健康づくりのための身体活動・運動の実践に影響を及ぼす原因の解明と科学的根拠に基づく対策の推進のためのエビデンス創出

文献情報

文献番号
202209034A
報告書区分
総括
研究課題名
健康づくりのための身体活動・運動の実践に影響を及ぼす原因の解明と科学的根拠に基づく対策の推進のためのエビデンス創出
課題番号
22FA1004
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
澤田 亨(早稲田大学 スポーツ科学学術院)
研究分担者(所属機関)
  • 井上 茂(東京医科大学公衆衛生学分野)
  • 岡 浩一朗(早稲田大学 スポーツ科学学術院)
  • 小熊 祐子(慶應義塾大学スポーツ医学研究センター・大学院健康マネジメント研究科)
  • 小野 玲(国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 身体活動研究部)
  • 原田 和弘(神戸大学 人間発達環境学研究科)
  • 宮地 元彦(早稲田大学 スポーツ科学学術院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
12,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
身体活動・運動分野における厚生労働科学研究班は、2019年度末に「標準的な運動プログラム」を、2021年度末には「健康づくりのための身体活動・座位行動指針(案)」を作成した。これらのプログラムや指針が国民の行動変容を促し、健康寿命の延伸に貢献するためには、身体活動・運動の実践に影響を及ぼす要因を解明するとともに、プログラムや指針が行動変容に及ぼす影響を確認し、科学的根拠に基づく身体活動推進のための新たなエビデンスを創出して身体活動促進政策に反映させることが重要である。本研究班においては、身体活動推進政策を効果的に推進するための新たなエビデンスを創出し、国民の身体活動量を増加させることを目的に、1)身体活動・運動による健康効果の機序解明、2)身体活動・運動量を減少させる社会人口統計学的要因の特定、3)身体活動・座位行動指標の評価法の開発および妥当性の検討、4)安全に運動指導をおこなうためのソフトおよびハード要件の解明、5)身体活動指針の認知度と国民の行動変容の関係解明、6)身体活動・運動量の増加及び座位行動の減少策の検討、7)身体活動・運動無関心層にも行動変容を促す身体活動推進政策の提案、といった課題に3年計画で取り組んでおり、本報告書では1年目の取り組みについて報告する。
研究方法
1)文献研究から得られたデータのメタ解析をおこなった。
 2)身体活動のトレンドやその減少要因を検討可能な指標を明らかにするために先行研究をレビューするとともに、インターネット調査を実施した。
 3)Web調査により主要諸外国を代表するサーベイランス調査を集計した。また、数社の歩数計の比較をおこなった。
 4)有害事象やヒヤリハットの発生状況について先行研究のレビューを行うとともに、オンライン調査を実施した。また、健康増進施設を対象にした後ろ向き調査を実施した。 
 5)今後実施する縦断調査研究の事前調査としてインターネット調査を行った。 
 6)「身体活動・運動量の増加及び座位行動の減少策の検討」については、同一集団に対して異なる尺度を用いて総座位時間を評価した。また、座位行動の変容ステージ尺度を開発するために実施したインターネット調査や、座位行動の変容ステージ尺度の信頼性について調査した。
 7)アクティブガイド・ファクトシート・インフォメーションシートぞれに関連する研究者の査読結果に従ってそれぞれの構成や内容を修正した。さらに、指針改定の趣旨と目的を加筆した普及用総合パンフレットを作成した。
結果と考察
1)日本人男性の全身持久力の推定平均値を推定した。推定された値は健康増進のための身体活動量や全身持久力の基準値の策定に向けた資料として活用されることが望まれる。
 2)身体活動の減少が主に生活活動の減少によっていること、日本では特に女性や勤労者世代で低下していることを明らかにした。インターネット調査において、38,798人から回答を得て解析用データベースを構築した。
 3)身体活動・座位行動の評価方法、調査頻度、時期・期間、装着日数などが多様であることを確認した。国民健康・栄養調査で使用しているヤマサ社の歩数が最も低い歩数を示したが、比較した5機種の歩数計の値は概ね直線回帰式でモデル化することが可能であることから、歩数の機種間変換が可能であると考えられる。
 4)文献レビューから、運動時の有害事象の情報が少ないことが明らかになった。また、オンライン調査から、運動前の健康チェックを実施している運動施設は多いものの標準的なフォーマットは使用されていないことや、後向き調査からは、高齢者ほど疾患を持つものが増え、事前の確認が必要な事例が少なくないことが明らかになった。 
 5)純粋想起法による身体活動指針の認知度は2%、文字想起法による認知度は13%であった。重回帰分析を行った結果、身体活動指針を認知している群の方が、認知していない群よりも、中強度以上の身体活動量が多い傾向にあった。 
 6)分布、平均値、標準偏差、座位行動者の割合が近似することが明らかとなった。調査参加者の変容ステージ、総座位時間、社会人口統計学的要因等を把握した。また、「移動や余暇の身体活動時間および総座位時間が長い集団」「移動に伴う身体活動時間および総座位時間が長い集団」「総座位時間が長い集団」「仕事による身体活動時間が特に長い集団」の4つに類型化された。
 7)身体活動推進政策が効果的に展開するためには自治体等の政策推進者にこれらのシートやパンフレットが広く周知され、政策推進者を介して、無関心層を含む多くの国民に周知されれることが望まれる。
結論
本年度は、本研究班の最終目標である、身体活動・運動無関心層にも行動変容を促す身体活動推進政策の提案に向けた3年計画の初年度であり、順調に提案に向けた文献レビューや調査・研究を進めている。

公開日・更新日

公開日
2023-07-19
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2023-07-19
更新日
2023-10-02

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202209034Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
15,010,000円
(2)補助金確定額
15,010,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 5,920,560円
人件費・謝金 2,483,426円
旅費 1,501,060円
その他 2,794,954円
間接経費 2,310,000円
合計 15,010,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2023-10-05
更新日
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