討した。
結果と考察
企業・保健所・調剤薬局などでの情報提供・教育体制・相談体制を整備するための先行事業の調査を行った。女性への健康支援は、自治体における女性健康支援センター事業・健康教育事業、企業においては健康経営、薬局においては健康サポート薬局などの制度に基づいて、様々な取り組みが行われていた。一方で、女性健康支援を「必要である」、「行いたい」と感じているものの、どのように実施していったら良いか計画している段階であるとの回答も非常に多かった。現在実施されている好事例をまとめた。
以前に開発した18歳-39歳、および40歳以上の「まるっと女性の健康プログラム」の実証を、調剤薬局の薬剤師を対象に行った。40歳以上プログラムでは、21名の薬剤師が参加し、介入直後に健康行動への大きな変化はみられなかったものの、知識の改善がみられた。18歳-39歳のプログラムでは6名が参加した。動画視聴前から行動・スキル尺度、知識尺度の平均得点は高く、知識尺度は介入後に全員が満点となった。本研究で開発された教育プログラムにより、知識の向上効果が期待できるが、行動・スキルに対する効果検証は不十分であった。
大学での健康支援・保健管理における「性差の視点」導入について、女性の健康支援を行うための基礎データを明らかにした。令和3年度に実施した全国の保健管理センター509大学を利用・相談に訪れた学部学生を対象とする実状調査を解析し、課題を深掘りするためのアドバンスド調査を実施した。メンタル不調の「表現型」に性別の差が見られる傾向があり、女性では摂食障害の発症、男性では生活習慣の乱れが指摘された。
国際連合教育科学文化機関が定める「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」に基づき、日本の現状に合わせて作成したまなブックを使用した包括的性教育を実践し、その効果や今後の課題について明らかにした。私立中高一貫女子校保健体育科の教諭が作成した指導案をもとに、まなブックレベル2(8~12歳用)の教材を用いて中学1年生を対象に授業を行った。知識得点とCCHL得点は、授業前後、授業終了後2か月後に有意に上昇したが、RSES得点は有意な変化はみられなかった。授業を行った保健体育科教諭5名のグループインタビューの結果、教員の性差による異なる感想を得、性のグラデーションを導入で取り入れる、二次性徴による心の変化について生徒とディスカッションを行うなど、まなブック使用前とは異なる授業展開が行われ効果が確認できた。
新型コロナウイルス感染拡大前後の心身の健康状態の悪化傾向を包括的に把握し、悪化傾向がみられる本人・家族の属性(家族構成、就労や経済状況)や、新型コロナウイルス感染症拡大による生活・就労面での変化を把握し、健康面での支援が必要な属性の詳細を明らかにすることを目的とした1万人規模の全国インターネット調査を行った。女性のうち、コロナ前後で20%以上の者に変化があった項目は、月額の手取り給料の減少、貯蓄額の減少、在宅時間の増加、他者との会話量の減少、運動量の減少、座っている時間の増加、親と過ごす時間の減少、子どもと過ごす時間の増加、配偶者と過ごす時間の増加などであった。コロナ後に健康状態の悪化が25.7%、心の健康状態の悪化をとなえた者は34.3%であった一方、健康に対する意識が高まった、次に生活を見直すきっかけになった、人生や将来を見直すきっかけになった、などポジティブな面も増加がみられた。
結論
アフタコロナ・ウイズコロナの新しい日常を明らかにし、その日常での女性の健康の包括的支援を行うための、女性の健康課題理解・解決のための基礎資料、介入プログラムの一部実証を行った。

公開日・更新日

公開日
2023-07-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2023-07-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202210002Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
19,000,000円
(2)補助金確定額
18,958,000円
差引額 [(1)-(2)]
42,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 887,831円
人件費・謝金 5,930,733円
旅費 79,973円
その他 7,680,064円
間接経費 4,380,000円
合計 18,958,601円

備考

備考
自己資金601円

公開日・更新日

公開日
2023-10-13
更新日
-